中国の李克強首相は天津で6月26日から28日まで開催されている世界経済フォーラム主催の夏季ダボス会議で演説し、中国は経済改革を着実に進めハードランディングはしないと強調した。また英国のEU離脱にも言及し、世界は市場安定化のために協調して行くことが重要であると語ったうえで、中国は安定したEUと安定した英国を望むとも述べ、EU内での他の国の離脱の動きや英国内での独立運動の動きをけん制した。
輸出・投資主導の経済から消費主導の経済へ中国経済の構造改革を進める最高責任者である李首相は官僚機構から根強い抵抗を受けており、習近平主席からその手腕を疑問視され始めたのではないかとの観測もあるが、今回の演説では構造改革について従来の言葉を繰り返すのみで新味のある発言は出なかったようである。
6月28日付英文版
『上海日報』は、「李首相、実態経済支援を約束」という見出しで、李克強首相が夏季ダボス会議で昨日演説し、2016年の主要な経済社会発展目標は達成可能であり、中国経済のハードランディングは絶対ないと述べたと報じた。首相は無難であった第1四半期に続き第2四半期も堅実な成長率を維持出来ると述べたうえで、過剰設備の削減、在庫削減、債務削減による供給サイドの構造改革を進め、事業コストの削減に取り組むと約束した。製鉄、炭鉱の過剰設備削減は市場指向の法的なやり方で進め、過剰労働者の再雇用に取り組むとも述べた。
6月28日付
『チャイナデイリー』は、「李首相:経済の課題克服可能」という見出しで、
李首相は月曜日夏季ダボス会議で演説し、景気後退圧力と不安定な世界経済にも拘らず、中国経済を楽観していると述べたと報じた。また、厳しく複雑な国際環境と根深い国内問題のため中国経済安定化の基盤は堅固ではないが、中国は課題を克服する決意と能力があると述べたとも報じている。
6月27日付
『チャイナデイリー』は、「李首相:英国EU離脱に伴う市場の混乱を収束させるために世界が努力することが必要」という見出しで、李首相は夏季ダボス会議において英国EU離脱で世界の市場が不安定化しており、世界は協調して世界経済の再活性化の途を求める必要があると述べたと報じた。欧州は中国の重要なパートナーであり、欧州及び英国との健全な関係維持に努めたい。中国は結束し安定したEUと安定し繁栄する英国を望むとも述べたと伝えている。
閉じる
中国の王毅外相はG7サミットで南シナ海情勢が議題となることについて、「G7は南シナ海問題に関係ない。アジア諸国が日中に牽引を期待する国際経済の議題に集中するべき」などとけん制した。また、「G20のメンバーでもあるG7は、9月に中国の杭州で開催されるG20サミットの成功に向け、建設的な役割を果たすよう期待する」等と述べている。
5月26日付
『ロイター通信』は「G7は南シナ海へ強いメッセージが必要で合意、中国はけん制」との見出しで、以下のように報道している。
・G7は、日本や東南アジアと領土問題で対立を深める中国へ強力なメッセージを送る事で合意。この合意にG7に含まれないが大国となり発言力を増した中国が鋭く返答。
・安倍首相は南シナ海問題の議論をリードし、他国の首相はG7としての明確な指針を発表するべきだとした、と日本の世耕弦成 内閣官房副長官は、政治外交のセッション後報道陣に語った。...
全部読む
5月26日付
『ロイター通信』は「G7は南シナ海へ強いメッセージが必要で合意、中国はけん制」との見出しで、以下のように報道している。
・G7は、日本や東南アジアと領土問題で対立を深める中国へ強力なメッセージを送る事で合意。この合意にG7に含まれないが大国となり発言力を増した中国が鋭く返答。
・安倍首相は南シナ海問題の議論をリードし、他国の首相はG7としての明確な指針を発表するべきだとした、と日本の世耕弦成 内閣官房副長官は、政治外交のセッション後報道陣に語った。
・記者会見で安倍首相は日本は中国の平和的発展は歓迎するものの、法を無視した一方的な行動には反対すると繰り返し、同様に米国も中国の行動に懸念を示した。
・中国外交部報道官は、「南シナ海問題はG7と全く関係ない。中国は南シナ海の領有権を主張する国に断固反対する。」とした。
5月26日付中国
『人民日報』は「G7サミット、各国課題の相違とデモの中幕開け」との見出しで以下のように報道している。
・各国首脳は経済政策が相違、沖縄では反米軍デモが行われる中、サミットが開始された。安倍首相は自称日本文化の発祥の地とする伊勢神宮へ各国首脳を招いた。批評家は政教分離の憲法に反すると批判。2012年就任以来、大日本帝国の国家イデオロギーである国家神道を復興させたとして批判されている。
・経済問題、テロ、温暖化、エネルギー問題が議題とされてきたが、ドイツの金融政策を理由に景気刺激策の合意に至らず、サミット前に仙台で開催されたG7財務相と中央銀行総裁会議でも相違点を埋めることができなかった。
・水曜、沖縄の嘉手納基地周辺で、元海兵隊員による女性殺害に抗議するため4000人以上がデモに参加。安倍首相との会談でオバマ大統領は事件について「大変遺憾」とした。日本は米国が投下した広島の原爆を持ち出しいつも日本が戦争の被害者だというが、アジア諸国侵略での残虐行為にはほとんど言及しない。
同日付中国
『チャイナデイリー』は「G7会合は経済に集中すべき」以下のように報道している。
・中国の王毅外相は、9月に杭州市で開かれるG20に関する記者会見の場で、G7は南シナ海に関する領土問題でなく、世界の財政、開発問題に集中すべき。首脳の自由ではあるが、ダブルスタンダードを避け公平な立場で議論すべき、だとした。
・同外相は、「G7は領土問題をかき乱さないでほしい。G20のメンバーでもあるG7は、G20サミットの成功へ前向きで建設的な役割を果たすよう期待する。」と述べた。
・また同外相は、「日本と中国はアジア経済圏で2大経済大国であり、アジア諸国はG7サミットがアジア経済の成長と発展に注力するよう期待している。」と述べ、南シナ海問題が、国際法と南シナ海における関係国の行動宣言(DOC)に基づく当事国間の対話と交渉により平和的解決を望むと繰り返した。
閉じる