2週間前の前回報道時以降も、新型コロナウィルス(COVID-19)感染流行は深刻の程度が一向に改善せず、感染者は3,500万人超、また、死者も遂に103万人を超えた。今後、冬を迎える北半球、特に米国及び欧州での感染者増が見込まれ、早期の治療薬及びワクチン開発が待たれる。なお、10月5日午後5時現在、感染者3,516万5,808人、死者103万7,153人、致死率2.9%となっている(米ジョンズ・ホプキンズ大学収集データを引用)。
10月5日付
『ブルームバーグ』オンラインニュース他:「COVID-19感染流行問題に関わる直近の状況」
≪ハイライト≫
●米国:① ニューヨーク州での感染者再急増に伴い、再び行動制限政策導入見込み。
② 複数の上院議員の感染が確認されたことより、トランプ大統領指名の最高裁判事の承認手続きに関わるヒアリングを延期するよう民主党院内総務が要求。
●インド:一日の感染者が3日連続8万人以下となっているものの、今後数週間後には感染者数で米国を抜き世界最多となる見通し。
●ブラジル:南半球の春を迎えたせいか、真冬に当たる7月末の感染者一日7万人に比べて、10分の1程の僅か8,456人と激減。
●英国:今冬の感染者急増に備えて、三段階の都市封鎖措置導入を検討。
●フランス:パリでの感染者急増で、レストラン・バーの15日間閉鎖を決定。
●イタリア:政府は、感染者再増加に伴い、マスク着用義務や複数人の集会等を禁止する新たな行動制限措置を講ずる意向と表明。
●日本:COVID-19用ワクチンを全国民に無償で投与することを決定。
≪米国≫(感染者741万8,107人、死者20万9,725人、致死率2.8%)
・ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事(62歳、民主党員)は、ニューヨーク、ブルックリン、クイーンズ地区での感染者再急増に伴い、地元商店街・学校の閉鎖措置を講ずる意向を表明。
・ニューヨーク市のビル・デ・ブラシオ市長(59歳、民主党員)は、ブルックリン、クイーンズ地区内の商業・学校を閉鎖するとし、レストランの屋内・外の営業も禁止。但し、防止対策を条件に教会での礼拝は許可。
・上院院内総務のチャック・シューマー議員(69歳、ニューヨーク州選出民主党員)は、共和党上院議員3人がCOVID-19に罹患したことより、トランプ大統領が指名したエイミー・コニー・バレット氏(48歳、控訴審判事)の最高裁判事承認手続きのためのヒアリング実施を延期すべきと主張。
≪インド≫(感染者662万3,815人、死者10万2,685人、致死率1.6%)
・一日の感染者が3日連続で8万人以下。
・ただ、今後数週間後には米国を抜いて世界最多の感染者数となる見通し。
≪ブラジル≫(感染者491万5,289人、死者14万6,352人、致死率3.0%)
・春を迎えた直近の感染者は8,456人と5月半ば(南半球の秋)以来最小で、7月29日(同冬季)の僅か10分の1程度。
≪英国≫(感染者50万5,619人、死者4万2,440人、致死率8.4%)
・『ガーディアン』紙報道によると、政府は今冬の感染者増に備えて、感染度合に合わせて該当地区に三段階の都市封鎖措置の導入を検討。最悪のレベル3では、接待や余興ビジネスは禁止し、また屋外でのマスク着用義務。
・『フィナンシャル・タイムズ』紙報道によると、英国政府支援の研究チームが開発中のCOVID-19用ワクチンは約3千万人分しか準備できないため、全人口6,700万人の半分以下に留まる見込み。
≪フランス≫(感染者62万9,509人、死者3万2,742人、致死率5.2%)
・『AFP通信』報道によると、パリ及び近郊で感染者が再び増加したため、政府はレストラン・バーを、10月6日から15日間、再び閉鎖することを検討。ただ、2度目となる全国ベースの都市封鎖措置は避けたい意向。
≪イタリア≫(感染者32万5,329人、死者3万5,986人、致死率11.1%)
・ジュゼッペ・コンテ首相(56歳)は、感染者再増加に伴い、再び外出時のマスク着用義務や複数人の集会禁止等の行動制限措置を講ずる意向を表明。
・感染急増の地区では、地方政府が既に上記行動制限を再導入済み。
≪日本≫(感染者8万5,825人、死者1,598人、致死率1.9%)
