ゼロ・コロナ政策とウクライナ戦争で、欧州企業にとって中国の魅力が低下(2022/05/06)
中国の「ゼロ・コロナ」政策とウクライナ戦争が、欧州企業にとって中国市場の魅力を低下させている。在中国EU商工会議所が5日に発表した調査結果では、4分の1近くの企業が、投資の一部を他のアジア諸国に移転することを検討していると回答した。
仏ラジオ局
『RFI』によると、中国のGDPのほぼ4割が、中国の数十の大都市の完全又は部分的ロックダウンの影響を受けているという。中国共産党政府の厳格な「ゼロ・コロナ」戦略は、中国市場に進出する外国企業にも影響を与えている。在中国EU商工会議所が4月20日から26日にかけて行った世論調査によると、参加した370社以上の欧州企業のうち、60%が今年の収益の減少を見込んでおり、77%が中国の魅力が低下していると考え、23%が現在または計画中の投資の一部を、南アジアや東南アジアに移転することを考えていると回答した。...
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仏ラジオ局
『RFI』によると、中国のGDPのほぼ4割が、中国の数十の大都市の完全又は部分的ロックダウンの影響を受けているという。中国共産党政府の厳格な「ゼロ・コロナ」戦略は、中国市場に進出する外国企業にも影響を与えている。在中国EU商工会議所が4月20日から26日にかけて行った世論調査によると、参加した370社以上の欧州企業のうち、60%が今年の収益の減少を見込んでおり、77%が中国の魅力が低下していると考え、23%が現在または計画中の投資の一部を、南アジアや東南アジアに移転することを考えていると回答した。
将来への不安は、採用活動にも影響を及ぼしているという。学校の休校や移動の規制などで、家族連れで人材を呼び込むことが難しい状況になっている。また、教師の離職率は2021年度が始まる時点で25%、昨年全体では40%だった。2022年はインターナショナルスクールの教師の50%が入れ替わると推測されており、教師のビザの手続きには平均6カ月を要する中、採用が困難となっている。
在中国EU商工会議所は、「中国一の都市と言われた上海が1カ月も封鎖され、終わりが見えない。たとえ1年後でも、中国がいつ経済を再開するのかを知る必要がある」と主張しており、「ビジネスを阻害するのは、不確実性と見通しのなさだ」と指摘している。
こうした中、ウクライナ戦争によって不確実性がさらに高まっている。中国とヨーロッパを結ぶシルクロードを走る列車が利用出来なくなり、ロシアとウクライナの領空も迂回しなければならず、物流はさらに混乱し、輸送費が上がっている。
仏『レゼコー』によると、特に上海を拠点としている企業にとって、交通問題が大きな課題になっているという。85%の企業が生産のための原材料や部品の入手が困難であり、ほぼ同数の企業が完成品を中国やその他の地域に納品することも難しい状況にあると回答した。中国当局は、ドライバーがウイルスを拡散するのではないかと恐れて、トラックが他の都市へ移動することを厳しく制限している。また、ドライバーがトラックから降りないように、ドアや窓にシールを貼り、48時間以内のPCR検査を定期的に要求しているという。
米『フォックスニュース』によると、現在、中国国民の4人に1人がロックダウンで外出できない状況にあり、中国の100大都市のうち87都市が何らかの移動制限を課しているため、サプライチェーンは停止してしまっているという。一部の専門家達は、中国は今年、ゼロ成長または経済収縮に陥る可能性があり、すでに10年来の成長鈍化、生産性低下、債務急増の傾向に拍車がかかると見ている。
EU商工会議所のヨルグ・ブトケ会頭は、「調査では23%が、現在または計画中の中国への投資を他の市場へ移すことを検討し始めていると回答した。これは、わずか2カ月前の2倍の数字だ」と、企業が地理的な展開を多様化する必要に迫られていることを指摘。最近、在上海日本国総領も、一部の企業が生産移転を始めていると報告している。
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ウクライナ戦争、世界最大の小麦輸入国エジプトが小麦不足の危機に(2022/03/16)
世界最大の小麦輸入国であり、その主な供給元はロシアとウクライナであったエジプトは、危機を背景に戦略的備蓄を強化し、穀物を含む食料品の輸出を停止した。
仏ラジオ放送局
『RFI』によると、エジプトは、国内の年間小麦消費量のほぼ半分、2千万トン近くを輸入に頼っている。この小麦は、主にパン、とりわけ補助金付きのパン「エーシュ・バラディ」の原料として使われる。実売価格の20分の1で売られている90グラムの薄焼きパンは、1億人のエジプト人の4分の3近くが食べていると言われている。
今のところ、州の貯蔵庫には4カ月分の備蓄がある。4月中旬に始まるエジプトの収穫のおかげでさらに4カ月は持つと推測されている。...
