北・飛しょう体発射受け・トランプ大統領“出方見守る”(5月5日)
北朝鮮は国営メディアを通じて、きのう、キムジョンウン朝鮮労働党委員長の立ち合いのもと、「大口径の長距離放射砲と戦術誘導兵器」の発射訓練を行ったと、日本時間午前6時すぎに発表した。
韓国軍によると、北朝鮮はきのう午前、東部のウォンサン付近から北東に向けて短距離の飛しょう体を数発発射していて、北朝鮮の発表はこの飛しょう体を指しているとみられる。
北朝鮮としては国連の制裁決議に違反しない形で米韓両国に揺さぶりをかけるとともに、国内向けには制裁圧力に屈しない姿勢を印象づける狙いがあるとみられる。...
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北朝鮮は国営メディアを通じて、きのう、キムジョンウン朝鮮労働党委員長の立ち合いのもと、「大口径の長距離放射砲と戦術誘導兵器」の発射訓練を行ったと、日本時間午前6時すぎに発表した。
韓国軍によると、北朝鮮はきのう午前、東部のウォンサン付近から北東に向けて短距離の飛しょう体を数発発射していて、北朝鮮の発表はこの飛しょう体を指しているとみられる。
北朝鮮としては国連の制裁決議に違反しない形で米韓両国に揺さぶりをかけるとともに、国内向けには制裁圧力に屈しない姿勢を印象づける狙いがあるとみられる。
米国・トランプ大統領は4日、ツイッターに、これまでキムジョンウン朝鮮労働党委員長が核実験やミサイルの発射実験は行わないと約束したことを念頭に「キム委員長は私が彼とともにいることを知っており、私との約束を破りたいとは思っていない」と書き込み、北朝鮮の出方を見守る姿勢を示した。
トランプ政権は3回目の首脳会談も視野に、北朝鮮との非核化に向けた協議の再開を探っているが、北朝鮮は米国に対し反発を強めていて、両国が協議を再開するめどは立っていない。
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北朝鮮:飛翔体発射
~トランプ大統領は、首脳同士の友好関係に変化無し~
4日午前9時6分から26分にかけて、北朝鮮は元山一帯から東北に向かって飛翔体を発射した。飛行距離は70~200㌔であった。
5日の朝鮮中央通信は、金正恩委員長が4日に実施された火力打撃(攻撃)訓練を指導したと報じている。訓練では多連装ロケット砲や戦術誘導兵器の運用能力などを点検したもの。
これに対しホワイトハウスのサンダース報道官は、「北朝鮮の行動に対し、必要があれば監視を続けていく」と述べた。
一方トランプ大統領はツイッターで「金正恩委員長は私との約束を破りたいとは思っていない」さらに「彼(金正恩)は私が彼と共にいることを知っている」と述べ、首脳同士の友好関係は続いていると述べている。
国連の安全保障理事会は、北朝鮮に対し、弾道ミサイル技術を用いたいかなる実験や挑発に関連する活動を禁じているが、この飛翔体がロケット砲であるならばぎりぎり違反にはならないことになる。北朝鮮が今後も挑発的な動きを続け、米国からの妥協を引き出そうとしているのか、日米韓をはじめとする関係各国は、今後の北朝鮮の動きに注目している。
新天皇の即位を祝う一般参賀・北朝鮮が短距離ミサイル発射(5月4日)
(新天皇の即位を祝う一般参賀・北朝鮮が短距離ミサイル発射か?)
令和の時代が幕を開け、4日目となる今日、新天皇の即位を祝う一般参賀が開かれている。新天皇皇后両陛下のお出ましは午前10時からだが、その1時間前の午前9時6分から27分の間に、北朝鮮が東部元山から東の方向に向けて短距離ミサイルを数発発射したと韓国軍合同参謀本部が明らかにした。ミサイルの種類や落下地点の詳細については韓国軍と米軍と分析中だとしているが、ミサイル発射は新天皇の国事行為に合わせた可能性があり、日本にとっては重大な脅威となる。...
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(新天皇の即位を祝う一般参賀・北朝鮮が短距離ミサイル発射か?)
令和の時代が幕を開け、4日目となる今日、新天皇の即位を祝う一般参賀が開かれている。新天皇皇后両陛下のお出ましは午前10時からだが、その1時間前の午前9時6分から27分の間に、北朝鮮が東部元山から東の方向に向けて短距離ミサイルを数発発射したと韓国軍合同参謀本部が明らかにした。ミサイルの種類や落下地点の詳細については韓国軍と米軍と分析中だとしているが、ミサイル発射は新天皇の国事行為に合わせた可能性があり、日本にとっては重大な脅威となる。北朝鮮拉致家族会が訪米し、米国政府高官に面会した翌日というタイミングでもあった。北朝鮮はこれまでの方針を変え瀬戸際外交に舵を切った形になり、5月26日にも国賓として来日するトランプ大統領との間で北朝鮮問題に多くの時間が割かれるものとみられる。
(八方塞がりの北朝鮮・苦し紛れの挑発か?)