・『讀賣新聞』によると、衛生諮問委員会が10月2日、厚生労働省が提案した、COVID-19用ワクチンを全国民向けに無償で投与する案を承認。
・同省は今月、関係免疫法改定案を国会提出予定。
≪シンガポール≫(感染者5万7,812人、死者27人、致死率0.05%)
・『ストレイツ・タイムズ』紙によると、保健相が10月5日、感染者数減少に伴い、5人以上の集会を禁止する措置を取り止める意向を表明。
・財務省は、COVID-19感染に伴う景気後退で資金繰り圧迫の個人、中小企業に対して、国内銀行団が、今年末まで債務返済猶予していた措置を更に2021年末まで再延長すると発表。
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シンガポールでは、水資源の供給を安定させるための水処理施設への経費が増加しておりそれを補填する目的等で水道料金を2段階に分けて3割値上げする方針だという。家計への影響を軽減するため、低所得者への税優遇措置を行う。シンガポールでは水道供給の約6割を隣国マレーシアからの輸入に頼っており、残りは国内の貯水・集水地や淡水化(脱塩)で賄っているという。政府はマレーシアとの契約が切れる2060年までに需要の多くをプラント施設で賄う方針だが、生活費が世界で最も高い国にランクインし、その水道料も周辺国の10倍前後。その一方、6年連続して経済成長低迷と失業率上昇で、市民の不満が高まっているという。今回、市民が自由に集結出来る「スピーカーズ・コーナー」での抗議集会に関する記事に対して、シンガポール警察は「誤解を招き、警察への不信を仰ぐもの」だと警戒している。
3月13日付シンガポール
『ニュー・ストレイツ・タイムズ』(ロイター通信引用)は「水道料金値上げで珍しい抗議、シンガポール」との見出しで以下のように報道している。
シンガポールのスピーカーズ・コーナーには、政府の水道料金値上げ計画に抗議するため100人以上が集い抗議が行われた。
シンガポール政府は高い支持率を誇るのだが一方、反対意見への寛容が足りないことで知られる。市民は公園の一角に設けられたこの場所で法に触れない範囲で不満を漏らす事のみが許される。
先月政府は、低所得世帯への税控除を条件に、水道料金の段階的3割値上げ計画を発表。値上げは20年以上振り。これに対し市民は、税控除の条件では大家族には不足だと反対しているという。
資源の乏しいシンガポールでは水道供給の6割をマレーシアに頼り、その契約は2061年まで。
輸入への依存脱却をめざし、水処理施設で水を再生し、海水の脱塩施設にも多額の投資をしている。
先月財務相は「再生水と脱塩で水不足を補うべき」だと議会で発言した。
輸入水も国内の水源も天候条件に左右される為、水道料金値上げは水処理技術へのコストとして必須だと説明する。
しかし、デモ参加者はこれを「不当」とし、3年連続世界で最も生活費が高い都市であり、英国からの独立後急速に発展した経済立国は6年連続して成長鈍化と高失業率に見舞われている。政府の圧力を恐れる必要がなければ、もっと多くの人がデモに参加したとの見方もある。
2014年には強制積立制度に抗議した6人が公的不法妨害罪で起訴されている。
12日付
『ロイター通信』は「水道料金値上げ抗議に関するロイターの記事が誤りだとシンガポールが主張」との見出しで以下のように報道している。
シンガポール警察は日曜、ロイター通信による(上記の)記事が、スピーカーズ・コーナーの位置づけに関して「間違っており誤解を生む」ものだと述べた。シンガポール警察は声明で、記事は「明らかにスピーカーズ・コーナーの使用を著しく躊躇させ、警察への不信を仰ぐもの」、「もっと客観的な取材をしていたら、スピーカーズ・コーナーはシンガポール市民が自由に責任を持って大衆に向けて主張する場であると報道するはずである」と述べている。また、2014年に6人が起訴されたという報道に対して警察は、隣接した場所で別のイベントを妨害した後に逮捕されたと説明した。
デモを主導したギルバート・ゴー氏は当紙に、デモに参加するのを恐れる人がある特定数いると述べた。
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