習近平の訪朝、米中・米朝関係への影響は?(6月18日)
習近平主席が6月20-21日に北朝鮮を訪問する、との発表があった。中国の国家と党のトップが訪朝するのは14年ぶりとなる。習近平時代になって冷え込んでいた中朝関係であるが、昨年3月に金正恩委員長の初訪中以降、5月、6月、2019年1月と訪中が続き、関係は一気に改善された。本年は中朝国交樹立70周年ということもあり、いずれ習近平主席の訪朝があるだろうとの観測があったが、習近平主席としては、ロシア・中央アジア歴訪後、6月28,29日に大阪で行われるG20参加のための訪日前という外交日程がたてこんでいるなかでのタイミングでの訪朝となる。...
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習近平主席が6月20-21日に北朝鮮を訪問する、との発表があった。中国の国家と党のトップが訪朝するのは14年ぶりとなる。習近平時代になって冷え込んでいた中朝関係であるが、昨年3月に金正恩委員長の初訪中以降、5月、6月、2019年1月と訪中が続き、関係は一気に改善された。本年は中朝国交樹立70周年ということもあり、いずれ習近平主席の訪朝があるだろうとの観測があったが、習近平主席としては、ロシア・中央アジア歴訪後、6月28,29日に大阪で行われるG20参加のための訪日前という外交日程がたてこんでいるなかでのタイミングでの訪朝となる。
G20には米国大統領も参加するが、果たして米中首脳会談は行われるのか。未だに確報は示されていない。習近平主席が訪朝することによって、中国の北朝鮮への影響力が強くなることを、トランプ大統領は嫌うかもしれない。昨年6月の米朝首脳会談では、5月に取りやめるとの報道があったが、その理由としてトランプ大統領は「5月に訪中してから、金正恩の態度が変わった」と述べていた。また8月には「北朝鮮が中国からの多大な圧力の下にいると強く感じている、なぜなら米国と中国政府間との貿易摩擦があるからだ。また我々は中国が北朝鮮に対して、資金、エネルギー、肥料などの物資を提供していると認識している」とも述べていた。これに対し、2018年8月30日の「環球時報」は「貿易戦争は貿易戦争であり、その他の圧力で突破できるとの幻想を抱いてはならない。中国は朝鮮半島の問題を補助戦線としようとしていると米国は考えているようだが、それは自分勝手な推測である」と反論していた。
トランプ大統領としては、金正恩委員長との個人的な「良い関係」を梃に北朝鮮の非核化をさせたいところであり、金正恩委員長と習近平主席が「良い関係」を築くことは、トランプ大統領の影響力が相対的に弱まることになることから、それを警戒していると思われる。
大阪で米中首脳会談が行われるとしたならば、中国は北朝鮮から非核化に対する何らかの譲歩を引き出したことになろう。米中貿易戦争は、先端技術をめぐる米中の覇権競争であることからすれば、解決へのシナリオは容易には見つからず、首脳会談の別のトピックスが必要であったのかもしれない。
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習近平、6月21-21日に北朝鮮を訪問(6月18日)
6月17日、中国の中共中央対外連絡部報道官は、北朝鮮金正恩委員長の招請により、習近平党総書記・国家主席が6月20,21日に北朝鮮を公式に訪問すると発表した。
党総書記としての訪問は1990年に国家主席に就任するまえの江沢民が訪問したこともあるが、国家主席の訪朝は初めてである。
北朝鮮としては、米国との交渉がうまくいかなかったことから、中国との関係をさらに良好にさせておきたい、できれば中国を通じて、北朝鮮の思惑を米国に伝えたいという思いがあるものと思われる。...
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6月17日、中国の中共中央対外連絡部報道官は、北朝鮮金正恩委員長の招請により、習近平党総書記・国家主席が6月20,21日に北朝鮮を公式に訪問すると発表した。
党総書記としての訪問は1990年に国家主席に就任するまえの江沢民が訪問したこともあるが、国家主席の訪朝は初めてである。
北朝鮮としては、米国との交渉がうまくいかなかったことから、中国との関係をさらに良好にさせておきたい、できれば中国を通じて、北朝鮮の思惑を米国に伝えたいという思いがあるものと思われる。ただし経済関係でみれば、中国がすぐにできるのは、人道援助に限られてしまう可能性が高い。
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6.15共同宣言から19年(6月16日)
19年前の6月15日は史上初めてとなる南北首脳会談の「共同宣言」が発表されえた日である。15日の朝鮮中央通信は、「6.15共同宣言の趣旨に則って、開城工業団地と金剛山観光を再開し、北南を結ぶ鉄道と道路を連結するように」という決議書を掲載した。
決議書では2018年の「板門店宣言」や「9月平壌共同宣言」は「6.15共同宣言」の基本的精神を継承するもので、「6.15共同宣言」により、北南は戦争の瀬戸際にあった危機的状況を転換させ、種々の困難を克服し、平和と繁栄を強固にするものとなったこと、さらに民族の自主原則を貫き、外部勢力の干渉に反対すると述べている。...
