習近平(シー・チンピン)国家主席は5年前、超大国としての礎を築くため、アジアインフラ投資銀行(AIIB)を立ち上げて、中央アジア・南アジア・アフリカ・欧州までをカバーする“一帯一路経済圏構想(OBOR)”をぶち上げた。初めの数年は、エネルギー価格下落に喘ぐ新興国含めて、世界第2位の経済大国に躍進した中国マネーに期待して、多くの国が諸手を挙げた。しかし、自国のインフラ等開発に当り、資金は供与でなく融資であること、また、雇用や成果物取引も中国企業中心に牛耳られる現実に直面し、債務超過を問題視する国々が、東南アジア(マレーシア・ラオス)、南アジア(パキスタン・スリランカ・モルディブ)、中央アジア(モンゴル・タジキスタン・キルギス)、アフリカ(ジブチ)で顕著になっている。直近でも、マレーシア首相がOBOR構想下の一大インフラ・プロジェクトからの撤退を決定したりと、OBORに対する逆風が止まらない。そこで習指導部は、一番発展が遅れているアフリカ諸国に焦点を当て、ここでのインフラ・プロジェクト成功実績を挙げるべく苦心惨憺している。
8月31日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』:「中国、アフリカ経済フォーラムの中で停滞しつつあるOBOR推進を強調」
中国政府は9月3日の週に、アフリカ諸国の首脳・経済人らを招いて、中国・アフリカ経済協力フォーラムを開催する。
中国高官によれば、30ヵ国以上の国の首脳と700人余りの起業家が出席するという。
香港科技大学(1991年創立の公立総合大学)のバリー・ソートマン政治学教授は、5年前に立ち上げたOBOR構想が、投資先のアジア諸国からの債務超過問題の提起に遭って停滞しつつあることから、中国政府が、同経済フォーラムを通じて、アフリカにおける大インフラ・プロジェクトの成功実績を挙げようとしていると分析する。...
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8月31日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』:「中国、アフリカ経済フォーラムの中で停滞しつつあるOBOR推進を強調」
中国政府は9月3日の週に、アフリカ諸国の首脳・経済人らを招いて、中国・アフリカ経済協力フォーラムを開催する。
中国高官によれば、30ヵ国以上の国の首脳と700人余りの起業家が出席するという。
香港科技大学(1991年創立の公立総合大学)のバリー・ソートマン政治学教授は、5年前に立ち上げたOBOR構想が、投資先のアジア諸国からの債務超過問題の提起に遭って停滞しつつあることから、中国政府が、同経済フォーラムを通じて、アフリカにおける大インフラ・プロジェクトの成功実績を挙げようとしていると分析する。
前回、2015年にヨハネスバーグ(南アフリカ)で開催された中国・アフリカ経済協力フォーラムにおいて、中国政府は約600億ドル(約6兆6,000億円)の特別優遇投融資を約束していた。そのためもあって、アフリカ大陸におけるOBOR構想にはこれまで、約9ヵ国が批准し、約20ヵ国が前向きな話を進めている。
米中大学共同シンクタンクのカーネギー・清華世界政策研究センターの唐暁陽(タン・シャオヤン)副所長は、これを更に進めるため、今回中国政府は、投融資額よりも受け入れ先にとってもっと有益な新規投融資政策を提示するものとみている。
なお、習近平国家主席は直近で行ったOBOR構想発表5周年を記念する演説の中で、同構想はチャイナクラブを作ろうとしたものでも、ましてや地政学的・軍事的同盟を創出しようと考えたものでなく、純粋に経済協力を推し進めようとしたものだと強調した。
また、中国・アフリカ経済協力フォーラムに先立って行われたブリーフィングで、銭克明(チャン・ケミン)副大臣は、同フォーラムを通じてアフリカ諸国との経済・通商関係を構築することが主目的であるとして、OBORに伴って借金地獄に貶めるような外交政策を進めるものではないと断言した。
同日付英『デイリィ・メール・オンライン』(『AFP通信』配信):「債務超過問題が取り沙汰される中、中国・アフリカ諸国首脳会議開催」
中国政府は、冷戦以降アフリカに資金的援助を続けてきたが、中国の経済発展に連れて、アフリカへの投資を活発化させてきている。
特に、南スーダンやコンゴ民主共和国等、安価な資源を有する国々への投資が盛んで、中国を世界第2位の経済大国に押し上げるのに、それらの資源事業が助けとなったことは紛れもない事実である。
