韓国統一部、開城訪問を許可(5月19日)
17日、韓国統一部は193名の企業家と8名の国会議員が開城工業団地を訪問することを許可した。2016年2月に開城工業団地が閉鎖されてから初めての訪問になる。開城訪問に対する北朝鮮の反応はまだない。
統一部は工業団地内の施設の視察であり、公民の財産権を保障するものであるとしている。開城工業団地は朝鮮半島の軍事境界線の近くに設けられたもので、2005年に操業を開始し、2016年に閉鎖されるまで120余社の企業が操業し、5.5万人の北朝鮮の労働者を雇用していた。...
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17日、韓国統一部は193名の企業家と8名の国会議員が開城工業団地を訪問することを許可した。2016年2月に開城工業団地が閉鎖されてから初めての訪問になる。開城訪問に対する北朝鮮の反応はまだない。
統一部は工業団地内の施設の視察であり、公民の財産権を保障するものであるとしている。開城工業団地は朝鮮半島の軍事境界線の近くに設けられたもので、2005年に操業を開始し、2016年に閉鎖されるまで120余社の企業が操業し、5.5万人の北朝鮮の労働者を雇用していた。北朝鮮は工業団地閉鎖された翌日には、資産の凍結と労働者の撤去を発表していた。また2018年9月の南北首脳会談の際の「9月平壌宣言」では、条件が整えば再開する、としていた。2019年1月の金正恩委員長の「新年の辞」では「いかなる前提条件や代価もなく開城工業団地と金剛山観光を再開する用意がある」とも述べていた。
開城工業団地で操業していた企業家たちで構成されている非常対策委員会はこれまで8度開城工業団地訪問を申請していたが、いずれも却下され、今回9度目にしてようやく訪問が許可されたもの。今回の訪問許可に関し、米国は「北朝鮮の非核化を後退させるもの」として不満を示している。
北朝鮮がミサイルを発射した後に、これまで却下していた開城工業団地への訪問を韓国統一部が許可したことは、北朝鮮に間違ったサインを送ることになるかもしれない。
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北朝鮮への制裁が骨抜きに(5月18日)
(北朝鮮・長距離弾道ミサイルの発射を準備している可能性)
北朝鮮がゆるやかに米国や日本に対し、牙をむき始めている。米国「38ノース」は北朝鮮のトンチャンリにあるソヘ衛星発射場の最新の衛星写真を分析し「ミサイル発射に関連する部品の組み立て作業区域で新たにL字型の建物が完成したことが確認された」と発表した。この発射場からは過去に事実上の長距離弾道ミサイルが発射されており、専門家からは「長距離弾道ミサイルの発射を準備している可能性が否定できない」との見方が出てきている。...
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(北朝鮮・長距離弾道ミサイルの発射を準備している可能性)
北朝鮮がゆるやかに米国や日本に対し、牙をむき始めている。米国「38ノース」は北朝鮮のトンチャンリにあるソヘ衛星発射場の最新の衛星写真を分析し「ミサイル発射に関連する部品の組み立て作業区域で新たにL字型の建物が完成したことが確認された」と発表した。この発射場からは過去に事実上の長距離弾道ミサイルが発射されており、専門家からは「長距離弾道ミサイルの発射を準備している可能性が否定できない」との見方が出てきている。一方、北朝鮮船籍の貨物船が安保理制裁に違反したとして米国に差し押さえられた問題で、北朝鮮は国連事務総長に対し米国の行為は、国連憲章と国際法に違反するとして、米国を非難し緊急措置を要求している。
(北朝鮮への制裁が骨抜きにされていく)
