米国・ウイグル自治区製品・全品目原則輸入禁止(12月24日)
米国・バイデン大統領は中国の新疆ウイグル自治区で強制労働によって生産されたとみられる製品などの輸入に原則禁止する法案に署名し法律が成立した。
バイデン政権は人権問題を理由に中国への圧力を強めていて、自治区で生産された製品などを輸出してきた日本企業に影響が及ぶことも予想される。法案では輸入をする場合強制労働によるものではない証拠を企業側が提出することなどを定めている。
法案は今月議会上下両院で超党派の賛成で通過したことを受けて23日バイデン大統領が署名。...
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米国・バイデン大統領は中国の新疆ウイグル自治区で強制労働によって生産されたとみられる製品などの輸入に原則禁止する法案に署名し法律が成立した。
バイデン政権は人権問題を理由に中国への圧力を強めていて、自治区で生産された製品などを輸出してきた日本企業に影響が及ぶことも予想される。法案では輸入をする場合強制労働によるものではない証拠を企業側が提出することなどを定めている。
法案は今月議会上下両院で超党派の賛成で通過したことを受けて23日バイデン大統領が署名。これまで米国は自治区で生産された綿製品や農産物の加工品などについて輸入を停止してきたが、この法律は全品目を対象としている。
バイデン政権は来年開かれる北京五輪パラリンピックの外交的ボイコットを表明したほか40を超える中国のハイテク分野の企業や団体への投資を禁止する制裁措置を発表している。
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デジタル人民元の動き(12月11日)
2022年の北京五輪で初披露されるデジタル人民元が各国の中央銀行から発行される世界初のデジタル通貨になると言われている。
デジタル人民元は電子マネーとは本質的に異なるもので、それ自体が法定通貨として通用し、市中銀行を介して流通させる間接型の金融システムである。
既に中国は、香港の銀行や事業者と連携しながら、デジタル人民元の送金、支払いの第1段階の技術テストを完了し、クロスボーダー決済テストの第二段階に入っている。...
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2022年の北京五輪で初披露されるデジタル人民元が各国の中央銀行から発行される世界初のデジタル通貨になると言われている。
デジタル人民元は電子マネーとは本質的に異なるもので、それ自体が法定通貨として通用し、市中銀行を介して流通させる間接型の金融システムである。
既に中国は、香港の銀行や事業者と連携しながら、デジタル人民元の送金、支払いの第1段階の技術テストを完了し、クロスボーダー決済テストの第二段階に入っている。
利用者はウォレット(口座)を開設することによって自身の貯金口座からデジタル人民元を引き出すことができる。
例えば、中国本土からの観光客が香港に旅行に行き、デジタル人民元を使ってショッピングをした場合、外貨の交換は2つのウォレット間で完了し、現地の事業者には香港ドルで支払われる。そのため、米ドルのような外国通貨を支払い手段として使う必要がなくなる。
米国の上院議員3名は、北京五輪に参加予定の米国選手団に対し、デジタル人民元のウォレットが監視用のツールとして使われる危険性があるとして、受け取ったり、使わないように求めている。仮に北京五輪から帰国後も選手が米国国内で使い続けた場合、監視ツールになる危険性があると指摘している。
中国はデジタル人民元の技術テストと同時並行で、中国、香港、タイ、アラブ首長国連邦の中央銀行デジタル通貨をつなぐ多国間プロジェクト「mBridge」の実証実験を進めている。これが発展していけば米国が主導する決済システム「スイフト」を脅かすシステムに発展していく可能性もある。
中国がデジタル人民元を通じて米ドル支配の構造、ドル覇権にくさびを打ち込みたいと考え、ドル覇権国・米国がこの動きに最大級の警戒をしていることだけは間違いなさそうである。
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民主主義サミットの背景にあるもの(12月11日)
民主主義サミットが2日にわたってオンラインで開催された。米国から民主主義サミットに招待された国は日本(クアッド)に加え、ファイブアイズの国々(英国、カナダ、豪州、ニュージーランド)、台湾、韓国、フランス、ドイツ、フィリピン、マレーシア、イスラエル、イラク、インド(クアッド)、パキスタン、ウクライナ、ザンビアなど110の国と地域であった(パキスタンは辞退)。
一方、招待されなかった国は中国、ロシア、北朝鮮、ベラルーシ、ミャンマー、タイ、シンガポール、トルコ、イラン、ハンガリー、エジプト、キューバ、ボリビア、サウジアラビアなどの国と地域であった。...
