ウクライナ戦争:ロシアは秋までにウクライナ戦争に勝利できると期待(2022/05/30)
ラトビアの独立系ニュースメディア「メドゥーサ」が新たに報じたところによると、ロシア当局はウクライナでの勝利宣言をあきらめておらず、むしろ早ければ秋にも軍事的勝利を得るために作戦を強化することを望んでいるという。
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『ビジネス・インサイダー』と米
『ニューズウィーク』によると、ロシア当局の情報筋がメドゥーサに対して、「我々は最終的に彼らをすり潰すだろう。秋までにはおそらく全てが終わるだろう」と語った。別の情報筋は「遅かれ早かれ、ヨーロッパは援助することに飽きてくるだろう。お金と武器の両方とも、自分たちの為に必要としているものだ」と語り、冬が近づくにつれて、ヨーロッパ諸国はロシアとの「交渉が必要」になるだろうと予測しているという。...
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『ビジネス・インサイダー』と米
『ニューズウィーク』によると、ロシア当局の情報筋がメドゥーサに対して、「我々は最終的に彼らをすり潰すだろう。秋までにはおそらく全てが終わるだろう」と語った。別の情報筋は「遅かれ早かれ、ヨーロッパは援助することに飽きてくるだろう。お金と武器の両方とも、自分たちの為に必要としているものだ」と語り、冬が近づくにつれて、ヨーロッパ諸国はロシアとの「交渉が必要」になるだろうと予測しているという。そして、「ロシア軍はいくつかの小集落を占領しかしていない、あるいは、軍隊は問題を抱えている。こうした印象は、ウクライナ人がすぐにあきらめなかったために生まれたものだ」とし、「これは勝利を得ることができないことを意味するものではない。」と語った。ロシア大統領府のある情報筋は、「今のところ、ほとんど志願兵が戦っている。ウクライナで比較的ゆっくりと前進するには、彼らで十分である。しかし、より速く移動する必要がある場合は、徴兵制を利用することができる。それでも軍隊なのだ」と、メドゥーサに語った。
メドゥーサによると、ロシア当局は、何をもって勝利とするかについて、まだ曖昧にしているという。ある関係者は、最低限必要なのは、ウクライナが2014年から戦っているドンバス地方東部を占領することだろうと述べている。
『ニューズウィーク』は、ロシアは、プーチンの重要な目標である首都キーウの占領に失敗しているが、プーチンが再び挑戦する用意があることが明らかになってきている、と伝えている。
『ビジネス・インサイダー』は、ロシアがウクライナ東部に対して兵力や大砲などの重火器を集結させているため、現在ウクライナはこの地域で後手に回っていると伝えている。ここ数日、ウクライナ政府関係者は、ロシアが徐々に前進していることを認めている。英国防省は28日、ロシアがドンバスを占領することに成功すれば、「ロシア政府によって実質的な政治的成果と見なされ、ロシア国民に侵略を正当化するように描かれる可能性が高い」とツイートしている。
一方で、英国のジョンソン首相は28日、ツイッターで、英国の支援は「長期的なもの」であると述べた。米国のバイデン政権も、以前は対象外とされていた長距離ロケットシステムをウクライナに送る方向に傾き始めており、支持がさらに高まっていることを示している。また、欧州連合(EU)の外交官による声明案では、EUは「揺るぎないコミットメント」を表明している。
しかし、EU諸国の間で、制裁に対する温度差があることも事実だ。例えば、ハンガリーは、ロシアの石油輸入を禁止するEUの提案を阻止し続けている。ウクライナは以前から、EUのロシアに対する制裁が不完全であり、それが戦争をより長く、より辛いものにしていると批判している。
英紙『イブニング・スタンダード』によると、ドイツ首相官邸は、フランスのマクロン大統領とドイツのショルツ首相が80分にわたるプーチン大統領との電話会談で、「即時停戦とロシア軍の撤退を主張した」という。ロシア政府は電話会談後、プーチンがウクライナ政府との対話再開に前向きであると述べた。
一方で、ロシア軍の激しい攻撃にさらされている東部ルハンスク州のハイダイ知事は、「我々は自衛のための十分な強さと資源を持っている。しかし、包囲されないためには、撤退しなければならない可能性がある」と述べている。砲撃で、セヴェロドネツィク市の建物の90%が損傷しているという。ゼレンスキー大統領は、ウクライナは「現在の防衛資源が許す限り」自国を守っていると述べた。
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ウクライナ戦争で本当に勝っているのはどちらの側なのか。(2022/05/27)
ロシア軍がドンバス地方での攻勢を強める中、ウクライナ国防省は、ロシアが保有する高精度兵器の60%を使用したと主張している。また、欧米ではロシア軍の人材不足も報道されている。ロシア軍の苦戦が伝えられる一方で、ウクライナとロシアのどちらが実際に優勢になっているのかを見極めるのは実際には難しいとする声も上がっている。
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『フォックスニュース』によると、ゼレンスキー大統領は、ロシア軍が2275発のミサイルを使用して1475回近くのミサイル攻撃を行い、さらにロシア航空機による3000回の空爆を行ったと報告した。そして、ウクライナ国防省の情報総局副局長は25日、「我々のデータでは、高精度兵器に関して言えば、ロシア軍の備蓄の約60%がすでに使用されている」と推測していると述べた。また、ロシアの短距離弾道ミサイルシステムであるイスカンダルミサイルは、モスクワが補充に苦労している兵器のひとつに過ぎない、と語った。...
