北朝鮮、ロシアとの関係強化を狙う(4月6日)
~バランス外交の行方は~
2月末の米朝首脳会談が失敗に終わり、北朝鮮は外交政策の見直しを迫られている。本来であれば、これまで後ろ盾の役割を果たしてきた中国との関係強化を図りそうなところであるが、今のところ、米朝首脳会談の顛末を中国に報告に行く特使の派遣すら伝えられていない。中国としても米中貿易摩擦の決着が、中国が願う形でつくかどうかの見通しがつかない状況のなかで、へたに米国を刺激したくないという思いもあって、積極的に動けない状況にある。...
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~バランス外交の行方は~
2月末の米朝首脳会談が失敗に終わり、北朝鮮は外交政策の見直しを迫られている。本来であれば、これまで後ろ盾の役割を果たしてきた中国との関係強化を図りそうなところであるが、今のところ、米朝首脳会談の顛末を中国に報告に行く特使の派遣すら伝えられていない。中国としても米中貿易摩擦の決着が、中国が願う形でつくかどうかの見通しがつかない状況のなかで、へたに米国を刺激したくないという思いもあって、積極的に動けない状況にある。
そのようななかで、北朝鮮はロシアとの関係を強化しようとしている。5日にロシアのタス通信は、大統領関係者の話として、金正恩委員長の訪露を現在準備しているところであり、3日には北朝鮮に招聘状を送り、現在返答を待っているところだと語ったことを報じた。金正恩委員長の訪露については、2018年5月にロシアのラブロフ外相が訪朝した際に、プーチン大統領の親書のなかで要請されていたもの。
一方ロシアはWFP(世界食糧計画)を通じて北朝鮮に小麦を援助したが、その小麦は2日北朝鮮に到着した。2018年の北朝鮮の食糧生産は悪天候や、経済制裁により肥料の輸入ができなかったことにより、不作であり、国際機関に援助を要請せざるを得ないほど、食糧事情は悪化していたことから、ロシアの小麦援助は人々の不満を解消させる一助になり得る。
大国に囲まれている北朝鮮は、これまでも大国とのバランス外交に腐心してきたが、米中露という大国を相手に、一層のバランス感覚を要求されつつ、外交を行う必要に迫られることになった。
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朝鮮戦争時の遺骨、韓国から中国へ(4月4日)
3日、韓国の仁川空港を飛び立った専用機は、朝鮮戦争時の中国人民志願軍の兵士の遺骨10柱と遺品145件を載せて瀋陽の桃仙空港に到着した。
遺骨の返還は2013年に当時の朴槿恵大統領が訪中した際に決まったもので、2014年から毎年返還されていて、今回の10柱を含めて599柱が中国に戻ったことになる。
毎年行われている行事を今回ことさら強調したのは、THHAD(高高度防衛ミサイル)の韓国設置以来、ぎくしゃくしていた中韓関係の関係を回復させようという思惑もあるのかもしれない。...
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3日、韓国の仁川空港を飛び立った専用機は、朝鮮戦争時の中国人民志願軍の兵士の遺骨10柱と遺品145件を載せて瀋陽の桃仙空港に到着した。
遺骨の返還は2013年に当時の朴槿恵大統領が訪中した際に決まったもので、2014年から毎年返還されていて、今回の10柱を含めて599柱が中国に戻ったことになる。
毎年行われている行事を今回ことさら強調したのは、THHAD(高高度防衛ミサイル)の韓国設置以来、ぎくしゃくしていた中韓関係の関係を回復させようという思惑もあるのかもしれない。しかしそれ以上に第一次米朝首脳会談でとりあげられた朝鮮戦争の終戦宣言に関して、中国も朝鮮戦争の当事者であるとのアピールをしたかったのではないか。
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韓国大統領の訪米と米朝関係(4月3日)
韓国の文在寅大統領は、米国で4月11日にトランプ大統領と会談をし、米朝関係について意見交換を行うことになるが、文在寅大統領としては仲介人として米朝首脳会談の仕切り直しを目指したいところであろう。トランプ大統領の日程が11日しかとれなかったということで、文在寅大統領は臨時政府樹立100周年の記念行事への出席をキャンセルしてまで訪米を優先させているのである。
2月末の米朝首脳会談の失敗の原因のひとつが、韓国が北朝鮮の「非核化の意思」を強調し過ぎ、そのため米国が北朝鮮に対し非核化の要求水準を上げたことだともいわれている。...
