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韓国「国防白書」から北朝鮮は敵を削除(1月16日)
15日、韓国国防省は「国防白書」を発表した。国防白書は隔年で発表されているもの。今回の国防白書では「北朝鮮は敵」という名指しの表現が削除され、かわって「韓国の主権、国土、国民、財産を脅かし、侵害する勢力を我々の敵とみなす」という曖昧な表現となっている。
さらに「キルチェーン」や「大量反撃報復」など北朝鮮を刺激しそうな軍事用語も削除されている。北朝鮮の核兵器の水準は2年前に比べて上がったとしているが、通常兵器については同水準だとしている。...
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15日、韓国国防省は「国防白書」を発表した。国防白書は隔年で発表されているもの。今回の国防白書では「北朝鮮は敵」という名指しの表現が削除され、かわって「韓国の主権、国土、国民、財産を脅かし、侵害する勢力を我々の敵とみなす」という曖昧な表現となっている。
さらに「キルチェーン」や「大量反撃報復」など北朝鮮を刺激しそうな軍事用語も削除されている。北朝鮮の核兵器の水準は2年前に比べて上がったとしているが、通常兵器については同水準だとしている。なお「国防白書」のトップページには、文在寅大統領と金正恩委員長の写真が掲載されている。
北朝鮮は今回発表された「国防白書」に対してまだ反応を示していないが、15日の朝鮮中央通信は「板門店宣言」と「平壌宣言」を履行するように韓国に呼び掛けている。
一方今回の国防白書では、「自由民主主義および市場経済領域における韓日共通の価値観」という表現も削除され、またこれまでは韓日、韓中、韓露の順番であったものが、韓中、韓日、韓露の順番に調整されている。さらに2016年に比べて韓中の国防交流協力に1頁以上が割かれ、反対に2016年版にはあったTHAAD(高高度防衛ミサイル)に関する記述がなくなっている。
韓国外交部は、今週北朝鮮の金英哲副委員長が訪米し、ポンペオ国務長官と会談し、第二次米朝首脳会談の事前準備をするほか、15日に北朝鮮の対米外交の責任者である崔善姫外交部次官がスェーデンに向かったのも、米国側との折衝を行うためではないかとの見方を示した。なお先週金正恩委員長はトランプ大統領からの親書を受け取っているという。
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米朝首脳会談は2月に?露朝の外交官も接触(1月14日)
韓国メディアが第二次米朝首脳会談を2月第3週にベトナムで行うことを米国が提案したと報じた。日時に関しては、第2週(3-9日)と報じている新聞もある。
昨年トランプ大統領が金正恩委員長にクリスマスカードを送り、第二次米朝首脳会談の時期と場所を提案したとみられる。金正恩委員長もトランプ大統領に親書を返信している。
ただし第二次米朝首脳会談が2月に行われたとしても、トランプ大統領が内政問題に手一杯であることから、昨年6月の米朝首脳会談のときよりもさらに事前準備に時間を割いている様子はなく、非核化などに関して大きな進展は望みえないのではないかと思われる。...
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韓国メディアが第二次米朝首脳会談を2月第3週にベトナムで行うことを米国が提案したと報じた。日時に関しては、第2週(3-9日)と報じている新聞もある。
昨年トランプ大統領が金正恩委員長にクリスマスカードを送り、第二次米朝首脳会談の時期と場所を提案したとみられる。金正恩委員長もトランプ大統領に親書を返信している。
ただし第二次米朝首脳会談が2月に行われたとしても、トランプ大統領が内政問題に手一杯であることから、昨年6月の米朝首脳会談のときよりもさらに事前準備に時間を割いている様子はなく、非核化などに関して大きな進展は望みえないのではないかと思われる。
一方ロシアのメディアは、駐朝ロシア大使館の情報として、北朝鮮外務省の崔善姫次官が、マツェゴラ大使と会見し、金正恩訪中の成果を報告し、意見交換を行った報じた。報道によれば両者は朝鮮半島の非核化についても意見交換したとされている。
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朝鮮半島は新しい局面を迎えられるのか(1月12日)
金正恩訪中に関する報道で、中国側の報道は、中国の朝鮮半島問題に対する重要性を強調しながらも、米国を刺激しないような報道に終始していた。ただし1月10日の「朝鮮中央通信」は、中国側の報道にはなかった「非核化交渉過程を(朝中で)共同で研究・操縦」していく問題を話し合ったと伝えている。
一方中国の人民日報系の「環球時報」は1月10日付の社説で、「2019年は朝鮮半島情勢が安定した平和を迎えるか否かの鍵となる年」として、これまでの朝鮮半島情勢は、良くなるかと思われると、悪化させる状況が起こるという、好悪の循環があったが、それを断ち切り、一歩ずつでも安定した局面に入れるかどうかの鍵となる年だとしている。...
