この経済学者は、52才で8月13日に開票された一次選挙で最も高い投票数(約30%)を獲得している。10月の大統領選挙では最も当選の可能性が高い候補とも言われている。ハビエル・ミレイ自身は、「羊たちを先導したいとは思わないが、ライオンたちを奮起させたい。」と自由主義的な主張を常々語っている。
一方、2003年、ネストル・キルチネルが大統領に選出された選挙からアルゼンチンの政界は2つの相反するブロックに2分されている。1つ目はペロニズム(中道左派、国家主義)と2つ目はリベラルで保守的な右派である。
テレビ討論で、ハビエル・ミレイは既成政党を腐敗した寄生グループと評し、左派政権や右派が、数年来アルゼンチンを苦しめている経済危機の解決に手をこまねいている間に自らの政治的な立場を確立してきた。
ハビエル・ミレイの経歴は‘う余曲折’を経ているといえる。すなわち、これまで多くの大学で教鞭をとる傍ら、民間企業(英国のHSBC銀行)や公共機関でエコノミストとして頭角を表してきた。
2017年から彼の親しみのある話しぶり、戦闘的な髪型、罵言などがテレビやラジオ受けしてメディアに頻繁に登場するようになった。
2020年には‘お騒がせ’ハビエルは自ら党首となっている自由党から立候補して首都ブエノスアイレス市議会議員に選ばれた。
なお、ハビエル・ミレイ候補は国政が自由や庶民の金銭を奪うものとして捉えており、国政の関与を最小に抑え、インフレ対策としてメネム政権時代(1990年代)のドルーペソ等価政策を復帰したいと主張している。
閉じる
トランプ政権下で米中貿易紛争が激化したが、それに続くコロナ禍によるサプライチェーン混乱と相俟って、米国にとっての最大貿易相手国が中国からメキシコに取って代わられている。
7月25日付
『ブライトバート』オンラインニュースは、米中貿易紛争に続いてコロナ禍による世界サプライチェーンの混乱もあって、米国にとっての最大貿易相手国が中国からメキシコに取って代わられたと報じている。
ダラス米連邦準備銀行のルイス・トーレス上級エコノミストは7月25日、2023年1~4月における米国の最大貿易相手国は中国からメキシコに取って代わられたと発表した。
同氏によると、同期間の米国の輸出入総額は2,630億ドル(約36兆8,200億円)であるが、その大半を占める2,342億ドル(約32兆7,880億円)の加工品においてメキシコ製品が主要となっているという。...
全部読む
7月25日付
『ブライトバート』オンラインニュースは、米中貿易紛争に続いてコロナ禍による世界サプライチェーンの混乱もあって、米国にとっての最大貿易相手国が中国からメキシコに取って代わられたと報じている。
ダラス米連邦準備銀行のルイス・トーレス上級エコノミストは7月25日、2023年1~4月における米国の最大貿易相手国は中国からメキシコに取って代わられたと発表した。
同氏によると、同期間の米国の輸出入総額は2,630億ドル(約36兆8,200億円)であるが、その大半を占める2,342億ドル(約32兆7,880億円)の加工品においてメキシコ製品が主要となっているという。
この結果、同期間における対メキシコ貿易比率は15.4%と、2014年にカナダに代わって最大貿易相手国となっていた中国をかわして最大となっている。
カナダも躍進してメキシコに次いで15.2%となり、中国は12%まで下げている。
同氏によると、米中貿易は、中国が2001年に世界貿易機関(WTO、1995年設立)に加盟を認められて以来、爆発的に増えていったという。
しかし、専門家は当初より、中国政府による輸出業者への不当な補助金支援や、中国国内市場に対する海外企業の受け入れ制限について強く非難していた。
実際問題、中国からの対米輸出額が増額するに連れて、特に製造業界では米国企業の業績低迷や、失業者の増加はもとより、平均賃金の目減りが取り沙汰されてきていた。
ところが、トランプ政権下で2018年に米中貿易紛争が勃発したことや、加工品の“ニアショアリング(注1後記)”手当ての考え方が進行したこともあって、メキシコが中国に代わって輸出高を増やしてきていた。
更に、コロナ禍による世界的サプライチェーンの寸断問題も発生し、部品調達や価格高騰に対抗すべく、メキシコに依存する態勢が益々強まっていった。
また、米国の自動車業界が早くからメキシコの低労賃に目を付けて、メキシコに多量の部品を送った上で現地生産した車を米国に輸入するビジネススタイルを成功させてきており、コンピューター生産や電化製品メーカーもメキシコに目を向け始めている。
トーレス氏によれば、特にメキシコで採用されている“マキラドーラ(注2後記)”が有益であるという。
ただ、労賃比較では中国の方が依然メキシコより安い。
何故なら、新疆ウィグル自治区のウィグル族の“強制労働”等によって、自由主義世界では許されない不当労働を採用しているからである。
しかし、トーレス氏は最後に、“かつて貿易政策は、自由主義、より大きな効果、そして安価であることが重要であったが、現在の世界貿易はそれとは違い、経済安全保障、気候変動対策、更にはサプライチェーンの弾力性がより重要視されている”と結んでいる。
なお、『ビジネスインサイダー』オンラインニュースも、“コロナ禍によって米国消費者は、迅速な配送、ニアショアリング、更には太平洋を越えての輸送に頼らずとも北米域内での海上貿易がより魅力的であることに気付かされている”と分析を加えている。
そして、“世界最大のスーパーマーケットチェーンのウォルマート(1969年設立)などは、仕入れコストが少々割高となっても、「グローバル化」よりも「地域化」の方がより安全だという考えに至っている”とし、また、“消費者も、安価な中国製品の乱入で、多くの企業・工場が閉鎖に追い込まれた現実について思いを巡らしている”とも言及している。
(注1)ニアショアリング:既存の事業拠点から地理的に近い近隣国に事業を移転すること 。
(注2)マキラドーラ:1965年に制定された、製品を輸出する場合、当該製品を製造する際に用いた原材料・部品、機械などを無関税で輸入できる保税加工制度。一般にメキシコの制度を指す場合が多いが、他の中南米諸国でもパラグアイ、ドミニカ共和国、エルサルバドルなどで同様の制度をとっている国がある。
閉じる