米・ロシア・フィリピン・中国メディア;南シナ海をめぐる新たな動き(2)(2016/08/16)
先に報じたとおり、中国は、南シナ海の人工島に戦闘機等の格納庫を建設しているだけでなく、新たな衛星を打ち上げて同海域を宇宙からも監視しようとしている。一方、この動きに対抗するように、ベトナムは、常設仲裁裁判所(PCA)の裁定を追い風に、西沙(パラセル)諸島での轍を踏まないよう、南沙(スプラトリー)諸島のいくつかの島にロケット砲を配備し始めている。そして、中国の動きを警戒している日本は、岸田外相にフィリピンを訪問させ、ドゥテルテ新大統領と会談の上、対中国政策について突っ込んだ協議を推し進めている。
8月11日付米
『ロイター通信米国版』:「フィリピン、“妥協することなく”中国に対してPCA裁定の尊重を求めていくと表明」
「●フィリピンのペルフェクト・ヤサイ外相は8月11日、フィリピン訪問中の岸田文雄外相と会談した際、中国に対して、南シナ海においてもまた東シナ海においても、PCA裁定やその他国際法を尊重するよう強く求めていくと表明。
●日本とフィリピン両国は、同海域の安保上の協力や、日本側の経済支援等について協議。...
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8月11日付米
『ロイター通信米国版』:「フィリピン、“妥協することなく”中国に対してPCA裁定の尊重を求めていくと表明」
「●フィリピンのペルフェクト・ヤサイ外相は8月11日、フィリピン訪問中の岸田文雄外相と会談した際、中国に対して、南シナ海においてもまた東シナ海においても、PCA裁定やその他国際法を尊重するよう強く求めていくと表明。
●日本とフィリピン両国は、同海域の安保上の協力や、日本側の経済支援等について協議。」
同日付フィリピン
『ザ・マニラ・タイムズ』紙(
『AFP通信』記事引用):「日本とフィリピン、中国に国際海洋法尊重を要求していくことで一致」
「●岸田外相は、ロドリゴ・ドゥテルテ新大統領とも会談し、南シナ海問題で、PCA裁定を尊重し、国際法に基づいた平和的解決を中国側に求めていくことで一致。
●一方、フィリピン最高裁判所のアントニオ・カルピオ上級判事は8月11日の講演会で、フィリピン政府に対して、中国を相手取って損害賠償請求を提訴するよう提言。
●同判事は、PCA裁定で中国主張が退けられた以上、中国から被害を受けた漁船やその他諸々の損害について、新たな訴訟を起こすべきと主張。
●同判事は、1986年に米国を相手取って国際司法裁判所(ICJ)に提訴したニカラグアの例を引いて、ICJはニカラグアの訴えを認めており、フィリピンが勝つ可能性が高いとコメント。」
一方、8月12日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「日
本、フィリピンとベトナムとの軍事協力強化を追及」
「●南シナ海における中国と東南アジア諸国との領有権問題が悪化する中、日本政府は2017年度以降、フィリピンとベトナムにおける駐在武官の数を増やし、両国との軍事連携強化を追及。
●今年4月1日現在、日本は合計61名の駐在武官を世界各国及び国際機関に派遣しているが、現在1名ずつのフィリピン、ベトナム駐在武官を、2017年度よりそれぞれ2名に増やすことを決めたと発表。
●なお、今年に限っても日本は、フィリピンに防衛装備品の提供について契約を締結し、また、4月には、ベトナムのカム・ラン湾に2隻の駆逐艦を歴史的派遣。」
また、同日付中国
『環球時報』:「日本はフィリピン軍港に注目と専門家が分析」
「●日本とフィリピンは8月11日、中国に対して領土問題解決のため国際法に準拠するよう要求していくことで一致と発表。
●しかし、中国の軍事専門家は、日本の本当の目的は、フィリピンの軍港に艦船を派遣しやすいよう下地作りをすることだと分析。
●また、日本はフィリピンの防衛力強化に資するため、監視船やP-3C哨戒機を低価格、場合によって無償で提供する意向。
●なお、
『朝日新聞』は、中国の度重なる東シナ海での中国公船等の領海侵入に対して、日本が何度も非難してきたことに抗議するため、中国側が外交部の胡正躍(コン・シャンヨウ)部長補佐の訪日を取り止めることを通告してきたと報道。
●また同紙は、日本政府関係者の話として、今の状況で、9月初めのG20サミット(浙江省杭州市)において、安倍晋三首相と習近平(シー・チンピン)主席との会談の設定は難しいとコメントしたとも報道。」