WFP(世界食糧計画)が「北朝鮮の去年の農作物収穫量は過去10年で最悪だったとする調査結果を公表した。このまま雨が少ない状態が続けば食糧難が深刻化する可能性もあるとし北朝鮮への食糧支援の必要性を提言している。こうした中、韓国統一省はWFPと国連児童基金が(ユニセフ)が実施する母子栄養強化事業におよそ800万ドル(9億円)を供給することを発表した。これは文政権になってからの初めての北朝鮮に対する人道支援であり、2017年にも一度、文政権は北朝鮮への人道支援を発表したことがあったが、米国の強い反対で援助を断念したという経緯がある。今回、トランプ大統領は北朝鮮への食糧支援を支持する姿勢を見せているといい、文大統領は北朝鮮への援助に前のめりとなっている。北朝鮮が通常訓練と称し短距離弾頭ミサイルを続けざまに発射し、非核化に向けた具体的な動きもまったく見られない中での、北朝鮮への支援の動きは制裁を骨抜きにするものであり、北朝鮮の瀬戸際路線を強化することはあっても非核化の進展にはつながりそうもない。
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『労働新聞』干害を報道(5月18日)
5月3日に国連が「北朝鮮の食糧事情がこの10年で最悪の状況である」ことを発表したばかりだが、17日付の北朝鮮の『労働新聞』は「干害による災害を防ぐ闘争を全力で展開しよう」と題する記事を掲載し、北朝鮮の干害がひどいことを報じた。
北朝鮮の気象水文局によると、今年1月から5月15日までの全国の平均降雨量は56.3ミリで、平年の39.6%しかなく、1917年以来最少である、としている。とくに5月上旬の全国の平均降雨量は0.5ミリに過ぎず、また北部地区の降雨は極めて少なく、平壌や南浦市、黄海北道、江原道では雨の気配すらない。...
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5月3日に国連が「北朝鮮の食糧事情がこの10年で最悪の状況である」ことを発表したばかりだが、17日付の北朝鮮の『労働新聞』は「干害による災害を防ぐ闘争を全力で展開しよう」と題する記事を掲載し、北朝鮮の干害がひどいことを報じた。
北朝鮮の気象水文局によると、今年1月から5月15日までの全国の平均降雨量は56.3ミリで、平年の39.6%しかなく、1917年以来最少である、としている。とくに5月上旬の全国の平均降雨量は0.5ミリに過ぎず、また北部地区の降雨は極めて少なく、平壌や南浦市、黄海北道、江原道では雨の気配すらない。
専門家の予測では、5月末には少し降雨があるかもしれないが、干害を解消するようなものではなく、干害は6月上旬まで続く見込みである。このため田植えにも支障をきたし、このほか小麦やトウモロコシ、ジャガイモ栽培にも影響がでている。現在北朝鮮の農業省は各組織や職場に干害と戦う運動を呼び掛けており、労働者や農民が新しい水源を探す運動を行い、生産や生活用水の確保につとめ、田植えや農作物の栽培を行うようにとしている。
食糧事情がこの10年で最悪といわれながらも、北朝鮮では現在コメ価格の高騰のニュースは伝わってきていない。しかし田植えの時期の水不足が顕著だということは、今年の収穫もよくなる見込みはないことから、さらに食糧事情が悪化する可能性も高いことになる。一方で韓国が食糧支援を表明すると、北朝鮮は「空虚な戯言で恩着せがましい」と非難したことや、また中国からの輸入でコメやトウモロコシの輸入より果物や煙草の輸入が多くなっており、本当に食糧事情が苦しいのか、との疑問も韓国内には起こっている。このようななか『労働新聞』で干害の報道がでたということは国内の引き締めを狙い、食糧事情が本年には一層厳しくなるだろうからと覚悟を促すとともに、国外にも窮状を知らせ、援助を引き出そうとしているとも考えられる。
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北朝鮮、差し押さえられた船舶の返還を米に要求(5月15日)
北朝鮮の外務省報道官は14日、国連の制裁に違反して石炭を運搬していたとして、米国が差し押さえていた「ワイズ・オネスト号」を北朝鮮に返還するよう米国に要求した。
報道官は、米国が強盗のように船舶を差し押さえたとして非難し、昨年6月のシンガポールにおける朝米首脳会談の共同声明の精神を全面的に否定するものだ、とも非難、さらに、もし米国がこれで朝鮮を屈服させられると思ったのなら、大間違いである、とも述べている。...