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金正恩訪中に関する報道で、中国側の報道は、中国の朝鮮半島問題に対する重要性を強調しながらも、米国を刺激しないような報道に終始していた。ただし1月10日の「朝鮮中央通信」は、中国側の報道にはなかった「非核化交渉過程を(朝中で)共同で研究・操縦」していく問題を話し合ったと伝えている。
一方中国の人民日報系の「環球時報」は1月10日付の社説で、「2019年は朝鮮半島情勢が安定した平和を迎えるか否かの鍵となる年」として、これまでの朝鮮半島情勢は、良くなるかと思われると、悪化させる状況が起こるという、好悪の循環があったが、それを断ち切り、一歩ずつでも安定した局面に入れるかどうかの鍵となる年だとしている。平和的な局面に入れるか否かの責任は、北朝鮮にだけあるのではなく、関係国総てにあるとしている。
さらにこの社説で注目されるのは、「2019年は朝鮮が社会主義経済建設という新しい道を行く元年になる」として、北朝鮮の経済発展が外部環境にも有利に働き、中朝の協力にとっても重要だとしていることである。中国の経済発展が周辺国の多大な利益をもたらしたように、北朝鮮の経済発展も中国経済、なかでも中国の東北地方の経済活力に有利に働くとも述べていることである。
北朝鮮では2018年4月に、それまでの核開発と経済建設の並進路線から、経済発展に路線を変更したが、中国としても、これ以上核開発をせずに北朝鮮が本気で経済発展の道をいくことが中国にとっても重要であり、相互交流、相互協力が朝鮮半島を平和に導く強力な保障となることから、経済面でも中国が北朝鮮を支持することが表明されている。
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南北関係融和が独り歩きしている(1月12日)
(金正恩党委員長が電撃訪中)
8日、北朝鮮・金正恩党委員長がまたしても電撃訪中した。習近平国家主席と会談を行った。核問題や朝鮮戦争終結に関して話し合われたものとみられる。北朝鮮の国営メディアは「中国・習近平国家主席が後ろ盾として北朝鮮を支持する意向を示した」と報道したが金委員長がメモをとるシーンはカットされた。これまでも南北首脳会談や米朝首脳会談の前後に中朝首脳会談が行われており、米朝首脳会談がまもなく開かれるのではないかとの憶測を呼んでいる。...
