中国、冬季オリンピック期間中に抗議する選手たちは「処罰を受ける」と警告(2022/01/20)
北京冬季オリンピックの組織委員会幹部は18日に行われた記者会見で、来月の冬季大会での選手の抗議の可能性に関する質問に対し、オリンピック精神、特に中国の規則・法律に反する選手の行動は、「一定の制裁」の対象となると警告を発した。
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『ガーディアン』によると、北京組織委員会の国際関係担当のヤン・シュウ副ディレクターは、「オリンピックの精神に沿った表現は全て保護されると確信している。オリンピックの精神、特に中国の法律や規制に反する行動や言論は、特定の処罰の対象となる。」と語った。大会での抗議行為は、国際オリンピック委員会が定めたルールに反するものであり、東京大会でも抗議活動は処罰の対象となる可能性があることが伝えられていた。
しかし、中国国内において、中国に対する抗議、反対、批判に対する不寛容さが増していることが懸念されている。...
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『ガーディアン』によると、北京組織委員会の国際関係担当のヤン・シュウ副ディレクターは、「オリンピックの精神に沿った表現は全て保護されると確信している。オリンピックの精神、特に中国の法律や規制に反する行動や言論は、特定の処罰の対象となる。」と語った。大会での抗議行為は、国際オリンピック委員会が定めたルールに反するものであり、東京大会でも抗議活動は処罰の対象となる可能性があることが伝えられていた。
しかし、中国国内において、中国に対する抗議、反対、批判に対する不寛容さが増していることが懸念されている。多くの人権活動家や弁護士が逮捕され、投獄されている。昨年は、中国のテニス界のスターである彭帥さんが、元高官の性的暴行を公に告発した後、数週間にわたり公の場から姿を消したことで、彼女の身の上をめぐって国際的な批判が沸き起こった。
人権NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」主催のフォーラムは18日の夜、北京大会に参加している選手たちは、大会期間中に声明を出すことを含むいかなる活動も行わないこと、また中国の並外れた監視の目に警戒するよう、警告を発した。同団体の中国研究者は、彭帥さんの失踪は、選手が発言した場合に「何が起こり得るかを示す良い指標」であると述べた。「中国の法律は、人々の言論の自由を訴追するために使用できる犯罪の定義が非常に曖昧である。平和的な批判的コメントに対して、あらゆる種類の罪を問うことができる。そして中国では有罪率は99%だ。」と説明している。
米国のノルディックスキー元オリンピック選手のノア・ホフマン氏は、「選手は社会のリーダーとして発言する素晴らしいプラットフォームと能力を持っているのに、関係者はこの大会を前にして、特定の問題についての質問に選手たちが答えないようにさせている」と述べた。「私の選手へのアドバイスは、自分の安全が脅かされるから黙っているようにということであり、安全が脅かされるようなことがあってはならない。帰ってきてから発言すれば良い。」と指摘している。
米『フォックスニュース』は、イスラム教徒が大多数を占めるウイグル族の扱いや、チベット、香港、台湾に対する中国の政策が、オリンピックを前にして、より厳しく問われていると伝えている。しかし、中国には言論を制限する法律があるため、北京オリンピックでは、「現地の法律」に基づいて、抗議活動がどのような処罰を受けるか決定されるため、より大きな処罰を受ける可能性があることが懸念されているという。
こうした中、仏メディア『ヨーロッパ1』は、あと2週間後に迫る北京大会は、『ブレードランナー』と『2001年宇宙の旅』をミックスしたSF小説のような大会になりそうだと報じている。謎のウイルス「コロナ」が、オリンピックに深刻な脅威を与える中、選手たちはどう対処していくのか。「また、17日には北京大会は一般向けのチケット販売はしないことがわかった。しかし、完全な無観客で行うのかどうか、中国側は今のところ曖昧にしている。サスペンスも必要だ」。
同メディアによると、数日前から、選手たちが少しずつ中国の首都に到着している。しかし、この世の終わり的な雰囲気の中で迎えられているという。「まるで廃墟のような空っぽの空港。出会うのは抗菌服を着た人たちだけ。北京の厳格なクローズド・ループ管理を順守しなければならない。また、選手たちは食堂での食事中、人の温もりを求めてはいけない。リスクを最小限に抑えるために、ロボットが天井から、トレイを届ける。」『ヨーロッパ1』は、終末的な雰囲気の中で行われることになるオリンピック競技は、選手にとってかなりのストレスになるだろうと伝えている。
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英国選手団、冬季オリンピックでの中国によるスパイ行為のリスクについて警告を受ける(2022/01/14)
北京冬季オリンピックに向かう英国チームの選手たちは、中国政府によって監視される危険性があるため、個人の携帯は自宅に残すように勧告されており、大会期間中に使用できる携帯電話が提供される予定となっている。
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『インデペンデント』によると、英国代表団はこの申し出を受ける必要はないものの、英国オリンピック委員会(BOA)は、中国政府が選手の個人用デバイスにスパイウェアをインストールし、個人情報を引き出したり、今後の活動を追跡したりすることを懸念しているという。
BOAの広報担当者は、「我々は選手とスタッフに実用的なアドバイスをし、彼らがゲームに個人のデバイスを持って行くかどうか、彼ら自身の選択をすることができるようにした。...
