1ヵ月余り前の前回報告時より、世界の感染者及び死者とも依然漸増しており、それぞれ1億6,947万725人(前回報告より+2,284万2,403人)、352万3,117人(同+42万529人)、また、致死率は横ばいの2.1%となっている。ワクチン接種が進む一方で、英国型・インド型等感染力の強い変異株の蔓延が背景にあるとみられる(米ジョンズ・ホプキンズ大の5月29日午後5時現在の集計データを引用)。
5月29日付
『AP通信』他:「COVID-19感染問題に関わる直近の状況」
<ハイライト>
●世界保健機関(WHO、1948年設立):米国及び英国が、改めてWHO独立チームによるCOVID-19中国感染源の再調査を要求。
●欧州連合(EU、1958年前身設立):EUの政策執行機関の欧州委員会(EC、1967年設立)が、米ファイザー(1849年設立)製ワクチンの12~15歳の子供への投与を許可。
●米国:疾病予防管理センター(CDC、1992年設立):夏季キャンプ参加の子供たちのマスク着用義務緩和を推奨。
●フランス:エマニュエル・マクロン大統領(43歳)が南アフリカ訪問に当たって、ワクチン提供支援を表明。
●英国:同国4番目となる米ジョンソン&ジョンソン(1886年設立)製ワクチンを認可。
<WHO>
・米国及び英国両政府代表は5月27日開催のWHO総会の場で、前回WHOが実施した中国・武漢(ウーハン)におけるCOVID-19起源の調査が“不十分かつ初期段階のもの”だったとして、独立したチームによる現地再調査を求める旨公式表明。
・今年3月にリリースされたWHO・中国混成チームによる前回調査報告では、同ウィルスが武漢ウィルス研究所から流出したとの疑念は“極めて低い”として、中国側が望む結果報告がなされていた。
・WHOのタリク・ジャサラビッチ報道官は、“2度目の訪問調査案”についてテドロス・アダノム・ゲブレイェソス事務局長(56歳)に上申する予定としているが、時期は未定とコメント。
<EU>
・ECは5月28日、米国及びカナダにおける認可及び臨床結果を踏まえて、米ファイザー製ワクチンを12~15歳の子供へ投与することを許可する旨決定。
<米国>(感染者3,323万9,963人、死者59万3,963人、致死率1.8%)
・CDCは5月28日、夏季キャンプに参加する子供たちに対して、野外ではマスク着用義務が緩和されるとのガイダンスを発表。
・但し、ワクチン未接種の子供たちは、屋内ではマスク着用、また、ソーシャルディスタンシングを確保することを推奨。
・なお、ワクチン接種済みの子供たちは、野外・屋内問わずマスク着用義務免除。
・国土安全保障省は5月28日、連邦政府としては米国市民のワクチン接種有無等のデータを取得・保有していないため、“ワクチン・パスポート”発行の計画はないと発表。
・これは、アレハンドロ・マヨルカス長官(61歳)が『ABCテレビ』のインタビューを受けて、“ワクチン・パスポートのようなものがあれば、米国市民の国内外旅行がよりスムーズになろう”とコメントしていたことから、それを補足するための声明。
・同省としては、保守派の多くが、ワクチン接種における個人の自由を制限するものだとしてワクチン・パスポート案に強く反対していることから、同長官のコメントは、米国市民の海外訪問がより容易になるような手段を検討している最中でのものであり、ワクチン・パスポートを推進しようとする意図に言及したものではないと火消し。
<フランス>(感染者558万8,981人、死者10万8,466人、致死率1.9%)
・マクロン大統領は5月末に南アフリカ(感染者165万4,551人、死者5万6,293人、致死率3.4%)を訪問するに当たって、COVID-19蔓延に喘ぐ同国を支援する一環で、ワクチンを提供する旨表明。
<英国>(感染者447万7,705人、死者12万7,768人、致死率2.9%)
・保健省傘下の医薬品・医療保険商品審査局(2003年設立)が、米ジョンソン&ジョンソン製ワクチンが“安全、品質、有効性基準”を満たしたとして、正式に認可。
