ポーランドのクラクフで開催されたユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産委員会は9日、福岡県の古代遺跡「“神宿る島”宗像・沖ノ島と関連遺産群」を世界文化遺産に登録することを決めた。諮問機関の国際記念物遺跡会議(イコモス)は、5月に構成遺産の半数の除外を求める勧告を出していたが、これを覆し日本が推薦した8資産全ての登録を決定した。世界遺産委員会の決定については、各国メディアが報じており、沖ノ島についてもBBCやバンコク・ポストなどが説明している。
「“神宿る島”宗像・沖ノ島と関連遺産群」は玄界灘に浮かぶ福岡県宗像市の沖ノ島や宗像大社など、8つの構成資産から成る遺産群で、沖ノ島は日本列島と朝鮮半島の間に位置し、500年にわたり航海の安全を祈って、膨大な量の奉献の品を用いた祭祀が行われてきたところである。金製の指輪や青銅の鏡、勾玉等の10万点の宝飾品等があり、その内8万点が国宝に指定されていて「海の正倉院」とも呼ばれている。沖ノ島は宗像大社の3宮の1つである沖津宮の神領であり、神が住む島として島自体が信仰の対象とされ、人の自由な立ち入りが禁止されてきた。島に上陸できるのは、基本的に宗像大社の男性の神職1名だけで、女人禁制の伝統がある。
BBCは、女人禁制の古代の宗教的な資産であり、17世紀に船員の安全を祈るために建設された宗像大社沖津宮のある島として、上陸する前には服を脱いで禊をしなければならないこと、島から帰る際には何も持ち帰ってはいけないし、島を訪れた際の詳細を明かしてはならないなどと説明している。沖ノ島は、沖津宮が建設されるずっと前から、海に出て朝鮮や中国と無事に交易ができるよう祈祷をする人々が宗教的儀式を行う島であり、朝鮮半島製の金の指輪など、海外から持ち帰った非常に多くの工芸品が島で見つかった、とジャパン・タイムズの記事を引用して解説した。島では現在年に1日だけ、毎年5月27日に訪問者を迎え入れるが、今も古式に則っていること、訪問者の数は200に限られており、海で禊の儀式をしなければならないこと、そして最も議論を呼ぶところだが、男性に限ると報じている。
バンコク・ポストは、日本の南西部にある神聖な島と3つの岩礁、他4つの関連資産が世界遺産に決定したとして、資産の構成内容だけでなく、イコモス勧告後の世界遺産委員会委員に対する日本側のロビー活動等も含めた決定過程について詳しく伝えている。9日の決定は、日本の世界遺産登録としては5年連続となり、これで登録数は、文化・自然遺産両方で21になったことや、BBCと同様、沖ノ島が航海の安全を祈る女人禁制の島であり、男性も年に一日だけ、そして200人だけが伝統的な方式に則って訪問していること、島には海外から持ち帰った国宝級の装飾品等が多くあり、朝鮮半島で作られた金製の指輪やペルシャ由来のガラス製品などもあると説明した。
事前審査をした諮問機関イコモスは、8件の構成資産の一体性について、資料に基づく証明が不十分として、今年の5月、沖ノ島、宗像大社・沖津宮と周辺の3岩礁以外を除外する厳しい勧告を出した。これを受けて日本側は、世界遺産委員会の委員への説明活動を丁寧に行って巻き返した結果、沖ノ島の古代の祭祀と宗像大社に伝わる信仰との間の全体的な連続性が認識され、8資産の一括登録が承認された。女人禁制の点について委員から疑問が呈されたが、多くの女性が儀式も含め資産の保存に積極的に関わっていることを説明し、理解を得た。
ユネスコの世界遺産委員会は、今回33の資産について検討を行った。「“神宿る島”宗像・沖ノ島と関連遺産群」以外で世界遺産への登録が認められたのは、カンボジアのサンボー・プレイ・クック考古遺跡、英国・イングランドの湖水地方、エリトリアの首都アスマラの近代建築、イラン・ヤズドの歴史都市、アルゼンチンのロス・アレルセス国立公園、ドイツのバーデン・ヴュルテンブルク州の洞窟群、トルコのアフロディシアス遺跡、ブラジル・リオデジャネイロのヴァロンゴ埠頭の古代遺跡等である。
