米ケーブルテレビ局「HBO」で、チェルノブイリ原発事故を題材としたミニシリーズが人気を博し、それと共に33年前に起こった世界最悪の原発事故の現場が観光地として人気が急上昇している。原発事故のあった発電所や、プリピャチのゴーストタウンを訪れたいと思う観光客が増加している。
「L’Express」が報道したところによると、1986年のチェルノブイリ原発事故後、放射線被ばくのために、原子力発電所の周りに居住禁止区域が設けられ、地域の住民は強制避難を余儀なくされた。原子力発電所のあったプリピャチ市の住民5万人全員が避難対象となり、町はゴーストタウンとなった。現在では、原子力自然保護区となっている。
2011年から観光客を受け入れるようになったが、放射線量が低下すると共に観光客の関心も薄くなり始めていた。...
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「L’Express」が報道したところによると、1986年のチェルノブイリ原発事故後、放射線被ばくのために、原子力発電所の周りに居住禁止区域が設けられ、地域の住民は強制避難を余儀なくされた。原子力発電所のあったプリピャチ市の住民5万人全員が避難対象となり、町はゴーストタウンとなった。現在では、原子力自然保護区となっている。
2011年から観光客を受け入れるようになったが、放射線量が低下すると共に観光客の関心も薄くなり始めていた。しかし今回、テレビシリーズの放映のおかげで人気観光地として再びスポットライトを浴びている。
現地のツアー旅行会社によると、原発周辺の立ち入り禁止区域を訪れるツアーの予約数が、ドラマの放送開始以降40%増えているという。
ツアー客は、ウクライナの首都キエフから約120キロの距離をバスで移動し、立ち入り禁止区域内にある原発事故の被災者に捧げられた記念碑や無人化した地域を目にすることが出来る。チェルノブイリ市内唯一のレストランで昼食を取り、その後、2017年以降巨大な金属製のアーチ型シェルターで覆われている4号炉を見ることが出来る展望台を訪れ、最後にゴーストタウンと化したプリピャチ市内を散策できる。
放射線量に関する安全性について、立ち入り禁止区域内を案内するツアーガイドは、『ロイター』に対し次のように述べている。「チェルノブイリ立ち入り禁止区域への訪問全体を通して、ツアー客は2マイクロシーベルトにさらされます。これは、24時間自宅にいる放射線量と同じです」。
『ロイター』によると、原発事故直後に運転員・消防士など31人が死亡。何万人もの近隣地域住民が強制避難を余儀なくされた。 癌などの放射線関連疾患の犠牲者の最終的な結果に関しては意見が分かれている。 世界保健機関(WHO)によると、災害による癌による死亡者数の合計は9,000人であるのに対し、ベラルーシの研究では115,000人であると推定されている。
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家畜伝染病の「アフリカ豚コレラ」が2018年8月からアジアで猛威を振るっている。通常の豚コレラよりも感染力が強く、到死率が高く、豚肉の最大生産国および消費国である中国では、中国本土の31省・自治区・直轄市全てで発生し、特に影響を受けている。ヨーロッパでの生産量に匹敵する最大2億頭の殺処分となる可能性がある。
『Les Echos』によると、アフリカ豚コレラは、チベットから北京を通り香港まで中国全土に広がっている。国際連合食糧農業機関の中国事務所代表ヴァンサン・マルタン(Vincent Martin)氏は「中国当局はこのウイルスの侵入に備え、対応計画を立て、それを実施する手段を持っていたが、伝染病の蔓延を抑制するのに十分ではなかった」と述べた。
『France Info』によると、「アフリカ豚コレラ」は豚やイノシシに感染するが人には感染しない。1921年に最初にアフリカ大陸で発見され、サハラ砂漠以南セネガルからケニアまでの約20ヵ国で見られたアフリカ大陸での家畜伝染病であった。
しかし、その後徐々に世界に広がり、ワクチンなどの治療法、予防法が確立されていないため、発生が確認された地域では、周辺の養豚場を含めて予防的殺処分で対処する必要がある。
アジアでは中国だけでなく、2019年1月にはモンゴル、2月には豚生産国第5位であるベトナム、3月にはカンボジア、その後北朝鮮でも発生が確認された。
『France Info』は、養豚農家がアジアに集中していることが、中国を中心としたアジア地域での蔓延を助長したと伝えている。たとえば、世界最大の豚肉生産量を誇る中国は年間5,500万トンの豚肉、つまり世界全体の45%を生産しており、消費量も世界の約半分を占めている。国際連合食糧農業機関(FAO)が5月に発表した報告書では、地球上に生きている「半数近くの」豚が中国で飼育されていると報告している。
例えば、フランスでの2000万匹に対して、7億匹の豚が中国にいる。そのため、中国は豚肉の主要市場となっている。
中国や他のアジア諸国での衛生対策もまた疑問視されている。国際戦略研究所(Iris)によると「中国で飼育されている豚の約半分は、家族経営の農場だ。豚は、家の残飯を餌として与えられ、残飯には感染した豚肉が含まれている可能性がある」。
また農業経済学者のジャン・マルク・ショメ(Jean-Marc Chaumet)氏は『France Info』で、中国での大規模な家畜の流通も原因としてあげている。「中国の消費者は屠殺されたばかりの肉を食べるのが好きなので、動物は一か所で飼育され、数百または数千キロメートル離れたところに運ばれます。動物のこの循環も病気の拡大に貢献しています。」
『L’Express』によると、4月時点での中国政府の発表で、豚肉の在庫は1年前より19%少なくなく、価格は病気が勃発した8月よりも14%高くなっているという。そして専門家は、養豚場の生産量が30%以上、さらには50%減少したと推定している。 これにより、年間で3億頭の豚が減少となる。
アフリカ豚コレラに対するワクチンの開発には何年もかかる。 病気を防ぎ、生産量を現水準に復活させるためには5-7年かかることが予想される。そのため年間1,620万トンの豚肉、米国の総生産量の1.3倍が失われることになるという。
現在中国は欧州連合(EU)、カナダ、ブラジルなどからの豚肉の輸入を増やしており、今後世界中で豚肉の値段が上がることは避けられないだろう。
香港城市大学の動物伝染病学者のダーク・ファイファー氏は『The Guardian』で次のように述べている。「これは、私たちが体験した家畜伝染病の流行の中で史上最大級のものです」また、「口蹄疫およびBSEとは比べ物にならないほどの被害を起こしています。 そしてその拡散を止める方法がないのです。」
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