ただ、投資先の国にとっては、雇用や成果物が中国企業に属し、何らうま味は残されていない結果となっている。
例えば、中国が初の海外軍事基地を設営したジブチでは、国内総生産(GDP)比債務が2014年の50%から2016年には85%まで急増しており、国際通貨基金(IMF)が危険信号を発している程である。
また、ケニアでは、中国が投資した鉄道建設プロジェクトが国立公園内まで進入しているばかりか、同国にとって大きな債務問題となっている。
しかし、ケニアの運輸相は先週、中国・アフリカ経済協力フォーラムの機会に、同鉄道建設プロジェクトの第2段階に関わる38億ドル(約4,200億円)の契約に調印すると表明している。
同日付ケニア『ジ・イースト・アフリカン』紙(『ロイター通信』配信):「債務超過問題にも拘らず、アフリカ諸国は依然中国に期待」
米ジョンズ・ホプキンス大学高等国際関係大学院の中国・アフリカ関係研究所発表のデータによると、中国は2000~2016年の間に、アフリカ諸国に対して1,250億ドル(約13兆7,500億円)もの融資を実行している。
ただ、その中で多くのアフリカ諸国が債務超過問題に苛まれている。
特に、エチオピアとザンビアは、中国側に債務額や返済条件の見直しを求めると表明している。また、銀行筋によると、アンゴラとコンゴ共和国は、既に見直し交渉を実施済みという。
同日付中国『人民日報』:「第6回中国・アフリカ経済協力フォーラムで相互協力促進」
中国国際貿易促進委員会(1952年設立の政府組織)の陳周(チェン・チョウ)副委員長は8月31日、9月3~4日に北京で開催される第6回中国・アフリカ経済協力フォーラムに先立って行われた記者会見で、同フォーラムを通じて、相互経済・通商協力が益々促進されることになろうと表明した。
同副委員長はまた、同フォーラム出席者一同が、習近平国家主席はもとより、他のアフリカ諸国の首脳の講演を楽しみにしているとも付言した。
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8月10日付米
『ロイター通信』:「ロス・アンゼルス郡検察、俳優セガール氏やアンダーソン氏をセクハラ容疑で取り調べ」
ロス・アンゼルス郡検察庁は8月9日、新たなセクハラ疑惑が申し立てられたとして、映画プロデューサーのハーベイ・ワインスタイン氏(66歳)、アクション俳優のスティーブン・セガール氏(66歳)、テレビ・コメディ俳優のアンソニー・アンダーソン氏(47歳)の3人を取り調べると発表した。
同検察が取り調べる、ワインスタイン氏の関わる容疑は6件に上るという。
ただ、同検察庁のグレッグ・リスリング報道官は、容疑の詳細もいつ起こったのかも明かさなかった。
ワインスタイン氏は2018年5月、70人以上の女性に対する、強姦を含む性的非行の容疑でニューヨーク市警によって逮捕、起訴されている。
同氏は、全て合意の上での行為だと主張して、容疑を否認している。
ワインスタイン氏に関するセクハラ疑惑は、2017年10月頃から、被害に遭ったと訴える女性が次々に現れ、“#MeToo”運動と呼ばれる社会現象にまで発展し、多くの産業界、政界、エンターテインメント業界で被害に遭った女性たちが声を上げる事態になっている。
一方、セガール氏は1980年代にヒットした“沈黙シリーズ”でスターとなったアクション俳優で、2016年にウラジーミル・プーチン大統領から直々にロシア国籍を付与されている。また、今月初めにもロシア政府から、米ロ間人的・文化交流促進特使に任命されたばかりである。
また、アンダーソン氏のセクハラ疑惑は、今年7月に初めて報道されていた。
エンターテインメント・オンラインニュースの『ザ・ブラスト』によると、ある女性からロス・アンゼルス市警に、昨年のあるイベントに参加した際に、同氏に襲われたとの被害届けが出されたという。
なお、同氏代理人は、“全く根拠のない申し立てで徹底的に争う”と述べている。
同日付英『デイリィ・メール・オンライン』:「ロス・アンゼルス郡検察、ワインスタイン氏、セガール氏、アンダーソン氏のセクハラ疑惑を再調査」
ロス・アンゼルス市警は8月8日、セガール氏とアンダーソン氏のセクハラ容疑の調書を郡検察庁に引き渡した。同検察庁報道官は、目下再調査中とのみコメントした。
一方、ビバリー・ヒルズ市警は、ワインスタイン氏に関し、今年6月に発生した3つ目のセクハラ容疑の調書を提出している。これで、同氏の取調べ対象容疑は6件となった。
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