金正恩、百貨店視察(4月8日)
8日の朝鮮中央通信は15枚の写真とともに、金正恩委員長が開業したばかりの大城百貨店を視察した様子を報じている。金正恩委員長は、品質の良い、食品や衣類、靴、家庭用品、日用雑貨、学習用品が豊富に取り揃えられている様子に喜び、陳列の仕方も良く、人民の生活を保障するものであると満足をしていた、と報じられている。
2月末の米朝首脳会談では、2016年以降の経済制裁、李容浩外相の言葉を借りれば、北朝鮮の人々の生活と関わることが多い経済制裁の解除に固執していた北朝鮮であり、経済制裁が効果をあげていることを感じさせた。しかし色彩豊かな百貨店の内部を見せることによって、あたかも経済制裁があっても人々は生活に困っていないことを誇示しようとしているようである。
北朝鮮の弁護士、中国で外資誘致説明会(4月7日)
中国の「環球時報」系の英字紙「Global Times」は4月2日付の紙面で、北朝鮮の弁護士が1日北京で、北朝鮮の外資導入法や投資家保護の状況を説明し、外資の誘致活動を行った、と報じた。
北朝鮮の朝鮮対外経済法律コンサルティング・オフィス(KEELCO)が、中国の徳衡法律事務所の招きで訪中したもので、今後13日までの間に済南や青島、上海、深圳でも同様の説明会が行われる予定という。
説明会では、製造業ばかりではなく、農業や交通、通信の分野でも北朝鮮は投資を受け入れており、合弁形式だけでなく外資単独でも企業設立が可能であること、業種としては、とくにハイテク分野や国際市場で競争力のある製品であること、さらにインフラ、科学技術の分野での投資を望んでいることも紹介している。...
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中国の「環球時報」系の英字紙「Global Times」は4月2日付の紙面で、北朝鮮の弁護士が1日北京で、北朝鮮の外資導入法や投資家保護の状況を説明し、外資の誘致活動を行った、と報じた。
北朝鮮の朝鮮対外経済法律コンサルティング・オフィス(KEELCO)が、中国の徳衡法律事務所の招きで訪中したもので、今後13日までの間に済南や青島、上海、深圳でも同様の説明会が行われる予定という。
説明会では、製造業ばかりではなく、農業や交通、通信の分野でも北朝鮮は投資を受け入れており、合弁形式だけでなく外資単独でも企業設立が可能であること、業種としては、とくにハイテク分野や国際市場で競争力のある製品であること、さらにインフラ、科学技術の分野での投資を望んでいることも紹介している。外資は50年間土地を借りることができ、その期間は延長できる。さらに26の経済開発区についての説明があった一方で、人々の健康被害を及ぼす案件や環境に悪影響を及ぼす案件、さらには資源の輸出のみのプロジェクトへの投資は禁止している、との説明があった。
具体的な案件としては、平壌に10万㎡におよぶ国際展示場を建設する件や深層水プロジェクトがあることが紹介された。深層水のプロジェクトは中国から80㌔の地点で行われ、補償貿易のやり方を望んでいることが明らかにされた。
Global Times のインタビューに、黒龍江社会科学院北北東アジア研究所所長は、「現在中国は経済制裁を厳格に行っているので、北朝鮮には投資はできないが、制裁が解除されたら、北朝鮮の経済の可能性は大きい」と語った。
2017年8月に国連は北朝鮮への投資を禁ずる制裁を課しており、中国商務部も国連の制裁案に則って北朝鮮への投資を禁じていることから、現状では中国の対朝投資は難しい。実情としては中国の対朝投資は2012年をピークに減少傾向にあり、2017年には制裁の影響もあり、前年に比べ95.4%も減少している。制裁を別にしても、中国のなかでは、北朝鮮が外国企業を保護しようとしない、国際市況を無視して値上げを要求してくる、などの不満がある。今や中国は外国投資の受け入れと同規模の対外投資を行っているが、その中国にとっても投資市場としての北朝鮮の魅力は少ない。この投資誘致説明会は中国のなかにある、北朝鮮への期待の薄さを払拭することはできたのだろうか。
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金正恩、観光地区視察(4月7日)
~元山葛麻観光区の半年延期ともう一つのスキー場建設を指導~
6日の朝鮮中央通信社は、金正恩委員長が元山葛麻観光特区と平安南道陽徳郡温泉旅游区の建設状況を視察したと報じている。金正恩委員長は陽徳郡で建設されている温泉地区のそばに、馬息嶺に続くスキー場を建設すれば、観光客は昼にはスキーを楽しみ、夜には温泉が楽しめるとして、スキー場を建設するように指導した。...