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安倍首相は、昨年10月の改造内閣閣僚を発表した際、“1億総活躍社会”構築を目指し、その中でも少子高齢化対策に重きを置いて、希望出生率1.8への引き上げのため子育て支援策などへ積極的に取り組んでいくと力説した。しかし、今の若人にはこの言葉が響いていないのか、直近の若人の世論調査の結果、独身男性の70%、独身女性の60%が特定の交際相手を持たず、更に半数近くが性体験も未経験であることが判明した。これでは益々少子化が進んでしまうのではと懸念されるが、一筋の光は、かつては最悪だった出産した女性の職場復帰率が50%を超えたことである。
9月16日付米
『ワシントン・ポスト』紙:「世論調査の結果、日本の若人の未経験者が深刻なほど多数」
「●
『ジャパン・タイムズ』紙によると、18~34歳の若人を対象にした直近の調査の結果、独身男性の70%、独身女性の60%が特定の交際相手を持たず、しかも、男性の約42%、女性の44.2%が性体験の未経験者。
●同調査は、国立社会保障・人口問題研究所(NIPSSR。1939年設立の、厚生労働省傘下の機関)が5年毎に実施。
●2010年の、同じく18~34歳(当時)の前回調査では、未経験者だったのは男性の36.2%、女性の38.7%。
●安倍晋三首相は、少子高齢化対策の一環で、子育て支援や婚姻夫婦への減税策等により、2025年までに希望出生率を1.8(現在1.4)に上昇させるとしているが、この効果が上記調査結果には未反映。
●ただ、日本においてかつては最悪だった、出産した女性の職場復帰率が50%超まで上昇。」
同日付米
『ザ・デイリィ・コーラー』オンラインニュース:「日本の若人のセックスレスが問題レベル」
「●前回調査結果よりもセックスレス、また未経験者が増えていることから、日本の若人が、異性との交際や結婚、更には子供を産んで育てることから益々遠のいている傾向。
●前回調査時の2010年の人口は1億2,806万人だったのに対して、今回調査時の2015年では1億2,710万人に減少。
●一方、その間に65歳以上が占める割合が3分の1以上となり、100歳以上の高齢者が6万5,692人。
●このままの傾向が続くと、2050年には65歳以上の人口が全体の40%を占める程超高齢化社会となる恐れ。」
9月17日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「セックスレスが進む日本:若人の半数近くが未経験」
「●NIPSSRの調査の回答者は、男性2,706人、女性2,570人の18~34歳の若人。
●同調査回答者の90%近くが、いつかは結婚したいとするも時期は未定で、30%は特定の交際相手を探していないとの結果。
●NIPSSR人口構造研究部の石井太部長は、多くの若人が(恋愛、収入等の)理想と現実のギャップに苦しみ、益々婚姻年齢が高くなり、そして最終的には一生独身で良いという人が増えることとなり、結果として出生率が減少していると分析。」
9月18日付シンガポール
『ザ・ストレーツ・タイムズ』紙:「世論調査:日本の未婚の若者の約半分が未経験」
「●NIPSSRの調査は、1987年以降5年毎に実施。
●最新の2015年調査は、昨年6月に8,754人の独身者及び6,598人の既婚者を対象に実施したもので、その分析結果を9月15日発表。
●安倍政権は、少子高齢化対策の一環で、希望出生率を1.8に引き上げるべく、子育て支援等の対策を講じているが、今回の調査結果では、恋愛や婚姻を後押しするキューピッド役も必要と判明。」
草食系男子(同女子)などという言葉が流行って久しいが、恋愛に奥手な若人が増えているだけでなく、一方で、スマートフォンの普及によって、ゲームや疑似恋愛含めて、バーチャル世界で満足してしまう若人が増えていることも原因ではなかろうか。
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