マレーシア;親中派のマハティール元首相、中国を孤立化させるとしてバイデン大統領主導のインド太平洋経済連携枠組みを非難【米・マレーシアメディア】(2022/05/28)
マレーシアのマハティール・ビン・モハマド元首相(1981~2003年第4代、2018~2020年第7代首相在任、現在96歳)は親中派で知られ、2010年代にバラク・オバマ政権(2009~2017年)下で進められていた環太平洋経済連携協定(TPP)について、中国を阻害しているとして反対していた。そしてこの程、ジョー・バイデン大統領(79歳)が主導して発足させたインド太平洋経済連携枠組み(IPEF、注後記)についても、同元首相が中国を孤立させるだけでアジアの経済発展を阻害するとして非難している。
5月28日付米
『AP通信』は、「マレーシア元首相、米国主導の経済連携枠組みは中国を孤立させるだけと非難」と題して、マハティール・ビン・モハマド元首相が、先週米国主導で発足させたIPEFに関し、悪戯に中国を孤立させるだけでアジアの経済発展に繋がらないと非難したと報じている。
マレーシアのマハティール・ビン・モハマド元首相は5月27日、米国主導でこの程発足したIPEFに関し、中国を孤立させるだけの目的であり、また、中国なしにはアジアにおける経済発展は望めないと非難した。...
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5月28日付米
『AP通信』は、「マレーシア元首相、米国主導の経済連携枠組みは中国を孤立させるだけと非難」と題して、マハティール・ビン・モハマド元首相が、先週米国主導で発足させたIPEFに関し、悪戯に中国を孤立させるだけでアジアの経済発展に繋がらないと非難したと報じている。
マレーシアのマハティール・ビン・モハマド元首相は5月27日、米国主導でこの程発足したIPEFに関し、中国を孤立させるだけの目的であり、また、中国なしにはアジアにおける経済発展は望めないと非難した。
ジョー・バイデン大統領は5月23日、訪日の機会を捉えて、日本を含めた13ヵ国による新たな経済圏構想IPEFを発足させた。
米国としては、アジアにこれまで以上に密接に関わる枠組みだとして、サプライチェーン、ディジタル貿易、クリーンエネルギー、腐敗防止の4分野における連携強化を目指すとする。
IPEF加盟の13ヵ国合計で、世界の国内総生産(GDP)の40%を占める巨大経済枠組みとなる。
しかし、これに対してマハティール元首相は、“アジア地域の経済発展のためにならない”と強く非難した。
『日本経済新聞』(1876年創刊)主催で東京において開催された、第27回「国際交流会議・アジアの未来」で講演したもので、同元首相は、“中国はマレーシアにとって最大の貿易相手であり、中国なしに将来は考えられない”とし、“アジアにとっても、世界最大レベルの経済規模を誇る中国を除いての発展は望めない”と強調した。
しかし、日本の外務省発表によると、マレーシアのイスマイル・サブリ・ヤアコブ第9代首相(62歳、2021年就任)が同日、岸田文雄首相(64歳)と会談し、IPEF発足を共に歓迎した上で、同枠組みを通じてディジタル変革、サイバーセキュリティ、新技術開発、及びサプライチェーン強靭化で相互協力していくことを確認したという。
なお、マハティール元首相は、長い間の首相在任中も含めて、特に途上国を代弁する事実上の報道官とみられてきていて、しばしば西側先進国を批判してきていた。
同氏は齢96歳であるが、依然マレーシアでは影響力がある人物である。
同日付マレーシア『マレーメール』紙(1896年創刊)は、「ドクター・マハティール、経済発展のためには富裕の中国を怒らせてはならないと各国首脳に苦言」と題して、マハティール元首相(1953年にシンガポール医科大学を卒業して医師免許取得)が、国際会議に出席した各国首脳を前に苦言を呈したと報じている。
マハティール元首相は5月27日、東京で開かれた国際会議の席上、出席した各国首脳の前で、米国主導で発足した13ヵ国のIPEFに関し、地域の経済発展のためには富裕国の中国を除け者にしてはならないと非難した。
同元首相は、“中国はマレーシアにとって重要な貿易相手国であり、彼らと衝突するようなことはあってはならない”とし、“米国は、地政学的にみてもアジアから中国がいなくなることはないということをよく理解すべきだ”とも強調した。
更に同元首相は、“米国はいつも、中国を孤立させるためにこのような枠組み作りを行っている”とした上で、“多くの関係国は、IPEFが経済連携などではなく、政治的枠組みだということを認識する必要がある”とも言及している。
(注)IPEF:中国主導で2020年に成立した「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)」に対抗する手段として、RCEPに参加していないインドを巻き込んで発足させた枠組み。米国の他、日本・インド・韓国・豪州・NZ・タイ・インドネシア・シンガポール・フィリピン・ベトナム・マレーシア・ブルネイの計13ヵ国。サプライチェーンの強靭化、クリーンエネルギー・脱炭素、税制・汚職対策、公正で強靭な貿易、の4分野での連携強化を目指す。
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日本他で入港拒否された米クルーズ船乗客に新型コロナウィルス感染者【米・マレーシアメディア】(2020/02/16)
2月11日付Globali「
日本で入港拒否された米クルーズ船、避難先のタイで下船可能?」で報じたとおり、新型コロナウィルス感染の疑いがある乗客がいることを理由に、横浜港入港を拒否された米クルーズ船“ウエステルダム号”は、止む無く次の避難先のタイへ向かった。結局タイでも受け入れを拒否され、最終的に、中国から裏で突き上げがあったためか、親中国派のカンボジアが入港を認めた。しかし、下船した第1陣の乗客の中に、新型コロナウィルス感染者がいることが判明し、今後の対応に困難が立ちはだかることになっている。
2月15日付米
『USAトゥデイ』紙:「米ホーランド・アメリカ社クルーズ船乗客の中に、新型コロナウィルス感染者」
『ブルームバーグ』及び『ロイター通信』報道によると、マレーシアの保健省が2月15日、カンボジア停泊中の米ホーランド・アメリカ社(1837年創業、本社シアトル)のクルーズ船“ウエステルダム号”乗客の一人である83歳の米国人女性が新型コロナウィルス感染者であることが判明したと発表した。...