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韓国の文在寅大統領は、米国で4月11日にトランプ大統領と会談をし、米朝関係について意見交換を行うことになるが、文在寅大統領としては仲介人として米朝首脳会談の仕切り直しを目指したいところであろう。トランプ大統領の日程が11日しかとれなかったということで、文在寅大統領は臨時政府樹立100周年の記念行事への出席をキャンセルしてまで訪米を優先させているのである。
2月末の米朝首脳会談の失敗の原因のひとつが、韓国が北朝鮮の「非核化の意思」を強調し過ぎ、そのため米国が北朝鮮に対し非核化の要求水準を上げたことだともいわれている。また韓国が2月以降も開城工業団地や金剛山観光の再開を目指していることや、北朝鮮が瀬取り(海上で荷物を船から船へ積み替える)を行う際に韓国船籍の船も関与していたことが明らかになっていることなどから、米国の韓国への不信感が強くなっている。そのため果たして韓国が今後も米朝の仲介者になれるかは疑問も残る。
一方で北朝鮮からは「米国のご機嫌をとるのではなく、我々とともに要求するべきことを要求し、当事者としての役割を果たすべき」として、韓国の仲介者としての役割を見限るような批判も受けている。
北朝鮮にしてみれば、非核化についてさらに踏み込まなければ、米国からの見返りがないことがわかった状況で、更なる非核化への決断ができなければ、第三回目の首脳会談を行うことはできない。
今や米朝双方から不信感を持たれ、韓国国内でも経済政策の失敗から支持率が下がっている文在寅大統領であるが、果たして第三回目の米朝首脳会談のお膳立てはできるのか。昨年9月に南北首脳会談で約束された金正恩委員長のソウル訪問も果たされていない。
さらに4月11日は北朝鮮で最高人民会議が行われる日でもある。北朝鮮でどのような新たな方針が示されるのかも注目される。
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北朝鮮外務省、大使館襲撃事件をテロと非難(4月1日)
3月31日の朝鮮中央通信は、北朝鮮外務省の報道官が、2月22日にスペインの北朝鮮大使館が襲撃された事件について、テロ事件であると非難した、と報道している。北朝鮮は事件後37日たって初めての反応を示したことになる。
報道官は、武装集団が大使館を襲撃し、館員に暴力をふるい、通信機器などを強奪したこの事件は、国家の主権に対する重大な侵害であり、国際法を蹂躙するものであり、国際的に容認できない事件であると非難した。...
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3月31日の朝鮮中央通信は、北朝鮮外務省の報道官が、2月22日にスペインの北朝鮮大使館が襲撃された事件について、テロ事件であると非難した、と報道している。北朝鮮は事件後37日たって初めての反応を示したことになる。
報道官は、武装集団が大使館を襲撃し、館員に暴力をふるい、通信機器などを強奪したこの事件は、国家の主権に対する重大な侵害であり、国際法を蹂躙するものであり、国際的に容認できない事件であると非難した。またスペイン当局が事件を徹底的に調査し、テロ分子とその背後にいる操縦者を国際法に照らして厳正に処理するように、朝鮮は忍耐心をもって結果を待っている、と述べている。
北朝鮮としても実行犯が反体制活動をしていて、金正恩委員長の兄で、2017年にマレーシアで暗殺された金正男氏の長男を保護しているといわれている「自由朝鮮」であるという事実が国内に知れ渡ることは避けたいところであったのだろう。しかし米国の関与が明らかになったことから、今後米国との交渉で有利に運ぶカードとするために、ようやく事件を認め、非難を明らかにしたことになる。
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大使館押し入り事件・北朝鮮が非難“米国FBI関与の説注視”(4月1日)
スペイン・マドリードにある北朝鮮大使館に2月22日、武装した男たちが押し入り、職員を縛って尋問した上、コンピューターなどを奪って逃げた事件では、『自由朝鮮」と名乗る脱北者団体が関与を認めた上で、FBIと情報を共有していると主張している。
この事件について、北朝鮮外務省の報道官は、国営メディアを通じて声明を発表し、「大使館職員を縛って殴り拷問して、通信機材を強奪したテロ行為だ。国家の主権に対する侵害で、絶対に許してはならない」と非難し、初めて公式に反応した。...
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スペイン・マドリードにある北朝鮮大使館に2月22日、武装した男たちが押し入り、職員を縛って尋問した上、コンピューターなどを奪って逃げた事件では、『自由朝鮮」と名乗る脱北者団体が関与を認めた上で、FBIと情報を共有していると主張している。
この事件について、北朝鮮外務省の報道官は、国営メディアを通じて声明を発表し、「大使館職員を縛って殴り拷問して、通信機材を強奪したテロ行為だ。国家の主権に対する侵害で、絶対に許してはならない」と非難し、初めて公式に反応した。
その上で、事件には、FBIと反共和国団体が関与しているという説が出回っており、注視しているとして、スペイン当局に徹底した捜査を求めている。
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