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北朝鮮の外務省報道官は14日、国連の制裁に違反して石炭を運搬していたとして、米国が差し押さえていた「ワイズ・オネスト号」を北朝鮮に返還するよう米国に要求した。
報道官は、米国が強盗のように船舶を差し押さえたとして非難し、昨年6月のシンガポールにおける朝米首脳会談の共同声明の精神を全面的に否定するものだ、とも非難、さらに、もし米国がこれで朝鮮を屈服させられると思ったのなら、大間違いである、とも述べている。
米司法省は9日にワイズ・オネスト号を差し押さえたことを発表し、同船は11日米領サモアに到着している。
「ニューヨーク・タイムス」によると、今回の件は国連の制裁違反を理由に北朝鮮の船舶を米国が差し押さえた初めてのケースであり、韓国の聯合ニュースによると、米朝首脳会談以降、北朝鮮の外務省報道官による、初めての強い米国非難である、という。
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危険な賭けになる北朝鮮のミサイル発射(5月11日)
(相次ぐ北朝鮮のミサイル発射)
北朝鮮が4日に続き、9日にも飛翔体を発射した。ビーガン特別代表が北朝鮮問題で訪韓していた矢先のことであった。米国国防総省は弾道ミサイルと断定し、岩屋防衛大臣は短距離弾道ミサイルと断定した。弾道ミサイルの発射は国連の安保理制裁決議違反であり、今後の米朝協議の行方に暗雲を投げかけている。トランプ大統領は会見で「きわめて深刻にみている」と語り「北朝鮮には交渉する準備が整っていないようだ」と不快感を示した。...
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(相次ぐ北朝鮮のミサイル発射)
北朝鮮が4日に続き、9日にも飛翔体を発射した。ビーガン特別代表が北朝鮮問題で訪韓していた矢先のことであった。米国国防総省は弾道ミサイルと断定し、岩屋防衛大臣は短距離弾道ミサイルと断定した。弾道ミサイルの発射は国連の安保理制裁決議違反であり、今後の米朝協議の行方に暗雲を投げかけている。トランプ大統領は会見で「きわめて深刻にみている」と語り「北朝鮮には交渉する準備が整っていないようだ」と不快感を示した。一方、米国司法省は北朝鮮が国連安保理決議に違反して石炭を輸送したとして北朝鮮船籍の貨物船「ワイズオネスト」を差し押さえたと発表し、司法省高官は「北朝鮮の好戦的な行動を止めるために司法省は最大限の圧力をかけていく」と北朝鮮をけん制している。
(米国を振り向かせたい北朝鮮のミサイル発射)
年末まで米国の出方を見ると言っていたにも関わらず北朝鮮が続けざまにミサイルを撃つ背景には、経済制裁が効いてきていることがあると考えられる。制裁には抜け穴も多いともいわれるが、あくまでも抜け穴であり、トータルとして制裁は効いているといえる。このため北朝鮮はなりふり構わず瀬戸際戦術に回帰しミサイルを撃つことで米朝会談の早期開催を迫っているようにも見える。ポンペオ国務長官が「(北朝鮮は)ICBMさえ撃たなければよい」と米国メディアで発言したことも北朝鮮の気を大きくしたに違いない。ただトランプ大統領は国内での支持率も上がったため、米朝会談に以前ほど前向きではないし、イランとの駆け引きの方がプライオリティが高い。トランプ大統領になかなか振り向いてもらえない北朝鮮は今後もICBM以外のミサイルを発射する可能性がある。仮に中距離弾道ミサイルを北朝鮮が発射した場合、米国が北朝鮮にどのような態度で臨むのかが注目される。米国は現在、対イランでペルシャ湾に空母など軍事力を投入しており、北東アジア方面での米軍のプレゼンスは低い状態であり、北朝鮮が隙を突いてくるかもしれない。その場合、安倍総理は条件なしで金正恩と会ってもいいと言ってはいられなくなる。
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