北朝鮮に対する制裁の影響がそろそろ出てくるといわれたちょうどそのタイミングで今回のミサイル発射が行われた。米朝首脳会談の決裂後、北朝鮮はロシアを頼って金正恩北朝鮮労働党委員長が自らウラジオストクまで出向いたが、会談の席でプーチン大統領は「段階的で同時並行的な措置」への支持を表明する一方、金委員長に「最終的で完全に検証された非核化」を求めたといい、北朝鮮の立場への全面的な支持を取り付けたかった北朝鮮にとってはこの会談は納得できるものにはならなかった。米中貿易戦争にかかり切りの中国に加え、ロシアからも距離を置かれている北朝鮮は孤立感を強めており、瀬戸際外交に戻るのも時間の問題と言われていた。米国に対しては直接強い態度に出れない北朝鮮が日本に対し苛立ちをぶつけた恰好となっている。制裁がボディブローのように効いてきている北朝鮮だが、今後の米国の反応次第では立て続けにミサイル発射を行う可能性もある。北朝鮮の動きに再び注意が必要な状況になってきた。
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北朝鮮の食糧危機、この10年で最悪に(5月4日)
5月3日、国連は、北朝鮮の食糧事情が10年来の最悪の状態にあると発表した。干害や高い気温、洪水によって食糧生産が減少し、1010万人が厳しい食糧不足の状態に陥っていると明かした。
WFP(国連世界食糧計画)とFAO(国連食糧農業機関)が2018年11月と先月に現地調査して明らかになったもの。2018/19穀物年度には490万㌧しか穀物の収穫がなく、これは2008/09年度以来の低水準にある。...
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5月3日、国連は、北朝鮮の食糧事情が10年来の最悪の状態にあると発表した。干害や高い気温、洪水によって食糧生産が減少し、1010万人が厳しい食糧不足の状態に陥っていると明かした。
WFP(国連世界食糧計画)とFAO(国連食糧農業機関)が2018年11月と先月に現地調査して明らかになったもの。2018/19穀物年度には490万㌧しか穀物の収穫がなく、これは2008/09年度以来の低水準にある。天候不順の他に、燃料や肥料、ポンプや農業機械の不足、さらに収穫後の管理状態が悪かったことが状況をさらに悪化させた。このため北朝鮮は136万㌧の穀物を輸入しなければならないだろう、としている。
北朝鮮の人々は配給にたよっているのだが、この配給量が10%カットされており、次の収穫期になるまでの、6-10月にはさらに減少する可能性がある。このため飢餓という危機的状況に陥るおそれすらある。とくに栄養が必要な小さい子供たちや妊娠中の女性たちが深刻な事態に陥っている。
朝鮮半島には「春窮」という言葉がある。収穫した食糧が乏しくなり、次の収穫シーズンまでの春に一番食糧事情が厳しくなることをいう。まさに今北朝鮮は「春窮」に陥っているわけだが、経済制裁によって化学肥料や、農業機械や水をくみ上げるポンプを動かす燃料が入手できないとすれば、たとえ天候に恵まれたとしても、今シーズンの収穫も豊作とはならない可能性が高い。北朝鮮はそれまでの集団農業から少人数による圃田制を導入したことにより、収穫が増えたとしていたが、実態は計画通りにはいかなかったわけである。1010万人といえば人口の4割にあたるが、その人々が飢えに苦しんでいることになる。
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北朝鮮、ワームビア氏の治療費として200万㌦請求(4月29日)
25日の「ワシントンポスト」紙は、2017年に北朝鮮から解放され、米国に戻り、その6日後に亡くなったオットー・ワームビア氏の治療費として、北朝鮮が200万㌦を請求した、と報じた。
北朝鮮へのパックツアーに参加したワームビーム氏は平壌のホテルにあった宣伝用のポスターを盗んだ罪で2016年3月に労働教化刑15年に処せられた。オバマ時代から同氏の解放にむけた水面下での交渉は続けられたが、うまくいかず、トランプ政権になった後の2017年に、北朝鮮から6月に同氏が昏睡状態に陥った、との知らせが届いた。...
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25日の「ワシントンポスト」紙は、2017年に北朝鮮から解放され、米国に戻り、その6日後に亡くなったオットー・ワームビア氏の治療費として、北朝鮮が200万㌦を請求した、と報じた。
北朝鮮へのパックツアーに参加したワームビーム氏は平壌のホテルにあった宣伝用のポスターを盗んだ罪で2016年3月に労働教化刑15年に処せられた。オバマ時代から同氏の解放にむけた水面下での交渉は続けられたが、うまくいかず、トランプ政権になった後の2017年に、北朝鮮から6月に同氏が昏睡状態に陥った、との知らせが届いた。当時の北朝鮮担当特別代表のジェセフ・ユン氏と医師が平壌に飛び、昏睡状態のワームビア氏を米国に連れ帰った。
200万㌦の請求書はその際ユン代表に渡されたもので、米国の財務省に保管されている。ただし少なくとも2017年中は支払いは行われていないし、同年9月30日にトランプ大統領は「人質解放のための身代金は払っていない」と断言している。また米朝首脳会談の準備のための米朝交渉でこの問題が俎上にあがったかどうかも明らかにされていない。
ワームビア氏解放のために平壌まで同行した医師は、昏睡状態のワームビア氏を診断した際に「同氏が適切な治療を受けていた」という証明書にサインはしたが、その間にどのような交渉が行われていたかは知らない、と述べた。ワシントンポストの取材に対し、ユン代表はノーコメントとしている。
ワームビア氏の両親は、北朝鮮に対し、息子の死に対する賠償として5億100万㌦を請求する告訴を起こしたが、これに対する北朝鮮からの支払いはない。
またトランプ大統領は本年2月の米朝首脳会談の後に、ワームビア氏の件を金正恩委員長に話したか、との質問に対し、「金委員長は『後になって知った』と語ったが、私はその言葉を信じる」と述べている。
ワシントンポスト紙は、北朝鮮の200万㌦の請求を「甚だしく厚かましい」と評しているが、もし支払いが行われているならば、北朝鮮が味を占め、身代金ビジネスを始めてしまう可能性もある。
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