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~元山葛麻観光区の半年延期ともう一つのスキー場建設を指導~
6日の朝鮮中央通信社は、金正恩委員長が元山葛麻観光特区と平安南道陽徳郡温泉旅游区の建設状況を視察したと報じている。金正恩委員長は陽徳郡で建設されている温泉地区のそばに、馬息嶺に続くスキー場を建設すれば、観光客は昼にはスキーを楽しみ、夜には温泉が楽しめるとして、スキー場を建設するように指導した。
元山葛麻観光特区では、金正恩委員長は昨年視察にきたときに欠点を指摘したが、今回来てみると欠点が修正され、非常に壮観に建設されていることに満足していると述べた。ただし労働党が決心し、巨額な資金を投入しているプロジェクトでは、建設速度のみを追求するのではなく、50年、100年後も遜色がないように、最高の品質を備えた建物を建設しなければならないとして、今年の労働党の創建記念日(10月10日)ではなくて、来年の太陽節(金日成の生誕日、4月15日)までに完成させるようにと指導した。
観光は国連の経済制裁の対象ではないことから、北朝鮮は観光に力をいれ、外貨を稼ごうとしている。しかし元山葛麻地区はホテルのインテリア資材など必要な資材が輸入できないことから建設が滞っているといわれていて、今回の半年完成を遅らせるという指導になったものと思われる。また観光は制裁対象にはなっていないとはいえ、観光客を現地まで連れていくためのバスを動かすためのガソリンなどは制裁対象となっている。馬息嶺スキー場も外国人観光客を呼び込むための魅力が乏しく閑古鳥が鳴いているなかで、果たして貴重な資源をつぎ込んだ観光事業がうまくいくのか。うまくいかなければ金正恩委員長の威信にもかかわる問題になる恐れもある。
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米国研究グループ・“北朝鮮・核施設に資材搬入の可能性”(4月6日)
米国の研究グループ「38NORTH」は5日、先の米朝首脳会談で焦点となった北朝鮮・寧辺の核施設について、最新の衛星写真から新たにクレーンが確認され、資材が運び込まれた可能性があるとの分析結果を明らかにした。
寧辺の核施設は2回目の米朝首脳会談で焦点となった核開発の中核施設で、北朝鮮は「軽水炉の建設は発電が目的」と主張しているが、国際社会は「核兵器の原料となるプルトニウムの生産につながる」と指摘している。...
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米国の研究グループ「38NORTH」は5日、先の米朝首脳会談で焦点となった北朝鮮・寧辺の核施設について、最新の衛星写真から新たにクレーンが確認され、資材が運び込まれた可能性があるとの分析結果を明らかにした。
寧辺の核施設は2回目の米朝首脳会談で焦点となった核開発の中核施設で、北朝鮮は「軽水炉の建設は発電が目的」と主張しているが、国際社会は「核兵器の原料となるプルトニウムの生産につながる」と指摘している。
物別れに終わった2回目の米朝首脳会談以降、北朝鮮ではミサイル発射場が運用可能な状態にまで復旧されるなど、非核化に逆行する活動が確認されている。
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瀬戸際外交に戻る北朝鮮(4月6日)
(米朝会談の裏側で熾烈なやりとり)
ハノイでの米朝首脳会談が決裂した裏事情が次第に明らかになってきている。トランプ大統領はこの会談で金正恩委員長に非核化の措置とそれに相応する見返り措置がロードマップ形式で記載された「5項目の合意文書草案」を提示し、これに対し金委員長は顔を真っ赤にし「一方的に非核化を求める米国の主張は受け入れがたい」と猛反発したという。会談の裏側で行われていたこうした熾烈なやりとりを見てみると、これまで報道されていたような円満な決裂ではなかったことがよくわかり、米朝交渉の再開が容易ではないことが推察できる。...
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(米朝会談の裏側で熾烈なやりとり)
ハノイでの米朝首脳会談が決裂した裏事情が次第に明らかになってきている。トランプ大統領はこの会談で金正恩委員長に非核化の措置とそれに相応する見返り措置がロードマップ形式で記載された「5項目の合意文書草案」を提示し、これに対し金委員長は顔を真っ赤にし「一方的に非核化を求める米国の主張は受け入れがたい」と猛反発したという。会談の裏側で行われていたこうした熾烈なやりとりを見てみると、これまで報道されていたような円満な決裂ではなかったことがよくわかり、米朝交渉の再開が容易ではないことが推察できる。
(瀬戸際外交に戻る北朝鮮)
この流れから見ていくと北朝鮮がふたたび瀬戸際外交に戻る可能性は高く、その兆候は実際にいくつも出てきはじめている。米国の北朝鮮監視機関CSISと39ノースの衛星写真による分析によれば、いつ人工衛星を名目としてミサイル発射実験が行われてもおかしくないほど、トンチャンリミサイル実験場の準備が整っているという。過去の経緯からみて北朝鮮のミサイル発射は北朝鮮の記念日に行われることが多く、4月15日の金日成誕生日、25日の朝鮮人民革命軍創建日などが有力視されている。米国がこれにどう対応するのかを注視していく必要があるし、日本として北朝鮮の人工衛星発射をどう解釈し、どう向き合うのかも考えておく必要がある。もうひとつ気がかりなのは北朝鮮が東部・新浦の造船所で3000トン級の新型潜水艦の建造を本格化させているとみられていることである。この施設に潜水艦建造に必要とみられる資材が大量に運び込まれたという。SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)3、4基が搭載可能で、建造に成功すれば、北朝鮮の戦略的攻撃能力は画期的に高まり、日本や在日米軍への脅威がいっきに増すことになる。今、北朝鮮は対米核戦力を強化する路線に突き進みつつあるように見える。
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