アップルがFBIのiPhone データ暗号化の解除命令を拒否(2016/02/18)
昨年12月に米カリフォルニア州で起きた銃乱射テロ事件で、連邦裁判所はアップル社に対してFBIの捜査に協力し、死亡した銃撃犯が所持していたiPhoneの暗号化ロックを解除できるよう迂回ソフトを作るよう命令した。これに対しアップル社のクックCEOは、プライバシーの侵害に当たるとして命令を拒否すると表明し、プライバシー保護と国家によるセキュリティ確保のどちらが優先されるべきかが論議を呼んでいる。
17日付
『ボイス・オブ・アメリカ』は、アップル社が、昨年12月加州で14人を殺害した銃乱射テロの犯人が所持していたiPhoneの暗号化データのロック解除命令に抵抗していると報じている。
・アップル社CEOのティム・クック氏は、同社の顧客数百万に対し公開書簡を投稿し、アップル社製品のセキュリティ対策を破る新ソフトウエア作成の裁判所命令には従わないと宣言した。その中で、クック氏は政府の命令は国民のプライバシーを侵害するものであり、明らかに行き過ぎであると述べている。...
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17日付
『ボイス・オブ・アメリカ』は、アップル社が、昨年12月加州で14人を殺害した銃乱射テロの犯人が所持していたiPhoneの暗号化データのロック解除命令に抵抗していると報じている。
・アップル社CEOのティム・クック氏は、同社の顧客数百万に対し公開書簡を投稿し、アップル社製品のセキュリティ対策を破る新ソフトウエア作成の裁判所命令には従わないと宣言した。その中で、クック氏は政府の命令は国民のプライバシーを侵害するものであり、明らかに行き過ぎであると述べている。
・ホワイトハウスのアーネスト報道官は、オバマ大統領はこの問題を「国益が優先する重要な事項」と考えており、全面的にFBIおよび司法省のアップル社への要請を支持していると述べた。
・アップル社への裁判所命令は、ファルーク銃撃犯が所持していたiPhoneについて、間違ったパスワードを繰り返し入力すると全データが自動消去される機能を迂回する方法を提供せよというものである。
・これによって、FBIは推量パスワートを何度でも入力してファルーク銃撃犯のiPhoneの暗号化されたデータを解析し、メールや電話記録やネット閲覧履歴を得ることが可能になる。
・クック氏はFBIが要請しているソフトウエアは未だ無く、作れば非常に危険なものになると述べている。クック氏は、政府はそのソフトウエアは特定の端末に一度だけ使うと言うが、「バックドア」からデータへアクセスする方法を開発すれば、どこでもどのiPhoneでも解読することができるようになると懸念する。
・中国政府は、この議論の行方に重大な関心を持っており、米政府がIT暗号化に規制を加えるのであれば、それを参考にしようとしている。中国政府は昨年、外国企業に対し中国で販売するIT製品の暗号化キーを提供するよう強制しようとしたが強く抵抗され、それを撤回している。
17日の
『CBSニュース』は、アップル社CEOのティム・クック氏がサンベルナディーノで発生したテロ銃撃事件の犯人が所持していたiPhoneのデータにアクセスできるようにせよとの連邦裁判所の命令を拒否し、個人のプライバシー対国家のセキュリティという議論が巻き起こっていると報じている。
・FBIはアップル社に対し、問題のiPhoneのパスワードを捜査官が入手できるよう迂回ソフトを作成するよう要請したが、アップル社はセキュリティが損なわれ、それ以外のユーザーのiPhoneにも使われる可能性があるとして反対している。
・アップル社が最も憂慮していることは、これが将来の前例をつくることになることである。この要請を受け入れることは、第三者が将来無制限の端末にアクセスできる迂回ソフトを作ることにつながる。
・メディアサイトCNETのダン・アッカーマン編集長は「一度それを作れば米国以外の政府も使用可能になり、中国もアップルが中国で事業を続ける条件として要求するに違いない」と述べている。
・FBIの主張は、電話のプライバシーを確保するかどうかではなくて、この事件の重要な情報は全て集めなければならないということである。先週、ジェームス・コメイFBI長官は上院情報員会で証言し、捜査に必要な暗号化情報にアクセスできず、テロ対策に実質的な影響が出ていると不満を表明した。