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民主主義サミットが2日にわたってオンラインで開催された。米国から民主主義サミットに招待された国は日本(クアッド)に加え、ファイブアイズの国々(英国、カナダ、豪州、ニュージーランド)、台湾、韓国、フランス、ドイツ、フィリピン、マレーシア、イスラエル、イラク、インド(クアッド)、パキスタン、ウクライナ、ザンビアなど110の国と地域であった(パキスタンは辞退)。
一方、招待されなかった国は中国、ロシア、北朝鮮、ベラルーシ、ミャンマー、タイ、シンガポール、トルコ、イラン、ハンガリー、エジプト、キューバ、ボリビア、サウジアラビアなどの国と地域であった。中国外務省は「米国式の基準で世界を民主と非民主に二分しようとし、世界に大きな動揺と災いをもたらしている」と猛反発した。
意外なのはシンガポールが招かれず、親中国家であることを隠そうとしない専制国家・マレーシアが民主主義サミットに招待されたことである。ASEANの事実上の盟主であるシンガポールは米中の間でバランスをうまく取っており、2018年の、米朝首脳会談では、歴史的な会談の場所として選ばれたのは米中間で中立的と考えられたシンガポールだった。
シンガポール国民はシンガポール人というアイデンティティを大事にする一方で、国民の7割は福建人や広東人、客家などを祖先に持つ中華系民族であり、アジアの海底ケーブルを束ねる要衝に位置し、世界各地の華僑ネットワークを束ねる胴元的な存在でもある。そのシンガポールの世論調査では中国を好ましいと考える人達が6割に達するなど米国よりも好感を持たれている。実はシンガポールは隠れた親中国家である。
米国が今回、あえてシンガポールを招待しなかったのは、来年のTPPの議長国でもあるシンガポールが中国のTPPへの加入を支持する姿勢を示していることに対するけん制であるとの見方もある。
TPP加入には原則、加盟11か国の同意が必要となるが、例外規定という抜け穴もあり、ベトナムも中国と同じ共産主義国家で、中国と同じく国有企業の問題を抱えていたが、例外規定のおかげでTPPに加入できた。シンガポールの采配で同様の例外規定が設けられる可能性もないとはいえない。シンガポールの今後の動きに注目していきたい。
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米中の防衛当局・実務者協議行う・衝突起きないよう対話重ねる狙い(12月4日)
台湾海峡などを巡って米中の対立が激しさを増す中、米国・国防総省は中国の防衛当局との間で、先月30日オンライン形式で実務者レベルの協議を行ったと発表した。
偶発的な衝突が起きないよう、対話を重ねる狙いがある。
米国は先月、核弾頭の保有など中国が急速な軍備増強を進めていると分析した報告書を公表した。
協議は、この報告書の内容を巡って意見が交わされたという。また、米国政府関係者によると、オースティン国防長官と中国国防トップとの間で会談の調整が進められている。
米中のAI開発競争(11月23日)
ニコラスシャラン(米国空軍初代ソフトウエア責任者)は米国の民主的手続きがボトルネックとなり、技術革新が進まないため、AI分野において「米国は今後15年から20年間、中国との競争で勝てる見込みはない。既に勝負は決着している」と敗北宣言を出した。
今後はAIを使ったドローン兵器など中国が多用してくる可能性があるため、日本にとっては耳を疑う発言であった。
米国にある他のAI分析会社は別の見方をしている。...
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ニコラスシャラン(米国空軍初代ソフトウエア責任者)は米国の民主的手続きがボトルネックとなり、技術革新が進まないため、AI分野において「米国は今後15年から20年間、中国との競争で勝てる見込みはない。既に勝負は決着している」と敗北宣言を出した。
今後はAIを使ったドローン兵器など中国が多用してくる可能性があるため、日本にとっては耳を疑う発言であった。
米国にある他のAI分析会社は別の見方をしている。ベンチャーキャピタル「サンダーマークキャピタル」はAIの研究開発におけるもっとも重要な3要素である「アルゴリズム」「ハードウエア」「ビッグデータ」のうち、アルゴリズムとハードウエアについてはすくなくとも今後数年は米国が中国より優位に立っていると分析している。ただ14億人のデータを活用した「ビッグデータ」においては米国の力は中国を下回るとしている。
中国国務院は「2025年までに人工知能の基礎理論において重要な突破口を開き、一部技術と応用において世界を牽引する水準に到達する」とし、2030年までに「人工知能理論、技術と応用において総合的に世界を牽引する水準となり、世界の主要AIイノベーションセンターとなる」という長期戦略を立てている。
しかし、中国のAI研究開発に必要となる関連技術や開発支援ツールの多くは米国で開発されたものを使用しており、特に半導体については米国の技術に大きく依存しており、米中覇権争いが表面化したことで、その脆弱性が指摘されている
裏を返せば中国のAIの裏側を突く隙間を米国はたくさん知っているということになる。
先端的なAI技術を持つ中国のAI兵器は今後、日本にとっての脅威となることは確実であるが、有効策としてはサイバー攻撃、レーザー兵器となるとみられる。米陸軍が実証実験したところ、高エネルギーレーザー兵器によってAIドローン兵器の迎撃に成功したとの実験結果が出ており、尖閣にAIドローンで上陸を試みると予想される中国に対する日本の有効な打ち手として期待される。
レーザー兵器は、巡航ミサイルや極超音速ミサイルにも有効であると言われており防衛分野で日本が予算を割くべき兵器と言えるかもしれない。
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