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2月15日付米
『USAトゥデイ』紙:「米ホーランド・アメリカ社クルーズ船乗客の中に、新型コロナウィルス感染者」
『ブルームバーグ』及び『ロイター通信』報道によると、マレーシアの保健省が2月15日、カンボジア停泊中の米ホーランド・アメリカ社(1837年創業、本社シアトル)のクルーズ船“ウエステルダム号”乗客の一人である83歳の米国人女性が新型コロナウィルス感染者であることが判明したと発表した。
ただ、同婦人の夫は感染が認められていないという。
2月1日に香港を出航した本船は、当初2月15日に上海入港予定であったが、その後の中国本土での新型コロナウィルス感染拡大問題に遭遇し、日本、フィリピン、タイから入港を拒否されたため、最終的に受け入れを認めたカンボジアのシアヌークビル港に2月13日夜に到着していた。
そして、第1陣の数百人が空路でクアラルンプール(マレーシア)に向かったが、到着後の検査の結果、感染者が1人発見された。
米ホーランド・アメリカ社のバック・バンクス氏は『USAトゥデイ』紙他メディア宛の声明で、2,257人の乗員・乗客の中に発熱等を訴える人はおらず、同港で下船した乗客らには、文書で感染が疑われる症状がないことを確認した上で下船を許可したとしている。
更に、乗客全員のパスポートをチェックし、過去14日以内に中国本土に上陸したことがないことも確認していたとする。
2月14日朝にカンボジアで下船を認められた数百人の乗客は、歓声を上げて下船し、入港を許可したカンボジアのフン・セン首相に感謝の意を伝えた。
米ホーランド・アメリカ社広報担当のエリック・エルベジョード取締役は、乗客全員を2月16日までに下船させ、同社が用意したチャーター機でプノンペン空港まで移送し、その上で、自国宛の便に乗り換えて帰国してもらうと説明した。
なお、同氏によれば、自国までの航空券は同社が負担した上、今回のクルーズ船ツアー代金は返却し、更に、次回のツアーに招待する手筈としているという。
2月16日付マレーシア『マレーメール』オンラインニュース(『ロイター通信』)配信):「クルーズ船運航会社、カンボジア停泊中のクルーズ船乗客の新型コロナウィルス感染有無の再検査実施を要請」
クルーズ船“ウエステルダム号”の運航会社の米ホーランド・アメリカ社は2月16日、前日にマレーシア保健省から83歳の米国人女性乗客の新型コロナウィルス感染を確認したと発表されたことを受けて、再確認のため第2次検査も行うよう求めていると発表した。
同船受け入れを認めたカンボジア政府は、世界保健機関(WHO)及び米疾病予防管理センターの協力を得て検査を実施しているとしていることから、マレーシア政府にも、同検査結果を検証するよう求めている。
同船には1,455人の乗客及び802人の乗員が乗船しているが、日本、台湾、グアム、フィリピンそしてタイからも入港を拒否され、最終的に受け入れを認めたカンボジアに2月13日夜に到着していた。
同船の乗員・乗客は定期的に発熱・咳などの検査を行っており、症状が出ていない第1陣の乗客145人が下船し、空路マレーシアに移動したところ、唯一同米国人女性のみに新型コロナウィルス感染が認められた。
同婦人の夫に症状がみられるものの、今のところ新型コロナウィルス感染は認められていないという。
なお、横浜港停泊中のクルーズ船“ダイアモンド・プリンセス号”においては、3,700人余りの乗員・乗客のうち、既に285人に新型コロナウィルス感染が認められている。
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