3月20日付
『ジ・エコノミスト』(1843年創刊の週刊誌)は、人口減少に喘ぐ日本において、関西及び関東の2つの市による人口増政策について好意的に報じている。
日本は先進国の中にあって、最も少子高齢化が進んだ国である。
2023年の出生数は、記録の残る1899年以来初めて80万人を下回った2022年(76万6千人)より更に4万人も少なくなっている。
この結果、合計特殊出生率は1.20となり、2022年に記録した最低値の1.26を更新している。...
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3月20日付
『ジ・エコノミスト』(1843年創刊の週刊誌)は、人口減少に喘ぐ日本において、関西及び関東の2つの市による人口増政策について好意的に報じている。
日本は先進国の中にあって、最も少子高齢化が進んだ国である。
2023年の出生数は、記録の残る1899年以来初めて80万人を下回った2022年(76万6千人)より更に4万人も少なくなっている。
この結果、合計特殊出生率は1.20となり、2022年に記録した最低値の1.26を更新している。
日本の市区町村は約1,800あるが、9割近くが人口減少に遭っていて、増やしている市町村は僅か200である。
その背景には、高い教育費や、硬直的な民法(家族法)のために、若者にとって、結婚はもとより出生・子育てに消極的とならざるを得ないことが挙げられる。
その中にあって、関西の明石市、関東の流山市の人口増政策が注目されている。
●明石市
・10年ほど前から「オムツと一緒に思いやりも配達」との標語を掲げて、無料の離乳食やオムツ、無料の医療ケア、学校給食の配達活動を実践。
・子育てに勤しむ母親Aは、“オムツ無料も助かるが、配達してくれる職員の方からいろいろ励まされることで、孤立しがちな子育てに勇気がもらえる”とコメント。
・かかる政策の成果もあって、直近10年間で人口が増えていて、30万人を突破しており、多くの市町村で人口減少のために学校が閉鎖されているのに対して、同市では学校増設の土地確保に苦慮する程。
・出生率も1.65と、全国平均1.2~1.3を大きく上回る。
●流山市
・直近10年で人口が+24%も増え、21万1千人となっている。
・大きな要因は、2005年につくばエクスプレス線が開通したことで、首都圏への通勤が便利となったことが挙げられる。
・しかし、もっと大きな要因は、子育て支援を「最優先事項」とする取組みであり、2007年に、駅で子供を受け取って保育園まで届けるバスサービスを開始した上、直近15年間で保育園の数を17から100以上まで増やしている。
・井崎義治市長(70歳、2003年初当選)は、“子育てをしながら働き続けられる環境づくりを目指してきた”とコメント。
しかし、冒頭に触れたとおり、若者が結婚・出生・子育てに消極的な具体的理由のひとつとして、保育園の絶対数の減少が全国に蔓延していることが挙げられる。
政府は、この点に関していくつかの改善を行い、保育園に入れない子供(待機児童)の数を90%削減した上、子供の数を増やす奨励策として、税制やその他の経済的インセンティブを導入してきている。
ただ、明治大(1881年前身設立の私立大学)の加藤久和政治経済学部教授(65歳)は、“保育施設を増設しようとすると、騒音の増加を懸念する近隣の住民からの反対に遭うことがあることから、社会としてもっと子育てに寛容になる必要がある”と強調している。
なお、子育てに不寛容な事例として、昨年4月にレストラン「スープストック(1999年前身設立)」が赤ちゃんに無料の食事を提供し始めたところ、泣き叫ぶ乳幼児の近くに座るのは嫌だとする反対の声が多くSNS上に挙げられるという事態が起きている。
(注)GGI:経済・教育・政治参加などの分野での世界各国の男女間の不均衡(ジェンダー・ギャップ)を示す指標。2006年から、非営利財団の世界経済フォーラムが公表。指標は経済・教育・政治・保健の4分野の14の変数を総合してつけられている。2023年指標では、1~5位が北欧及びNZで占められ、6位ドイツ、15位英国、17位(アジアトップ)フィリピン、40位フランス、43位米国、104位韓国、107位中国、そして125位が日本で先進国最下位。日本より下位は中東のイスラム諸国、アフリカの途上国のみ。
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国際通貨基金(IMF、1945年創設)は昨年11月、2023年の各国の国内総生産(GDP)予想を発表したが、それによると日本はドイツに抜かれて4位に転落するという。そしてこの程、IMFの直近のデータによると、4位転落は確実で、更に2026年にはインドにも抜かれて5位に沈む見込みとなっていると米メディアが報じている。
2月13日付
『ブルームバーグ』オンラインニュースは、2023年の世界GDPランキングで、日本が4位に転落することは確実で、更に2026年にはインドにも抜かれて5位に沈む見込みだと報じている。
IMFが直近で公表した2023年GDP世界ランキングでは、3位の日本が4位のドイツに抜かれることが確実となっている。
内閣府が2月15日に公表するデータで最終結果が判明するが、IMFデータによると、日本:4兆2,300億ドル(2023年為替レートで約596兆円)、ドイツ:4兆5,000億ドル(4兆1,200億ユーロ、約635兆円)となっている。...
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2月13日付
『ブルームバーグ』オンラインニュースは、2023年の世界GDPランキングで、日本が4位に転落することは確実で、更に2026年にはインドにも抜かれて5位に沈む見込みだと報じている。
IMFが直近で公表した2023年GDP世界ランキングでは、3位の日本が4位のドイツに抜かれることが確実となっている。
内閣府が2月15日に公表するデータで最終結果が判明するが、IMFデータによると、日本:4兆2,300億ドル(2023年為替レートで約596兆円)、ドイツ:4兆5,000億ドル(4兆1,200億ユーロ、約635兆円)となっている。
ただ、日本のGDPは、円換算ベースでは2012年比+12%増加しているのに対して、ドル換算では2012年は6兆3,000億ドルであり、大きな要因は当時の為替レート80円だったのに対して、2023年実勢レートが141円となっていたことにある。
第一生命経済研究所(1997年設立)の熊野英生首席エコノミスト(56歳)は、“日本のGDP下落は偏に円安問題に因るところが大きい”と分析している。
同氏は、“円安で日本の経済規模が遥かに縮小されてしまっており、日本の一人負けと言わざるを得ない”とし、“一方、ドイツは折からのウクライナ戦争に伴う急激なインフレのせいで名目GDPが上昇したのであって、ドイツ自身も経済が低迷していることは明らかだ”とコメントしている。
なお、IMFの見立てによると、日本もドイツも高齢化、乏しい天然資源、更には自動車を中心とした輸出に依存しているという共通点があり、国内産業の大きな発展が望めない限り、急速に経済発展を成し遂げつつあるインドに、日本は2026年に、ドイツも2027年に追い抜かれる見込みとなっている。
すなわち、インドでは、ナレンドラ・モディ首相(73歳、2014年就任)主導によって、国内製造業を発展させ、インドを世界の輸出センターに押し上げるため、巨額の資金的援助政策が進められている。
実際問題、これまで投じられた240億ドル(約3兆5,760億円)のお陰で、米アップル(1976年設立)や韓国サムスン電子(1969年設立)のように大規模国内生産を達成できるまでになっている。
米金融大手ゴールドマンサックス(1869年設立)調査部門のサンタヌ・セングプタ氏(インド担当エコノミスト)は、“良好な人口動態(14億人の約3分の2が労働生産年齢)によって、今後数十年にもわたって成長が維持される”と分析している。
これに対して、少子高齢化に喘ぐ日本について熊野氏は、“例えば国内における先端技術研究開発センターを創設する等によって、技術集約型産業を発展させていく必要がある”と強調している。
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