豪留学生、北朝鮮から釈放される(7月5日)
オーストラリアのモリソン総理は4日、北朝鮮に拘束されていたオーストラリア人留学生のシグリー氏が同日無事北朝鮮を出発したと発表した。同氏は29歳で昨年から平壌で生活していたのだが、6月24日頃から行方がわからなくなっていたもの。
「大丈夫ですよ。元気です」4日北京空港に到着したシグリー氏は記者たちにこう語った。ロイターによると同氏は北朝鮮で何があったのかを語らなかったという。この後北京のオーストラリア大使館に行き、再び北京空港から妻子が待つ東京へと飛び立った。...
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オーストラリアのモリソン総理は4日、北朝鮮に拘束されていたオーストラリア人留学生のシグリー氏が同日無事北朝鮮を出発したと発表した。同氏は29歳で昨年から平壌で生活していたのだが、6月24日頃から行方がわからなくなっていたもの。
「大丈夫ですよ。元気です」4日北京空港に到着したシグリー氏は記者たちにこう語った。ロイターによると同氏は北朝鮮で何があったのかを語らなかったという。この後北京のオーストラリア大使館に行き、再び北京空港から妻子が待つ東京へと飛び立った。
ロイターなどの報道によるとシグリー氏は2012年にはじめて北朝鮮に行き、昨年から平壌に住み、金日成総合大学で文学を修士課程で学んでいた。シグリー氏は北朝鮮のことをよく理解していたし、朝鮮語にも堪能だったという。
オーストラリアの外務省は6月28日に事件を発表、北朝鮮に対し状況をはっきりさせるように要求していた。モリソン総理は4日になってシグリー氏の釈放を発表したが、拘束された理由については語っていない。また総理はスウェーデンが同氏の釈放に尽力してくれたと語った。オーストラリアと北朝鮮には国交がないことから、今週初めにスウェーデンの政府特使が平壌に赴き、北朝鮮政府と交渉していた。モリソン総理はスウェーデン政府に感謝の意を表した。
第二のオットー・ワームビア事件になるのではないかと懸念されていた今回のオーストラリア人留学生の失踪事件は、スウェーデン政府の協力もあり、早期解決に至ったが、国際世論の眼を気にする北朝鮮の意向もあったのだろう。
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北朝鮮の国連代表部、米国を非難(7月4日)
4日のロイターは、3日北朝鮮の国連代表部が、「トランプ大統領は対話を推進しようとしているのに、米国は北朝鮮に対してさらに敵対しようとがむしゃらになっている」と非難した、と報じた。
北朝鮮の代表部は、北朝鮮がすでに石油製品を上限を超えて輸入していると米国が非難しているとし、さらに6月29日に仏独英と一緒になって、国連のメンバー国に北朝鮮に対する制裁を遵守するようにとの手紙を送った、と述べた。...
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4日のロイターは、3日北朝鮮の国連代表部が、「トランプ大統領は対話を推進しようとしているのに、米国は北朝鮮に対してさらに敵対しようとがむしゃらになっている」と非難した、と報じた。
北朝鮮の代表部は、北朝鮮がすでに石油製品を上限を超えて輸入していると米国が非難しているとし、さらに6月29日に仏独英と一緒になって、国連のメンバー国に北朝鮮に対する制裁を遵守するようにとの手紙を送った、と述べた。
「とくに見逃せないのは、共同で書かれた手紙は、トランプ大統領が首脳会談を行おうと提案してきた日と同じ日である29日に、米国務省の指示のもと米国の国連代表部によってなされたということである」としている。
国連の安全保障理事会は2006年以降、北朝鮮が核実験やミサイルを発射するたびに、石炭や鉄鉱石、鉛、衣料品や水産品などの輸出を禁止し、原油や石油製品の輸入の上限を決めていた。
米国は2017年12月に決められた50万バレルの上限を超えて石油製品を主に瀬取りによって北朝鮮が輸入していると主張している。米国は15か国よりなる制裁委員会に、北朝鮮に石油製品の輸入を直ちにやめさせるように求めているが、中国やロシアが実効を引き延ばそうとしている。
4か国によるメンバー国への手紙は、ロイターが見たところによると29日付ではなくて6月27日付なのだが、国連の安全保障理事会の制裁決議に従って2019年12月22日までに、北朝鮮の出稼ぎ労働者を本国に送還するようにメンバー国に促すものである。
DMZにおける米朝首脳会談後、トランプ大統領とポンペオ国務長官は、7月中には実務者協議が行われるようとし、さらに外務省同士の交渉になるだろうと述べていたが、北朝鮮の米国務省への不信感は根強く、首脳会談でしか物事を進めたくない、ということなのであろうか。
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米朝首脳会談:中国の評価(7月2日)
7月1日の外交部の定例記者会見で、6月30日に板門店で米朝首脳が会談したことをどのように評価しているか、との質問に対し、耿爽報道官は以下のように回答した。
板門店で朝米韓のトップが友好を温めたことを歓迎する。建設的な会談で成果があったと思うが、とくに朝米が近く会談を行うための実務者協議を行うことを決めたのは重要な意義があり、中国はこれを支持する。中国は一貫して朝鮮半島の非核化を支持しており、朝鮮半島の平和を擁護し、対話こそが問題を解決するという姿勢を堅持している。...