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(金正恩党委員長が電撃訪中)
8日、北朝鮮・金正恩党委員長がまたしても電撃訪中した。習近平国家主席と会談を行った。核問題や朝鮮戦争終結に関して話し合われたものとみられる。北朝鮮の国営メディアは「中国・習近平国家主席が後ろ盾として北朝鮮を支持する意向を示した」と報道したが金委員長がメモをとるシーンはカットされた。これまでも南北首脳会談や米朝首脳会談の前後に中朝首脳会談が行われており、米朝首脳会談がまもなく開かれるのではないかとの憶測を呼んでいる。金委員長にとって今回の訪中は自らの誕生日に中国を訪問することで強力な中朝関係をアピールする狙いがあったものとみられる。奇しくも北京では米中ハイテク・貿易戦争を解決するための米中次官級協議が開催されており、中国にとっては金委員長の電撃訪中が「北朝鮮問題を前に進めるには中国の協力が必要」であるということを米国に見せつけるためのまたとない機会となった。
(南北関係融和が独り歩きしている状況)
今年は中朝関係樹立70周年にあたり、その節目の年に金委員長が中国を訪問したことになり、北朝鮮は米国に対し朝中関係がゆるぎないことを見せつけることで制裁緩和の要求を強めようとしているが、現時点で米朝会談が近いと見ているのは韓国だけである。米国は国境の壁問題で一部政府機能が停止状態に追い込まれるなど、内政問題に忙しく、北朝鮮問題に取り組む余裕はほとんどない。中国は「北朝鮮の合理的な関心事項は解決されるべきだ」としながらも、北朝鮮問題の進捗には距離を置いている。金委員長は非核化交渉で障害があるとし、米朝の当局者の間でも北朝鮮の核兵器放棄交渉が進む見通しは立っていない。日本は徴用工問題、レーダー照射問題などによって日韓関係の対処にかかり切りであり、現段階では韓国が主導する流れには乗りにくいのが現状である。南北関係融和だけが独り歩きしている状況であり、例え米朝会談が開かれたとしても形式的なパフォーマンスに終わる可能性が高い。
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金正恩訪中で、米朝・南北も動き出すか(1月11日)
1月10日に北朝鮮の金正恩委員長は訪中を終え、北朝鮮に戻ったが、韓国では金正恩訪中により、米朝関係が動き出し、その結果南北関係も動き出すのではないかとの期待が高まっている。
韓国の「中央日報」は消息筋の話として、早ければ来週にも金英哲労働党副委員長が訪米し、ポンペオ国務長官と会談し、第二次米朝首脳会談の日程等が決まるのではないかとの記事を掲載している。韓国の「聯合ニュース」は、第二次米朝首脳会談が成果を上げれば、金正恩委員長の訪韓も順調に進み、さらに米朝間で北朝鮮への経済制裁の緩和が合意に至れば、開城工業団地や金剛山観光の再開および離散家族の再会の定例化が順調に進むのではないかとの期待を寄せている。...
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1月10日に北朝鮮の金正恩委員長は訪中を終え、北朝鮮に戻ったが、韓国では金正恩訪中により、米朝関係が動き出し、その結果南北関係も動き出すのではないかとの期待が高まっている。
韓国の「中央日報」は消息筋の話として、早ければ来週にも金英哲労働党副委員長が訪米し、ポンペオ国務長官と会談し、第二次米朝首脳会談の日程等が決まるのではないかとの記事を掲載している。韓国の「聯合ニュース」は、第二次米朝首脳会談が成果を上げれば、金正恩委員長の訪韓も順調に進み、さらに米朝間で北朝鮮への経済制裁の緩和が合意に至れば、開城工業団地や金剛山観光の再開および離散家族の再会の定例化が順調に進むのではないかとの期待を寄せている。また今年習近平総書記が訪朝することがあれば、中国の北朝鮮への経済協力も再開されるのではないか、さらに今回の訪中を契機として北朝鮮とロシアとの間でも首脳会談が行われるのではないかとの見方を示している。
さらに韓国の「毎日経済」は、朝鮮戦争の停戦協定を平和協定に転換するための体制が出来上がれば、米中韓朝の多国間会議も行われるのではないかとの見通しを示している。
一方ロイター社は、北朝鮮の非核化がなければ米国は制裁を解除しないだろうが、「鍵となるのは、非核化と同時に北朝鮮の体制が保証されるかである。これがなされなければ、却って米朝の不信感が強くなってしまうため、この点で中国が仲介の役割を発揮しなければならない」という朝鮮問題研究家の話を紹介している。
また英国の「ガーディアン」は、一旦経済制裁が解除されたならば、中国は北朝鮮の経済改革を支持する唯一の国家となるだろうから、最終的な北朝鮮の非核化のためには、中国の支持が重要になってくる、としている。
いずれにしろ、今回の金正恩委員長の訪中を契機として、北朝鮮をめぐる国際情勢が一気に動き出すことになりそうである。
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