・これは、米ファイザー・独バイオNテック(2008年設立)共同開発製、英アストラゼネカ(1999年設立)・オックスフォード大学(1096年設立)共同開発製、及び米モデルナ(2010年設立)製ワクチンに続き4番目。
・同国では12月以降ワクチン接種が進み、全国民の58%が1度目の、35%が2度目のワクチン接種を済ませているが、英国型変異ウィルスに続いてインド型の感染も拡大してきていることから、早めの対策を講じたもの。
<カナダ>(感染者138万2,107人、死者2万5,424人、致死率1.8%)
・同国人口最多のオンタリオ州は、来週から80歳以上を対象に、1度目のワクチン接種から28日後に2度目の接種を開始すると発表。
・これまで同州の成人の65%が少なくとも1度のワクチン接種を終えているが、従来の英アストラゼネカ製に加えて、今後数ヵ月にわたり米ファイザー及びモデルナ製ワクチンが入手できることから、1度目と2度目の接種間隔12週間が大幅に短縮できるため。
・なお、今後対象を更に拡大し、12~25歳の若者にも8月初旬からワクチン接種が可能になる。
<中国>(感染者9万1,061人、死者4,636人、致死率5.1%)
・国家衛生健康委員会(1949年前身設立)は5月29日、新たに16人の新規感染者が出たと発表。
・うち、14人は海外からの帰国者・訪問者が感染元で、残りの2人が広東省での国内感染。
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ジョー・ウォルシュ元米下院議員は25日、ABCテレビの番組に出演し、2020年の大統領選に向け、共和党の候補者指名獲得を目指すことを発表した。民主党は多くの候補が乱立しているが、共和党ではトランプ大統領が再選出馬を既に表明しており、ビル・ウェルド元マサチューセッツ州知事が挑戦者として指名争いに名乗りを上げている。
『ABCニュース』のほか、
『ロイター通信』や
『AP通信』などによると、ウォルシュ氏は57歳。2010年の中間選挙で保守系の草の根運動「ティーパーティー」の支援を受け、イリノイ州の下院議員に選出されたが、12年に民主党候補のタミー・ダックワース氏(現上院議員)に敗れて落選し、現在では同州シカゴ地区のラジオ番組の司会者をしている。
ウォルシュ氏は25日朝、ABCテレビの政治討論番組「ジス・ウィーク(This Week)」に出演し、「トランプ氏は大統領に相応しくないので、私が出馬する。誰かが出ていかなければならない。」とトランプ氏の2人目の挑戦者となることを明らかにした。
ウォルシュ氏は、「トランプ氏は弱いものいじめをする臆病者だ。」と述べ、多くの共和党員が自分と同じ気持ちだが、前進するのを恐れているとの見解を示し、選択肢が必要であると主張した。
共和党の全米の組織をとりまとめ、予備選などの党内手続きを統括する共和党全国委員会は、ウォルシュ氏の発表をほぼ無視している。共和党は既に再選を目指すトランプ陣営と共に選挙戦を進める態勢を敷いており、イベントなども合同で実施しているからだ。
これまでトランプ氏の挑戦者として共和党候補者の指名争いに出馬をしたのはビル・ウェルド元マサチューセッツ州知事だけだったが、その選挙活動は未だ弾みがついていない。元下院議員で元サウスカロライナ州知事のマーク・サンフォード氏は7月、連邦債務拡大の問題を理由に予備選への挑戦を検討していると表明した。ウェルド氏は25日、NBCテレビの日曜朝の報道番組「ミート・ザ・プレス(Meet the Press)」で、国のための議論が活発になるとして、ウォルシュ氏やサンフォード氏の出馬を歓迎すると述べた。
共和党では、誰が挑戦者として名乗りを上げても、トランプ氏への支持が強固であり、苦しい戦いを強いられることは間違いない。ロイター通信が調査会社イプソスに委託して先週実施した世論調査によると、共和党支持者の87%が、AP通信による別の調査でも同78%が、トランプ氏の大統領としての仕事ぶりを評価しているという。
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