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7月1日の外交部の定例記者会見で、6月30日に板門店で米朝首脳が会談したことをどのように評価しているか、との質問に対し、耿爽報道官は以下のように回答した。
板門店で朝米韓のトップが友好を温めたことを歓迎する。建設的な会談で成果があったと思うが、とくに朝米が近く会談を行うための実務者協議を行うことを決めたのは重要な意義があり、中国はこれを支持する。中国は一貫して朝鮮半島の非核化を支持しており、朝鮮半島の平和を擁護し、対話こそが問題を解決するという姿勢を堅持している。先日習近平主席が訪朝し、朝鮮半島の問題の政治的解決のための力を注いできたところである。
一方7月1日の「環球時報」は「38度線の朝米首脳会談は型にとらわれない良いこと」と題する社説を掲載した。
そこではまず今回の会談が短い時間で成し遂げられたのか、精工に練られた計画だったのか、と疑義を呈しながらも、米朝間の膠着状態を打破し、両国の雰囲気を改善する積極的な役割を果たしたと評価している。
今年の2月のハノイ会談の失敗以後、米朝関係は膠着状態に陥り、第三次の米朝首脳会談をしなければとトランプ大統領は巨大な圧力にさらされていた。今回の突然の呼びかけは準備をする時間を与えずに行われたことによって、双方の関係に微調整が加えられた。トランプ大統領はデールの名手であり、危機を転じて特殊な梃の役割をさせることになった。
しかし指導者の個人的な友情が国家の利益にとってかわることはなく、その役割は有限である。現在北朝鮮は新戦略をとっており、経済発展に積極的に取り組んでいて、国際的な制裁の緩和を強く望んでいる。トランプ大統領が制裁を少し緩和しようとすれば、38度線へのよいお土産になっただろうが、そのようなことはなかった。ワシントンはまず北朝鮮に核の放棄を承諾させようとしており、両者の主張の違いは歴然としている。
客観的にいって、2018年になってから、朝鮮半島情勢はゆっくりではあるが、前進している。東北アジア各国は朝鮮半島情勢が前進してくれることを望み、米国社会も半島が米国の火薬庫にならないことを願っている。
3度目の米朝首脳会談は新しい解決の道を示した。トランプ大統領と彼のチームが対話を続けていき、役割を果たしていけば、歴史はトランプ大統領が、朝鮮半島問題にいかなる貢献をしたかを評価するだろう。
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米朝、2~3週間後に協議再開か(7月1日)
DMZの南北の境界線上で握手を交わした後、トランプ大統領は境界線を越え北朝鮮に入り、さらにトランプ大統領と共に、金正恩委員長が境界線を越えて韓国側に入っていった。トランプ大統領は大阪では金正恩委員長とは挨拶を交わすだけでも、と言っていたが、結局二人は53分間会談を行った。韓国の文在寅大統領も交えて米朝韓の三者会談が開催されるのでは、との観測もあったが、結局米朝二者会談となった。
金正恩委員長と別れを告げた後、記者会見に臨んだトランプ大統領は、ポンペオ国務長官とビーガン北朝鮮担当特別代表を中心として交渉チームを結成し、北朝鮮の交渉チームと2~3週間後には交渉できるだろうと述べた。...