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19年前の6月15日は史上初めてとなる南北首脳会談の「共同宣言」が発表されえた日である。15日の朝鮮中央通信は、「6.15共同宣言の趣旨に則って、開城工業団地と金剛山観光を再開し、北南を結ぶ鉄道と道路を連結するように」という決議書を掲載した。
決議書では2018年の「板門店宣言」や「9月平壌共同宣言」は「6.15共同宣言」の基本的精神を継承するもので、「6.15共同宣言」により、北南は戦争の瀬戸際にあった危機的状況を転換させ、種々の困難を克服し、平和と繁栄を強固にするものとなったこと、さらに民族の自主原則を貫き、外部勢力の干渉に反対すると述べている。
19年前に、当時の金大中・韓国大統領が平壌に赴き、金正日総書記と会談を行ったわけであるが、この会談以降、開城工業団地や金剛山観光は本格化した。しかし2008年7月に金剛山を観光していた韓国人女性を北朝鮮の兵士が射殺する事件が起こり、同観光は中止された。開城工業団地も北朝鮮の度重なるミサイル発射や核実験を理由に、2016年2月に中止され、韓国人関係者は一斉に同団地からひきあげた。いずれも北朝鮮に外貨をもたらす案件であったものだけに、北朝鮮は再開を望んでいる。再開を約束しておきながら、実行に移せない文在寅大統領を揺さぶりをかけているわけだが、経済制裁のもと、主要輸出品である鉱産物や衣類などの輸出ができず外貨を稼げない北朝鮮の焦りを感じさせるものになっている。
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ベトナムからの支援食糧、北朝鮮に到着(6月15日)
ベトナムからの支援食糧が13日に北朝鮮の南浦港に到着したと、14日の朝鮮中央通信が伝えた。食糧の種類や規模については伝えられていない。
北朝鮮の食糧事情については、経済制裁の影響で化学肥料が輸入できなかったことや天候不順によってこの10年で最悪な状況であると、5月に国連世界食糧計画(WFP)と国連食糧農業機関(FAO)が伝えていた。
どのような方法で支援を行うかもめていた韓国も、6月11日にはWFPと国連児童基金(UNICEF)を通じて800万㌦の支援を行っている。...
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ベトナムからの支援食糧が13日に北朝鮮の南浦港に到着したと、14日の朝鮮中央通信が伝えた。食糧の種類や規模については伝えられていない。
北朝鮮の食糧事情については、経済制裁の影響で化学肥料が輸入できなかったことや天候不順によってこの10年で最悪な状況であると、5月に国連世界食糧計画(WFP)と国連食糧農業機関(FAO)が伝えていた。
どのような方法で支援を行うかもめていた韓国も、6月11日にはWFPと国連児童基金(UNICEF)を通じて800万㌦の支援を行っている。このほか1日にはソウル市が独自にWFPを通じて100万㌦相当の栄養食品等を北朝鮮に送ると発表した。
国連機関を通じて、スイスやロシアも北朝鮮への援助を表明しているが、5月末時点で1238万㌦しか集まっておらず、必要額の1割程度しか集まっていないと国連人道問題調整事務所は発表していた。韓国の支援を含めても必要額の2割弱しか集まっていないことになる。
経済制裁が北朝鮮の一般の人々の生活にもじわじわと影響を与えているようである。
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金正恩、金大中夫人への弔問に妹派遣(6月13日)
韓国の元大統領金大中氏の夫人、李姫鎬氏が10日亡くなった。韓国統一部が12日に北朝鮮側に通報したところ、同日午後5時に、北朝鮮の金正恩委員長は妹の金与正労働党扇動部第一副部長を、板門店に派遣し、韓国側に弔意を伝え、花輪を献じた。
板門店の北側の施設「統一閣」で行われたもので、韓国からは、鄭義溶国家安保室長、開城の南北共同連絡事務所の徐虎所長、「金大中平和センター」の朴智元副理事長が出席した。...
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韓国の元大統領金大中氏の夫人、李姫鎬氏が10日亡くなった。韓国統一部が12日に北朝鮮側に通報したところ、同日午後5時に、北朝鮮の金正恩委員長は妹の金与正労働党扇動部第一副部長を、板門店に派遣し、韓国側に弔意を伝え、花輪を献じた。
板門店の北側の施設「統一閣」で行われたもので、韓国からは、鄭義溶国家安保室長、開城の南北共同連絡事務所の徐虎所長、「金大中平和センター」の朴智元副理事長が出席した。
李姫鎬氏は、初の南北首脳会談となった2000年の金大中元大統領の訪朝に同行しており、金正日総書記と会見している。また金正日総書記が亡くなった際には、李姫鎬氏が訪朝し、金正恩委員長に弔意を伝えていた。李姫鎬氏は、金正恩氏が政権に就いた後に最初に会見した韓国人となった。また2015年には金正恩委員長の招請により北朝鮮を訪問している。なお2009年に金大中元大統領が亡くなった後に、李姫鎬氏が金大中平和センターの理事長を務めていた。
6月末に予定されているトランプ大統領の訪韓の前に、4回目の南北首脳会談を行いたいとしていた青瓦台であるが、金与正第一副部長との接触の際に、親書などが交換されることはなかった模様。
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