ロシアの野党系候補者が政府の独立系メディア取り締まりを非難して抗議集会【米・チェコメディア】(2021/09/05)
プーチン政権は、9月下旬の総選挙で反政府勢力の台頭を阻止するべく、野党勢力代表のアレクセイ・ナワルニー氏(45歳)を投獄したり、その他野党系候補者の立候補を制限したりと、形振り構わぬ対応に出ている。そうした中、政権が独立系メディアの取り締まりも始めたことから、透明性を持った報道が阻害されかねないとして、野党系候補が抗議集会を開催した。
9月5日付米
『AP通信』:「独立系メディアに圧力をかける政権に対する抗議集会」
数十人のグループが9月4日、ロシア当局による独立系メディアへの締め付けに抗議してモスクワ中心街で集会を開いた。
9月19日投票日の国家院議員(注1後記)総選挙に立候補している野党系候補者が企画したもので、当局による拘束や無許可デモと非難されないよう、候補者と有権者による討論会の形で実施された。
抗議グループのスピーチの中で、野党系候補者は、ロシア最大の独立系メディアのTVチャンネル『ドズド(雨の意)』(2010年開局)や読者の多いオンラインニュース『メデューサ』(2014年設立)等のメディアに対して、政権側が直近で取り締まりを強化していると非難した。...
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9月5日付米
『AP通信』:「独立系メディアに圧力をかける政権に対する抗議集会」
数十人のグループが9月4日、ロシア当局による独立系メディアへの締め付けに抗議してモスクワ中心街で集会を開いた。
9月19日投票日の国家院議員(注1後記)総選挙に立候補している野党系候補者が企画したもので、当局による拘束や無許可デモと非難されないよう、候補者と有権者による討論会の形で実施された。
抗議グループのスピーチの中で、野党系候補者は、ロシア最大の独立系メディアのTVチャンネル『ドズド(雨の意)』(2010年開局)や読者の多いオンラインニュース『メデューサ』(2014年設立)等のメディアに対して、政権側が直近で取り締まりを強化していると非難した。
人権活動家のニコライ・カフカツキィ氏(34歳、弁護士)は、“現政権はロシアからメディアを完全に追放したいようだ”とし、“何故なら、『ドズド』、『メデューサ』等のメディアを「外国代理機関」と決めつけて、それこそ英国人作家ジョージ・オーウェル(1903~1950年)が描いた反ユートピアのように、何でもかんでも取り締まろうとしているからだ”と強調した。
9月の総選挙は、ウラジーミル・プーチン大統領(68歳)にとって、2024年に予定されている大統領選挙での再々選を盤石なものにするための重要な足固めと捉えており、そのために独立系メディア、ジャーナリスト、野党支持者や人権活動家らに対して圧力をかけてきている。
同大統領は、昨年に改正された憲法に則って、(再々選されれば)2036年まで留まれることになり、2012年に2度目の大統領選当選以来、実に20年以上の超長期政権を築くことになる。
(編注;2000~2008年の大統領時代及び2008~2012年の連邦政府議長(首相に相当)時代を含めれば、三十有余年トップに君臨することになる。)
かかる政治的圧力の結果、既に二つの独立系メディアが閉鎖に追い込まれている。
しかし、現政権は、報道の自由を抑圧しているとの指摘を全否定した上で、独立系メディアを「外国代理機関」と指定しても、活動を禁止する等の措置は講じていないと主張している。
9月4日付チェコ『ラジオ・フリー・ヨーロッパ』(RFE、1949年開局の米議会出資の放送局):「数十人がモスクワ中心街で政権側の独立系メディアへの圧力に抗議」
抗議集会に参加したのは、ヤブロコ(ロシア統一民主党、1993年設立)党員、ジャーナリスト、総選挙野党系立候補者らである。
抗議集会の参加者は、「ロシア外国代理機関法(注2後記)」に基づいて、ロシア市民が必要とする独立系メディアを「外国代理機関」と指定して、あらゆる圧力をかけようとしていると非難している。
野党系候補者のマリーナ・リトビノビッチ氏(46歳)は、“プーチン氏は、自身を悩ませるメディアの一切を葬り去ろうとしている”と糾弾した。
なお、現政権は2017年、当『RFE』他6メディアを「外国代理機関」に指定して、様々な圧力をかけてきている。
(注1)国家院議員:国家会議あるいは国家ドゥーマと呼ばれる、議会下院に所属する議員。任期は5年。議席総数は450で、目下与党・統一ロシアが343議席(76%)を占める。なお、上院に当たる連邦院の議員定数は170。ロシア連邦を構成する85の連邦構成主体 (22共和国、9地方、46州、2連邦市、1自治州、4自治管区)から各々2名の上院議員が選出される。
(注2)ロシア外国代理機関法:2012年に制定された法律で、外国からの支援を受けて政治活動を行っているNPO法人に対して、「外国代理機関」であるとの申告を義務付けるもの。これに基づき、当局が当該法人に対して監査等を実施し、好ましくない法人に対して活動停止や解散等の措置が可能となる。野党勢力代表ナワルニー氏が率いる「反汚職基金」等の取り締まり対象とされて数々の政治的圧力を受けている。
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ロシア;野党勢力代表ナワルニー氏帰国を警戒して、まず同氏右腕を投獄【欧米メディア】(2021/01/17)
ロシア野党勢力代表のアレクセイ・ナワルニー氏(44歳)は、昨年8月に選挙活動で訪れた西シベリアで毒殺されかけたが、緊急避難したドイツで療養していた。ロシア当局は、同氏が帰国次第、横領容疑等で逮捕すると脅しているが、同氏としては、今年9月に予定される総選挙で少しでも野党票を伸ばすべく、帰国しての選挙活動を再開したいとしている。そして、同氏がいよいよ1月17日に帰国することが明らかになった途端、ロシア当局は前日に同氏右腕の活動家を投獄して、早速同氏の政治活動を妨害する行為に出ている。
1月17日付
『ロイター通信』:「野党勢力代表のナワルニー氏の同胞がモスクワで投獄」
野党勢力代表のアレクセイ・ナワルニー氏は、反汚職財団(FBK、2011年設立)を立ち上げてロシア政治家らの汚職解明に注力する一方、ウラジーミル・プーチン大統領(68歳)による独裁政治に最も強く対抗してきた。
その間、何度もロシア当局から拘束されたり投獄されたりしたがめげず、野党勢力を伸ばすべく政治活動を展開してきた。...