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DMZの南北の境界線上で握手を交わした後、トランプ大統領は境界線を越え北朝鮮に入り、さらにトランプ大統領と共に、金正恩委員長が境界線を越えて韓国側に入っていった。トランプ大統領は大阪では金正恩委員長とは挨拶を交わすだけでも、と言っていたが、結局二人は53分間会談を行った。韓国の文在寅大統領も交えて米朝韓の三者会談が開催されるのでは、との観測もあったが、結局米朝二者会談となった。
金正恩委員長と別れを告げた後、記者会見に臨んだトランプ大統領は、ポンペオ国務長官とビーガン北朝鮮担当特別代表を中心として交渉チームを結成し、北朝鮮の交渉チームと2~3週間後には交渉できるだろうと述べた。北朝鮮側のチームがどのようになるかはわからないが、以前の交渉担当者は生きているようだ(つまり処刑されていない)と語っていた。なおポンペオ国務長官も7月中旬には交渉を再開できるだろうと帰国の途に着く前に述べた。
ハノイ会談までの実務者協議は米国が国務省であったのに対し、北朝鮮は金英哲氏が労働党中央委員会副委員長の肩書で前面にたっていたが、今後は李容浩外相、崔善姫第一外務次官らの外務省チームが、国務省のカウンターパートになるのではないか。
北朝鮮は6月26日にはポンペオ国務長官を「非核化を妨げる敵対的実務者」と非難していたが、金正恩委員長としては、とりあえずトランプ大統領の呼びかけに応じて3回目の首脳会談を行えたことで、米国に「貸し」をつくることができ、国内的にも面目をほどこしたことになり、今後はポンペオ国務長官との実務者同士の交渉にゆだねることができることになる。ただし北朝鮮側の実務者にどれほどの権限が与えられることになるのかは不安材料である。
大阪で行われた米中首脳会談で、朝鮮半島問題について、習近平主席は段階的な非核化をと語っていたが、北朝鮮としては、今後、米国が中国のこの主張を受け入れてくれるのかが気になるところである。
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トランプ大統領、金正恩と対面(6月30日)
米大統領、境界線を越える
G20サミットを終え、韓国を訪問しているトランプ大統領は、板門店で金正恩委員長と対面することになった。日本滞在中、トランプ大統領はツィッターで、DMZ(非武装地帯)で金正恩委員長と会いたいと言っていたが、29日夜には、北朝鮮から回答があったとしていた。
30日15時半過ぎ、板門店に着いたトランプ大統領は、南北の境界線を挟んで金正恩委員長と対面、握手を交わした後、境界線を越え、北朝鮮側に足を踏み入れた。...
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米大統領、境界線を越える
G20サミットを終え、韓国を訪問しているトランプ大統領は、板門店で金正恩委員長と対面することになった。日本滞在中、トランプ大統領はツィッターで、DMZ(非武装地帯)で金正恩委員長と会いたいと言っていたが、29日夜には、北朝鮮から回答があったとしていた。
30日15時半過ぎ、板門店に着いたトランプ大統領は、南北の境界線を挟んで金正恩委員長と対面、握手を交わした後、境界線を越え、北朝鮮側に足を踏み入れた。北朝鮮の地を踏んだ初めての米大統領になった。
その後トランプ大統領と金正恩委員長は並んで再び境界線を越え、韓国側に入った。金正恩委員長は、「米国大統領が境界線を越えたということはよからぬ過去を清算したことだ」と述べ、トランプ大統領は「軍事境界線を越えたのは大きな前進だ」と述べた。その後文在寅大統領が二人を出迎え、3人並んで韓国の「自由の家」に入っていき、トランプ大統領と金正恩委員長が二人並んで、記者会見を行った。
そのなかで金正恩委員長は「昨日ツィートを見て驚いた」と語り、急遽DMZ訪問を決めたことを強調した。トランプ大統領は繰り返し「私が就任したときはひどい状況だった」として、緊張緩和に果たした自分の功績を強調した。
その後記者は室外に出され、二者会談が行われる模様。
会談に向けて何も準備がなされていなかったことを考えると、トランプ大統領が自分の成果を誇る政治ショーに終わる可能性も高いが、どのような話し合いがなされるのか注目される。
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