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仏ラジオ放送局
『RFI』によると、エジプトは、国内の年間小麦消費量のほぼ半分、2千万トン近くを輸入に頼っている。この小麦は、主にパン、とりわけ補助金付きのパン「エーシュ・バラディ」の原料として使われる。実売価格の20分の1で売られている90グラムの薄焼きパンは、1億人のエジプト人の4分の3近くが食べていると言われている。
今のところ、州の貯蔵庫には4カ月分の備蓄がある。4月中旬に始まるエジプトの収穫のおかげでさらに4カ月は持つと推測されている。しかし、小麦は発注から到着まで最低2カ月かかるため、ロシアやウクライナ産小麦の代替品を早く見つけなければならない。
このため、ルーマニア、フランス、アメリカ、オーストラリアなど、他の供給国にも入札を行い、供給不足に対応している。しかし、2度にわたって入札が中止された。1回目は1社だけ、2回目は2社のサプライヤーしか集まらず、ほとんど競争がなかったこともあり、価格が70%近くも上昇した。
もう一つの解決策として考えられているのは、二期作用の小麦の作付面積を増やすことである。これはすでに昨年から行われており、輸入小麦への依存度を下げることができた。しかし、輸入・国産を問わず小麦の価格が上昇することでパンの補助金が増し、赤字が悪化するという問題が常に付きまとう。
なお、ロシアとウクライナの戦争が始まる前に、補助金付き「エーシュ・バラディ」の重量を110グラムから90グラムに減らすことが決まっていた。また、パンの値段を上げるという話も出てきている。しかし、基本的な生活必需品や全般的な物価上昇により、政府はパンの値段を上げることを躊躇している。1977年1月には血まみれのパン暴動、2011年1月には「パン、自由、社会正義」をスローガンとした大規模な反政府デモが起こっている。
仏経済誌『ラ・トリビューヌ』は、人口の90%以上がイスラム教徒であるエジプトは、ラマダン(断食月)を控えていることを伝えている。4月上旬に始まるラマダンは、小麦消費量が多くなる時期であるため、当局はこの時期に麦が不足することは何としても避けるために動いているという。
3月5日にはルーマニア産小麦6万3千トン、8日にはフランス産小麦6万3千トンが到着し、18万9千トンのロシア、ルーマニア、ウクライナの小麦(同量)が「今後数日中に」エジプトの港に到着することが発表された。エジプト当局はその後、小麦の外部供給は一時停止し、国内生産に頼ることになる。当局は「今年末までは」必要量を賄えると見込んでいるという。
エジプト当局は12日、食料安全保障を強化するために小麦の戦略的在庫を強化することに加え、すべての種類の油、穀物(小麦、大麦、オート麦など)、トウモロコシ、豆、レンズ豆、パスタ、粉の輸出を3カ月間停止すると発表した。産業貿易相は、「この決定は、特にラマダンの消費量の多い時期に備えて、地元の商品市場のニーズをカバーするための政府の取り組みの一環として、供給・国内貿易省との調整の後に行われた」と説明している。
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