ロシア:政府は6か月間の石油製品輸出の一時中断を発令(2024/03/02)
『仏ルモンド誌』は、3月1日付けで ロシア政府が燃料輸出を6カ月間中断すると発表したことを伝えている。この発令は、ウクライナ軍のこれまでの度重なるロシアの石油タンク攻撃の成果を物語るものと見られる。
ロシア政府のエネルギー担当のアレキサンドル・ノバック副大臣は、燃料の欠乏と燃料価格の高騰を懸念して、ガソリンとディーゼル油などの燃料輸出を一時的に中断する措置を講じたと発表した。2月29日木曜日に、ミハエル・ミチュスチイン首相により承認を受けて、3月1日から9月1日まで石油製品の輸出が中断されることになった。
しかし、今回の政令によると、ロシアの輸出企業はユーラシア経済連合諸国(ベラルーシ、カザフスタン、アルメニア、キルギス)、モンゴル、ウズベキスタン、およびロシアの経済圏となっているジョージアの2州、南オセチアとアブカジアなどにはこれまでどおり、輸出を継続できるという。...
全部読む
ロシア政府のエネルギー担当のアレキサンドル・ノバック副大臣は、燃料の欠乏と燃料価格の高騰を懸念して、ガソリンとディーゼル油などの燃料輸出を一時的に中断する措置を講じたと発表した。2月29日木曜日に、ミハエル・ミチュスチイン首相により承認を受けて、3月1日から9月1日まで石油製品の輸出が中断されることになった。
しかし、今回の政令によると、ロシアの輸出企業はユーラシア経済連合諸国(ベラルーシ、カザフスタン、アルメニア、キルギス)、モンゴル、ウズベキスタン、およびロシアの経済圏となっているジョージアの2州、南オセチアとアブカジアなどにはこれまでどおり、輸出を継続できるという。
このように、世界3位の原油生産国であるロシアで石油製品輸出規制が取られるのは珍しいことで、突然のロシア国内の化石燃料供給不足を避けるための措置と見られる。ロシア政府としては、一時的な措置で輸出制限をかけることで今後の燃料需要が高まる時期においても燃料価格を安定させたいと考えている。とりわけ、ロシアでは種まきの季節をひかえ、さらにウクライナ戦争では戦車、装甲車、ミサイル基地や兵員輸送や兵器の輸送でガソリンやディーゼルなどの燃料の需要が高まっている。ロシアの関係筋によると、燃料価格はこのところ、8%から23%の範囲で高騰しているという。
それに加え、ウクライナ侵攻が3年目に突入した現時点で、ウクライナ軍の ドローン攻撃が、ロシアの石油精製生産能力に少なからず影響を与えている。すなわち、今年の 1月からウクライナ軍は、ロシアの石油精製設備に再三、ドローン攻撃をかけていて成果をあげている。
『ブルームバーグ』データバンク会社によると、ロシア国内の6か所の大規模石油精製設備がウクライナのドローン攻撃を受けて、大きな損害を受けたという。これらの6か所の石油精製設備でこれまで、ロシア国内消費用全原油の18%を処理していたと報告している。
閉じる
ウクライナ戦争:EUはウクライナ軍に欠乏した砲弾調達先として韓国を有望視(2024/03/02)
『フランス国際ラジオ局(RFI)』は、2月29日付けで ウクライナの砲弾が欠乏している状況に直面した中で、2月26日月曜日にパリで開催された、ウクライナを支援するEUの25か国会議でチェコにより提案された率先行動を紹介している。 チェコの提案は、EU各国が、相互に資金を提供し合って、その資金で欧州以外から砲弾を購入し、ウクライナに直接、砲弾を供給しようとする仕組みで、EU諸国の中にはフランスを含め、相互資金の提供に賛同する国が増えていることを伝えている。さらに、この仕組みを運用する上で、世界で有数の砲弾生産国の1つである韓国の協力が、ウクライナ軍にとって重要になることを指摘している。
これまで、EUは2024年3月までにウクライナに100万発の砲弾を提供することを約束していたが、ウクライナのゼレンスキー大統領は、現在まで30%しか提供されていないと苦情を訴えている。理由は、EU諸国の兵器産業で火薬が不足しているため、100万発の砲弾の注文に追い付かないためである。
この状況を打開するため、EUとしては欧州以外の国に調達先を替える必要が生じている。まず、インドやエジプトでは砲弾のストックが大量にあると考えられている。...
全部読む
これまで、EUは2024年3月までにウクライナに100万発の砲弾を提供することを約束していたが、ウクライナのゼレンスキー大統領は、現在まで30%しか提供されていないと苦情を訴えている。理由は、EU諸国の兵器産業で火薬が不足しているため、100万発の砲弾の注文に追い付かないためである。
この状況を打開するため、EUとしては欧州以外の国に調達先を替える必要が生じている。まず、インドやエジプトでは砲弾のストックが大量にあると考えられている。しかし、モントリオール大学のバンサン・トレ教授は、「調達先としては、世界での最大砲弾生産国の1つ、韓国が有力で、これまでウクライナの砲兵隊に大量の砲弾を供給してきた実績がある。」と指摘している。
トレ教授は、さらに「ウクライナのこれまでの反撃が可能となったのは、韓国が米国を通じて、ウクライナ軍に50万発の砲弾を供給することを承諾したために他ならない。 韓国は、自国の利益が絡んでいて、ウクライナが戦争でロシアに負けることがあったとしたら、それはロシアが韓国の隣国、北朝鮮を駆り立てて、その砲弾を購入したためとなる。そのため、ロシア、北朝鮮同盟を敗退させる必要がある。」と説明している。
韓国はこれまでに、ポーランド軍に大々的に武器を提供しており、その後のウクライナ戦争を通じてロシアとの欧州の軍事力均衡を保つためには、無くてはならない重要な役割を果たしているという。韓国では特に過剰すぎるストックを有しており、長年の軍事産業の発展によるという。
閉じる
その他の最新記事