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『インデペンデント』によると、英国代表団はこの申し出を受ける必要はないものの、英国オリンピック委員会(BOA)は、中国政府が選手の個人用デバイスにスパイウェアをインストールし、個人情報を引き出したり、今後の活動を追跡したりすることを懸念しているという。
BOAの広報担当者は、「我々は選手とスタッフに実用的なアドバイスをし、彼らがゲームに個人のデバイスを持って行くかどうか、彼ら自身の選択をすることができるようにした。自分のデバイスを持って行きたくない選手には、代理で一時的に使用するための器機を用意している。」と説明している。
英『ガーディアン』によると、オランダオリンピック委員会(NOCNSF)は、中国が大会中に電子機器の監視を行うことが予想されるため、さらに一歩進んで、選手たちに個人の携帯電話やノートパソコンを持ってこないように指示したという。オランダの新聞「フォルクスクラント」は、NOCNSFが選手やサポートスタッフに、帰国後に破棄される携帯電話やノートパソコンを渡すと伝えている。NOCNSFのスポークスマンは、具体的な対策については言及を避けたが、「サイバーセキュリティーの重要性は年々高まっている。中国はインターネットを完全に遮断していて、特殊なケースである。」と説明している。
米紙『USAトゥデイ』は、米国を含む数カ国のオリンピックチームが、北京大会でのサイバー監視の懸念から選手に対して、個人の携帯電話やラップトップを自宅に置いておくよう奨励していると報じている。
米国オリンピック委員会(USOPC)が配布したパンフレットには、レンタルか使い捨てのパソコンやプリペイド式携帯が推奨されると書かれている。米国オリンピック委員会は、「コンピュータと同様に、携帯電話上のデータやアプリケーションは、悪意のある侵入、感染、データ侵害の対象となる」と勧告している。
なお、北京大会に先立つ各国オリンピック委員会の指導は、各国政府が通常、中国を訪れる旅行者に行っている勧告に沿ったものだという。例えば、米国務省は中国への渡航勧告の中で、中国の「警備担当者は外国人訪問者を注意深く監視している」と書いている。また、「ホテルの部屋(会議室を含む)、オフィス、車、タクシー、電話、インターネット使用、デジタル決済、ファックスが現場または遠隔で監視され、ホテルの部屋にあるパソコンなどの個人の持ち物が、同意や通知なく捜索されることがある」と勧告している。
豪紙『ジ・エイジ』によると、オーストラリアオリンピック委員会(AOC)の広報担当者は、豪選手やサポートスタッフには大会におけるサイバーセキュリティーの潜在的リスクについて教育を行うが、個人所有のデバイスを持ち出すかどうかは個人の判断に任せると述べている。
全選手には国際オリンピック委員会からサムスンの携帯電話と現地のSIMカードが配布され、スタッフは割り当てられたエリアでAOC専用のWi-Fiを利用することができる。また、スタッフは割り当てられた場所でAOC専用のWi-Fiを利用し、ソーシャルメディアやその他のコミュニケーションアプリにアクセスすることが許可される予定となっている。
中国共産党が発行する新聞「環球時報」は論説で、「こうした告発はフェイクニュース、無知、そして西側諸国自身の行いに基づいている」と非難し、反中感情を鼓舞する試みであると書いている。
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