ロシアによるウクライナ軍事侵攻を非難して、ロシア国内でも抗議デモが活発化しつつある。そうした中、ロシア当局が、抗議デモが反政府運動へと肥大化することを恐れてか、ロシア国内のフェイスブック(現メタ)やツイッターへのアクセスを制限し始めている。
2月27日付米
『AP通信』は、「インターネット監視組織、ロシア当局がフェイスブックへのアクセス規制と公表」と題して、ロシアによるインターネット規制着手について報じている。
英国本拠のインターネット統治状況を監視する組織ネットブロックス(2017年設立)は2月27日、ロシア当局がロシア国内のフェイスブックへのアクセスを制限する措置を講じていると公表した。
これに先立つ2月25日、ロシアのインターネット規制機関ロスコムネイザー(2008年設立)が、フェイスブックへのアクセスを“部分的に制限”する意向であると発表していた。
当局の意図は、フェイスブックのセキュリティ政策部門トップ(メタ・グローバル・アフェアーズ)が同日、ロシア国営メディアによる世界中のフェイスブック上の広告・宣伝を禁止する措置を講じるとしたことに反発したものとみられる。
フェイスブックは更に、ロシア政府から、ロシア国内のユーザーがロシアのウクライナ侵攻についての事実確認行為を受け付けないよう要求されたが、はっきりと断ったとも表明している。
なお、ネットブロックスによると、ツイッターについても2月26日、同様のアクセス規制が施されているという。
ツイッターはその前日、ウクライナとロシアにおいて、一時的に広告・宣伝を停止すると発表していた。
ただ、ツイッターやフェイスブックへのアクセス制限は、中国のユーザーが行っているように、VPNソフトウェア(ネットプライバシーを保護するソフトウェア)を駆使することで回避が可能である。
2月26日付英国『メール・オンライン』ニュースは、「フェイスブック運営のメタ、ロシア国営メディアが同ソーシャルメディア上での広告・宣伝を禁止」と題して、ロシア当局に対するインターネット企業の抵抗につき詳報している。
それによると、メタのセキュリティ部門が、ウラジーミル・プーチン大統領(69歳)主導で、ロシア人が支持しない違法な軍事侵攻に対する一般市民の抗議活動を取り締まる行為に出たことから、これに抗議する意味で、ロシアの国営メディアによる同ソーシャルメディア上の収益活動を一切禁止することにしたという。
同社セキュリティ政策部門トップのナタニエル・グレイチャー氏(2018年就任)は2月26日、ツイッター上で、“我が社は今後、ロシア国営メディアによる世界中のフェイスブック上での収益活動を禁止することとした”と表明している。
これに先立つ2月25日、プーチン大統領は、フェイスブックがロシア国営メディアの“検閲”をしていたとして、同ソーシャルメディアの“部分的規制”措置を講ずると発表していた。
ロシア当局によると、フェイスブックがロシアのウクライナ侵攻を理由としていくつかの国営メディアのアカウントに制限をかけたためだとする。
なお、マスメディア規制機関ロスコムネイザーは声明で、“独立系テレビ・チャンネルの『ドズド』(2010年開局)や『ノーバヤ・ガゼータ』紙(1993年発刊)が、ロシア軍によるウクライナ都市への砲撃で多くの市民が犠牲になっている等の「虚偽にニュース」を流している”と非難している。
更に、同規制機関はロシア検察からの要請に基づき、ラジオ局『モスクワのこだま』(1990年開局)等も“信頼性を欠く情報”を流しているとして糾弾した。
その上で、同機関は、かかるニュース配信を止めない限り、放送禁止措置や最大500万ルーブル(6万ドル、約690万円)の罰金を賦課すると発表している。
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ボリス・ジョンソン首相(57歳)はこの程、2019年末の総選挙時の公約を破って、増税案を議会に提出すると発表した。同首相は、誰も予想し得なかった世界的に流行した新型コロナウィルス(COVID-19)感染問題で、高齢者福祉や医療サービスに大きな負担が生じたことから、止むを得ない政策転換だと強調した。
9月7日付米
『AP通信』:「英国ジョンソン首相、高齢者福祉対策のため増税の賭け」
ボリス・ジョンソン首相は9月7日、英国における高齢者人口比率上昇の中、昨年総選挙時の公約である、長期的な高齢者福祉政策に取り組んでいく決意を述べた。
しかし、同首相は同時に、この実現のために増税を行う考えを表明したが、こちらは、増税はしないとした公約違反の政策となる。
同首相が庶民院(注1後記)議会で述べたもので、社会福祉と国民保健サービス(NHS、注2後記)のために今後3年間で360億ポンド(500億ドル、約5兆5千億円)を捻出する必要があり、保守党政権として“難しいが止むを得ない”決定だと訴えた。...