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米最高裁判事の指名を巡り対立が激化(2016/02/16)
米連邦最高裁判所で保守派のアントニン・スカリア判事が死去し、後任の判事指名を巡ってオバマ大統領と共和党の間に新たな対立が起きている。米最高裁ではスカリア判事の死去で保守派とリベラル派が各4人と同数になるため、オバマ大統領の後任判事指名は今後の司法判断の行方を左右する重要なものである。上院多数派の共和党は、来年1月の次期大統領就任まで後任の審議を見送るべきだと主張し強く抵抗する構えを見せており、今後の展開が注目される。
15日付
『ロイター通信』は、オバマ大統領が最高裁判事の後任者選定を開始するとともに、共和党が後任者を承認しないと述べていることを非難したと報じている。
・上院の過半数を占める共和党は、スカリア判事の後任指名を次期大統領に委ねるべきであると主張している。一方、民主党は、後任指名はオバマ大統領の責務であるとともに権限であると反論している。
・スカリア判事の死去によって、妊娠中絶、選挙権、移民などの重要問題で司法判断が待たれる時にリベラル派と保守派の数が同数となった。...
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15日付
『ロイター通信』は、オバマ大統領が最高裁判事の後任者選定を開始するとともに、共和党が後任者を承認しないと述べていることを非難したと報じている。
・上院の過半数を占める共和党は、スカリア判事の後任指名を次期大統領に委ねるべきであると主張している。一方、民主党は、後任指名はオバマ大統領の責務であるとともに権限であると反論している。
・スカリア判事の死去によって、妊娠中絶、選挙権、移民などの重要問題で司法判断が待たれる時にリベラル派と保守派の数が同数となった。
・ホワイトハウスのシュルツ報道官は後任判事指名について、オバマ大統領は、法律で不明確な問題について判例を尊重し、自分の倫理・道徳観に従い判断をすることができる「非の打ちどころのない資質」のある後任者を選ぶはずだと述べている。
15日付
『CBSニュース』は、オバマ大統領は来週にでも後任判事を指名できるが、共和党との厳しい対立や大統領選挙戦の最中であることから事は簡単には運ばないと報じている。
・後任判事の承認を得るには、少なくとも14名の共和党上院議員の賛成が必要である。オバマ大統領が共和党上院議員の支持を得るには、すでに上院で承認されている候補者を選ぶという方法がある。
・一方、実際には大統領選挙年であっても上院が大統領による候補者指名を否決することは稀である。20世紀になって、大統領選挙年に7回の最高裁判事の指名信任投票があり、1回を除き全て承認されている。
・民主党のヒラリー・クリントン候補は「大統領は米国憲法の下で候補者を上院に提示する義務があり、上院はそれを検討しなければならない」と述べている。共和党はテッド・クルツ氏やリンゼイ・グラハム氏がメンバーである上院司法委員会が、レームダックの大統領による判事指名は全て阻止すると発表した。
15日付
『ニューヨークタイムズ』紙は、オバマ大統領が後任最高裁判事の選定を始める中、多くの共和党議員がこれに反対していると報じている。
・オバマ大統領はスカリア判事の死去によって最高裁刷新のまたとない機会を得たが、共和党が判事指名に強く反対している。オバマ政権と民主党の幹部は、上院は憲法上の義務を果たすべきであり、オバマ大統領の任期がまだ339日も残されているなどと世論に訴えている。
・オバマ大統領は後任判事指名によって最高裁でのリベラル派優位を確立できることになり、気候変動、ゲイの権利向上、マイノリティー優遇措置、妊娠中絶、移民問題、銃規制など広範な問題に関する司法判断の方向性を変え得る可能性がある。
・大統領上院対策アドバイザーのステファニー・カッター氏は、「最高裁判事の任期は終身制であり、オバマ大統領にとって判事指名はレガシーと言える。オバマ氏は、超党派で信任された現職の判事の利益を考え明らかに偏った判事指名はしないだろう」と述べている。
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