李克強「中米のディカップリングは世界を害する」(5月29日)
全人代が閉幕した28日の午後、記者会見に臨んだ李克強総理は、「中米関係のディカップリングは、誰にとっても良い事はなく、世界を害することになる」と述べた。
米国人記者の「米国は引き続きコロナウィルスのパンデミックで中国を非難しており、米中間で「新冷戦」になっているとの見方もある。一方、米中間で貿易協議が第一段階の合意に達したことで米中関係の穏やかな発展が期待できる。中国自身が経済的困難ななかにあって、中国の経済改革と譲歩によって米国との関係を改善させることはできるのか、中国経済は「新冷戦」やディカップリングの脅威を防ぐことができるのか」との質問に回答したもの。...
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全人代が閉幕した28日の午後、記者会見に臨んだ李克強総理は、「中米関係のディカップリングは、誰にとっても良い事はなく、世界を害することになる」と述べた。
米国人記者の「米国は引き続きコロナウィルスのパンデミックで中国を非難しており、米中間で「新冷戦」になっているとの見方もある。一方、米中間で貿易協議が第一段階の合意に達したことで米中関係の穏やかな発展が期待できる。中国自身が経済的困難ななかにあって、中国の経済改革と譲歩によって米国との関係を改善させることはできるのか、中国経済は「新冷戦」やディカップリングの脅威を防ぐことができるのか」との質問に回答したもの。
李克強総理は「中米両国が協力すれば両国にとって利となり、戦えば共に傷つくことになる。これは両国人民の利益ばかりでなく、世界に関係することであり、これらの問題は世界を憂慮させている。今「新冷戦」に言及されたが、我々は従来から冷戦という考えを持っていない。いわゆるディカップリングについては、二つの主要エコノミーがディカップリングすれば、誰にとっても良い事はなく、世界を傷つけることになる。両国首脳がコンセンサスの下、協調、協力、安定を基調とする中米関係を築くことを望んでいる。
経済の面でいえば、中米が並走するのは容易なことではないが、双方が利益を勝ち取ることもできるはずである。中米双方のビジネス協力はビジネスのルールを尊重し、市場を選び、企業家が最終的に判断すべきことである。中米は世界最大の発展途上国と世界最大の先進国であり、社会制度や文化・伝統も歴史的背景も異なるので、矛盾や意見の不一致は不可避であるが、問題があろうとも向き合おうではないか」と述べ、最後に相互尊重、平等互恵のなかで、相手方の核心的利益を尊重し、ウィン・ウィンの協力を追及していくことこそが、世界の人々の利益になる、と結んでいる。
実録と書かれた報道では、コロナウィルスにも香港国家安全法については当然ながら言及されていない。また米中間の貿易協議の第一段階の合意の履行についても触れられていない。
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“高度の自治”の行方・香港に「国家安全法制」(5月29日)
中国・全国人民代表大会が香港で反政府的な動きを取り締まる国家安全法制の導入を決めたことに対し、国際社会から懸念の声が相次いでいる。
国家安全法制には、国家の安全に重大な危害を与える行為や外国勢力の干渉を防止し処罰することなどを盛り込んでいる。必要に応じて中国の治安部門が香港に出先機関を設けて活動するとしている。李克強首相は「採択は一国二制度を今後も長期にわたり安定させていくためのもの」と強調した。...
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中国・全国人民代表大会が香港で反政府的な動きを取り締まる国家安全法制の導入を決めたことに対し、国際社会から懸念の声が相次いでいる。
国家安全法制には、国家の安全に重大な危害を与える行為や外国勢力の干渉を防止し処罰することなどを盛り込んでいる。必要に応じて中国の治安部門が香港に出先機関を設けて活動するとしている。李克強首相は「採択は一国二制度を今後も長期にわたり安定させていくためのもの」と強調した。
しかし、その香港では、市民が中心部の商業施設で抗議の声をあげた。民主派団体幹部・周庭は「香港が香港であるために闘っている」とコメントした。
さらに英国、米国、オーストラリア、カナダの外相は、「一国二制度の枠組みを損なうもので深く懸念する」などとする共同声明を発表した。
中国の決定に制裁を科す可能性を示唆していた米国だが、トランプ大統領も何らかの措置を明らかにする考えである。
今回の措置は香港の想定を超えたものとみられる。抗議収束の兆し見えず批判は中国政府・共産党にも向かっていた。また香港では9月に立法会の選挙が行われ、民主派はさらに勢いを得る可能性がでている。米中関係の更なる関係の悪化は避けられないとしている。
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環球時報社説「日本はオーストラリアにあらず」(5月27日)
25日安倍総理が記者会見で「ウィルスは中国から世界に拡散したことは事実だ」と発言したことに対し、26日に外交部の趙立堅報道官は、政治が科学的判断を凌駕してはならないとして「ウィルスを政治問題化し、汚名を着せることに断固反対する」と述べていたが、26日付の『環球時報』の社説では、日本非難をトーンダウンさせ、日中友好を強調する論調になっている。
社説では、日本は米国の同盟国であるのだから、国際的課題で協力しあうのは当然であるが、国際社会は日本と中国が共に地域の平和や安定、繁栄に共同して責任ある行動をとることを望んでいる、と述べている。...