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9月7日付米
『AP通信』:「英国ジョンソン首相、高齢者福祉対策のため増税の賭け」
ボリス・ジョンソン首相は9月7日、英国における高齢者人口比率上昇の中、昨年総選挙時の公約である、長期的な高齢者福祉政策に取り組んでいく決意を述べた。
しかし、同首相は同時に、この実現のために増税を行う考えを表明したが、こちらは、増税はしないとした公約違反の政策となる。
同首相が庶民院(注1後記)議会で述べたもので、社会福祉と国民保健サービス(NHS、注2後記)のために今後3年間で360億ポンド(500億ドル、約5兆5千億円)を捻出する必要があり、保守党政権として“難しいが止むを得ない”決定だと訴えた。
同首相は更に、“これまでの政権は、この問題を何十年間も放置してきた”とした上で、社会福祉改革はこれ以上“ためらうことも、また先延ばしすること”もできないことだと付言した。
英国における高齢者、傷病者、及び身障者は、ほとんどが自助に頼らざるを得ない状況にあり、貯金を取り崩したり家を売却したりを余儀なくされている。
政府資料によれば、平均7人に1人(約14%)が10万ポンド(13万8千ドル、約1,520万円)を捻出しなければならなくなっており、これは“壊滅的で誰にも前以て予想できない”事態である。
同首相は具体的に、社会保険料を1.25%上げることを提案しており、就労者や経営者にとって“必要不可欠かつ公平な”措置であると付言した。
この政策が議会承認されて来年4月から実施されることになると、年に2万1千ポンド(2万7,500ドル、約303万円)負担してきた人にとって+180ポンド(248ドル、約2万7千円)の負担増となり、高所得者で年に6万7千ポンド(9万2千ドル、約1,010万円)支払ってきた人にとっては3倍以上の負担増となる。
ただ、同首相は、就労者のみへの負担増だとの非難をかわすため、配当収入に関わる所得税も1.25%増税すると表明している。
最後に同首相は、公約破りなど“軽々にできることではない”とし、“COVID-19の世界的流行問題は、誰にとっても予め予想して公約に織り込めるものではない”と強調した。
多くの介護組織は首相の表明を歓迎しているが、経営者等の専門組織「経営者協会(1903年設立)」は、“COVID-19感染流行問題から立ち直ろうとしている最中、事業推進や雇用促進に追加の負担増”となると非難している。
同日付英国『メール・オンライン』:「ジョンソン首相の社会福祉改革案反対の保守党議員は腰砕けに」
ボリス・ジョンソン首相が掲げた社会福祉改革政策に関し、反対の意を表明している与党・保守党議員の目論見は破綻する見通しである。
何故なら、同首相が昨晩、今週に取り沙汰された内閣改造を取り止めることはないと明言したからである。
先週末、同首相の社会福祉改革案の話が表面化した際、保守党の中には、公約違反となる増税案には(議会承認の際)反対票を投じるとまで表明する議員もいた。
庶民院のジェイコブ・リース=モグ院内総務(52歳)は9月5日、米国のジョージ・ブッシュ氏がかつて、増税しないとの厳粛な公約を破ったことから大統領選で敗北している、と懸念を表明した。
しかし、保守党の院内幹事(重要法案決議の際に議員の出席を促す責任者)は、庶民院の後方席(若手議員の席)の投票前の謀反は抑え込めるとの自信を覗かせている。
何故なら、同首相が9月6日に当該改革案詳細を議会で説明した際、同首相が反対派とみられる閣僚含めて、今週中にも内閣改造を断行するとの思惑が広がったためである。
特に、反対派と思われるゲイビン・ウィリアムソン教育相(45歳)及びドミニク・ラーブ外相(47歳)の更迭は必至とみられている。
(注1)庶民院:英国議会の下院に相当。議席数650で、2019年末の総選挙で、与党・保守党365、第2党・労働党203、第3党・スコットランド国民党48となっている。
(注2)NHS:英国の国営医療サービス事業で、患者の医療ニーズに対して公平なサービスを提供することを目的に1948年に設立された機関。英国の国家予算の25.2%が投じられている。公費負担医療によるユニバーサルヘルスケアに位置づけられ、利用者の健康リスクや経済的な支払い能力にかかわらず、臨床的必要性に応じて利用可能であり、自己負担金額は無料か極めて少額である。
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