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米・英・ロシア・フィリピン・中国メディア;帝国(中国)の逆襲(2016/06/10)
【時流】及びGlobal iで詳報されているとおり、日米を中心として、G7伊勢志摩サミット、シンガポール・ダイアローグ(アジア安全保障会議、更に、米中戦略・経済対話を通じて、中国の南シナ海における海洋活動について集中砲火を浴びられた腹いせか、中国はここへきて、フィリピンに国際仲裁裁判所(PCA)提訴取り下げを強要し、米軍偵察機には戦闘機をニアミスさせ、更に、東シナ海尖閣諸島に軍艦を派遣と、立て続けに逆襲に出ている。
6月8日付米
『ジ・エポック・タイムズ』オンラインニュース:「米国、中国戦闘機が米軍機の飛行妨害と非難」
「・米国太平洋軍司令官は6月7日、中国人民解放軍の戦闘機“成都(チョンドゥ)J-10”2機が、東シナ海の国際空域を飛行中の米軍偵察機“RC-135”の進路を妨害したと発表。
・今年5月に続いて2度目のニアミスで、昨年に米中も署名した“海上衝突回避規範(CUES)”に違反するものと非難。...
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6月8日付米
『ジ・エポック・タイムズ』オンラインニュース:「米国、中国戦闘機が米軍機の飛行妨害と非難」
「・米国太平洋軍司令官は6月7日、中国人民解放軍の戦闘機“成都(チョンドゥ)J-10”2機が、東シナ海の国際空域を飛行中の米軍偵察機“RC-135”の進路を妨害したと発表。
・今年5月に続いて2度目のニアミスで、昨年に米中も署名した“海上衝突回避規範(CUES)”に違反するものと非難。」
同日付英
『UKニュース』:「東シナ海上空で、中国戦闘機が米軍機に“危険な”異常接近」
「・米国太平洋軍司令官が、国防総省から中国に対し、外交・軍事上チャネル経由厳重に抗議したと発表。
・これに対して中国国防部は、調査中としながらも、米国は事態をいつも大袈裟にしようと画策していると反論。」
一方、同日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「中国、
南シナ海に最新鋭の深海研究所を建設計画」
「・中国は南シナ海に様々な設備を建設中だが、6月7日の情報では、深海探査等に資するための深海研究所を建設する計画。
・深度9,800フィート(約2,900メーター)に構える予定で、未開発の深海資源の探査、採掘等に当る。
・中国社会科学院の東南アジア地域担当の徐(シュウ)主任研究員は、他国を標的とするものでなく、あくまで民生用の施設であり、他国が深海研究に同様の設備を保有していることと変わりないと説明。」
また、6月10日付フィリピン
『ザ・マニラ・タイムズ』:「(中国の)灯台が領有権争いのある諸島に建設」
「・中国国営メディア
『新華社通信』は6月6日、中国がミスチーフ礁とファイアリークロス礁に築いた人工島の上に、今年中にそれぞれ1基ずつ灯台を建設すると発表。
・この発表は、6月10日から沖縄東方で開催される、日米インドの合同演習に先駆けたもので、中国側の抵抗の表れ。
・なお、両礁は中国が軍事拠点化の中心と位置付け、滑走路を建設済みで、また、ファイアリークロス礁には、最新鋭設備が整った病院も建設中。」
一方、同日付中国
『新華社通信』:「駐米中国大使館、南シナ海に関わるウォール・ストリート・ジャーナル社説を非難」
「・駐米中国大使館の朱海権(チュー・ハイクァン)報道官は6月9日、
『ウォール・ストリート・ジャーナル』の社説は“無謀で憂慮すべきもの”とする書簡を同紙に送付。
・同紙の6月3日社説では、米軍がしばしば航行の自由作戦に基づき軍艦等を南シナ海に派遣しているのは、中国がフィリピン提訴のPCA裁定を拒否するとしているためで、必要な行為と主張。
・中国側は、フィリピンによる一方的なPCA提訴であることから拒否しているもので、また、南シナ海の中国の主権は国連海洋法条約(UNCLOS)発効以前の権利であり、UNCLOSの取決めが許容する範囲内で活動しているものと主張。
・更に、米軍の航行の自由作戦は南シナ海の安定を反って損なうものと反論。」
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