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25日安倍総理が記者会見で「ウィルスは中国から世界に拡散したことは事実だ」と発言したことに対し、26日に外交部の趙立堅報道官は、政治が科学的判断を凌駕してはならないとして「ウィルスを政治問題化し、汚名を着せることに断固反対する」と述べていたが、26日付の『環球時報』の社説では、日本非難をトーンダウンさせ、日中友好を強調する論調になっている。
社説では、日本は米国の同盟国であるのだから、国際的課題で協力しあうのは当然であるが、国際社会は日本と中国が共に地域の平和や安定、繁栄に共同して責任ある行動をとることを望んでいる、と述べている。
そのうえで安倍総理の言葉を注意深く見れば、中国から世界に「拡散」したと言っているだけで、ウィルスが中国「起源」であるとは言っておらず、中国を刺激するのを避けようとしている、として、安倍総理が中米の間で米国の耳を気にして言った言葉だろうとも述べている。
さらに日本は中米の間で中立を守っており、オーストラリアのように米国側に公然と立っているわけではない、として、中国での調査を要求したオーストラリアと日本は違う立場であることを強調している。
さら「現在中日韓の関係は改善されており、中日韓のFTAの交渉も進行中であり、習近平主席の今年の訪日も日本は推進しており、このような中日韓の関係を3か国は大切に思っている」と韓国まで持ち出して、日本との関係を悪化させないようにという気遣いを見せている。
米国との関係が、貿易やウィルスだけでなく、香港問題まで含めて決定的に悪化しているなかで、日本との関係までも悪化させたくない思惑が透けて見える。
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中国による治安維持方針・香港で数千人デモ・180人逮捕(5月25日)
抗議活動が続く香港の治安維持のため中国が直接法律の制定に乗り出す方針を打ち出したことを受けて、香港ではきのう数千人の市民がデモ行進を行い、少なくとも180人が逮捕される事態となった。
デモは中国が全人代(全国人民代表大会)で香港について治安維持のための法律を中国政府主導で制定するとともに中国の関係機関による取り締まりを認める方針を打ち出したことを受けて行われた。
地元メディアによると、数千人が参加したということである。...
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抗議活動が続く香港の治安維持のため中国が直接法律の制定に乗り出す方針を打ち出したことを受けて、香港ではきのう数千人の市民がデモ行進を行い、少なくとも180人が逮捕される事態となった。
デモは中国が全人代(全国人民代表大会)で香港について治安維持のための法律を中国政府主導で制定するとともに中国の関係機関による取り締まりを認める方針を打ち出したことを受けて行われた。
地元メディアによると、数千人が参加したということである。
警察は開始直後から催涙弾を発射するなど厳しい取り締まりに乗り出し、違法な集会に参加した疑いなどで少なくとも180人を逮捕したと発表した。
また、40代男性がデモ参加者に傘などで殴られて頭や背中にけがをしたということである。
中国の方針を巡っては米国が強く反対しているが、中国の王毅外相は「内政不干渉だ」と反発し、法整備を急ぐ姿勢を示した。
香港ではあさって審議が行われる中国の国歌を侮辱する行為を禁止する条例案に対し、抗議しようという呼びかけが行われていて、法律制定に抗議する動きが活発化するものと見られる。
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香港の治安法・米国など反対に中国反発(5月24日)
抗議活動が続く香港の治安維持のため、中国が直接法律の制定に乗り出す方針を打ち出したことを受けて、米国などが強く反対していることに対し、中国外務省の香港の出先機関は内政干渉をやめるべきだと反発した。
中国ではおととい開幕した全国人民代表大会で、香港について治安維持の法律を中国政府主導で制定すると共に、中国関係機関による取り締まりを認める方針を打ち出した。
米国政府が強く反対する声明を打ち出した他、英国、オーストラリアなどの外相も共同で声明を出し、深い懸念を表明した。...
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抗議活動が続く香港の治安維持のため、中国が直接法律の制定に乗り出す方針を打ち出したことを受けて、米国などが強く反対していることに対し、中国外務省の香港の出先機関は内政干渉をやめるべきだと反発した。
中国ではおととい開幕した全国人民代表大会で、香港について治安維持の法律を中国政府主導で制定すると共に、中国関係機関による取り締まりを認める方針を打ち出した。
米国政府が強く反対する声明を打ち出した他、英国、オーストラリアなどの外相も共同で声明を出し、深い懸念を表明した。
中国共産党・最高指導部のメンバーはきのう北京で香港代表団と会談した。“法律制定により国家分裂、外国勢力の干渉を防げる”との認識を示している。
一方、香港では民主派議員や団体などが強く批判している。
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