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1月17日付
『ロイター通信』:「野党勢力代表のナワルニー氏の同胞がモスクワで投獄」
野党勢力代表のアレクセイ・ナワルニー氏は、反汚職財団(FBK、2011年設立)を立ち上げてロシア政治家らの汚職解明に注力する一方、ウラジーミル・プーチン大統領(68歳)による独裁政治に最も強く対抗してきた。
その間、何度もロシア当局から拘束されたり投獄されたりしたがめげず、野党勢力を伸ばすべく政治活動を展開してきた。
プーチン政権は、勢いを増す野党勢力に恐れを抱いたのか、昨年8月に同氏が選挙活動のために訪問していた西シベリアで、同氏を毒殺しようとした疑いが持たれている。
ロシア国内の病院での治療に危険を感じて、同氏は支援者の助けでドイツに緊急避難して快復を待った。
そしてこの程、当局による帰国次第逮捕との脅しに屈することなく、同氏は、今年9月に予定されている総選挙に備えての選挙活動継続のため、1月17日にロシアに戻ることを決断した。
しかし、その前日に当局は、同氏の右腕として活動してきたFBKのメンバーであるパベル・ゼレンスキー氏を逮捕し、投獄した。
容疑は、同氏が昨年過激思想をツイートしたとの罪で、2月28日までの1ヵ月半拘留されることになるとする。
モスクワ本拠の人権擁護団体アゴラ(2005年設立)代表によると、ゼレンスキー氏は1月15日に突然当局によって逮捕された際、容疑は昨年10月のツイート内容が問題とされたという。
同氏は昨年10月2日、同日にイリーナ・スラビナ記者(1973~2020年)が抗議の焼身自殺をしたのは、当局の不当捜査が原因だと非難するツイートをしていた。
故スラビナ記者は、10月1日に当局が突然アパートに押し掛けて室内捜索したことに抗議して、翌日に内務省が入るビルの前で焼身自殺している。
ゼレンスキー氏の逮捕・投獄を受けて、FBKのイワン・ズダノフ代表(32歳)は、“我々は決して諦めない”とした上で、“ゼレンスキー氏の家族のことはしっかりケアする”とコメントした。
一方、ナワルニー氏の帰国に当たって、プーチン政権がどう出るか注目されている。
すなわち、当初表明しているとおり、同氏を逮捕・投獄すれば、野党勢力の抗議活動が更に活発化し、また、西側諸国から懲罰的な制裁が科せられる恐れがある。
しかし、野放しにすれば、国内タカ派から突き上げられるばかりか、弱腰とみられてしまう。
なお、プーチン大統領は、昨夏のナワルニー氏毒殺未遂事件に当局が関わったとの指摘を全面的に否定している。
同大統領によれば、もし当局が関わっていたとしたら、同氏は既にこの世にはいないはず(失敗するはずがない)と嘯いている。
1月16日付『ラジオ・フリー・ヨーロッパ(米議会出資のラジオ放送局)』:「モスクワ裁判所、ナワルニー氏創設のFBKメンバーを過激思想流布容疑で有罪判決」
人権擁護団体アゴラ創設者のパベル・チーコフ代表はSNSの『テレグラム(2013年ロシア人技術者が開発したインスタントメッセージシステム)』上で、モスクワのプレズネンスキー地区裁判所が1月16日、ゼレンスキー氏に過激思想流布容疑で有罪判決を下したと訴えた。
この所業は、昨夏の毒殺未遂に遭ってドイツに逃れていた野党勢力代表のナワルニー氏が、5ヵ月振りにロシアに戻るとされた前日になされたものである。
なお、ゼレンスキー氏が罪に問われたツイートは、昨年10月2日に行われたもので、同日に焼身自殺を遂げたスラビナ記者を追悼するとともに、この責任はロシア当局にあると糾弾していた。
この根拠として、スラビナ記者が直前、フェイスブック上で“私の死はロシア連邦政府への抗議のためのもの”だと訴えていたことがある。
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