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『フォックスニュース』によると、ゼレンスキー大統領は、ロシア軍が2275発のミサイルを使用して1475回近くのミサイル攻撃を行い、さらにロシア航空機による3000回の空爆を行ったと報告した。そして、ウクライナ国防省の情報総局副局長は25日、「我々のデータでは、高精度兵器に関して言えば、ロシア軍の備蓄の約60%がすでに使用されている」と推測していると述べた。また、ロシアの短距離弾道ミサイルシステムであるイスカンダルミサイルは、モスクワが補充に苦労している兵器のひとつに過ぎない、と語った。同副局長は、ロシアは戦術を変更し、ウクライナの標的に発射するミサイルの数についてより慎重になっているとも主張した。厳しい国際的な制裁と、予想に反した長期戦となっている戦争のため、ロシア派軍隊が必要な物資の補給と修復に奔走していると推測されている。
英『イブニング・スタンダード』は、イギリスの国防長官が25日、マドリードでスペインのマルガリータ・ロブレス首相と会見した際に記者団に対し、ロシアの軍隊はすでに「疲弊し、壊れている」と述べたと伝えている。ロシア軍は兵器だけでなく、兵員不足にも陥っているとされている。ロシア議会は兵員を補うために、志願兵の年齢制限を撤廃する法案を25日に可決した。プーチン大統領が法案に署名すれば、41歳以上の男性もロシア軍に参加することができるようになる。
また、米『ビジネス・インサイダー』によると、ワシントンの研究機関「戦争研究所(ISW)」は、全ロシア将校会議が5月19日、ロシアのウクライナでの「特別軍事作戦」は失敗に終わったとし、プーチン大統領に対し、ロシアは「全面戦争」に備えなければならないと主張しているという。ISWは、全ロシア将校会議の批判的な投稿は、ロシア軍の戦地での様々な失敗のニュースが、ロシア国内の厳しい情報統制を掻い潜って国民に伝わっていることを示唆していると指摘している。そして、オンライン上では、ブロガーなどによる、ロシア政府に対する批判が顕著になってきている、と報告している。
しかし、米『アメリカン・コンサーバティブ』は、ウクライナ戦争でどちらが優勢なのかという判断は、実際のところ難しいと伝えている。ウクライナがロシアを打ち負かし、屈辱を与えるというウクライナと欧米諸国の期待が、戦争の状況に対し色メガネを通した評価につながってしまっている可能性があり、正確な現状把握を歪めている可能性があると警告している。
例えば、ウクライナ大統領府のアンドリー・イェルマーク長官は「戦争は、ウクライナの領土と主権の完全な回復とともに終結しなければならない」と宣言した。ウクライナの和平交渉団の一員であるミハイロ・ポドリャク大統領顧問は、「ロシア軍はウクライナを去らなければならず、その後に和平プロセスの再開が可能となる」と発言している。しかし、元ドイツ准将のエーリッヒ・ファド氏は最近、西側諸国の報道で主流となっているウクライナ優勢という見方よりもはるかに悲観的な評価を下している。「ロシア軍は、いつ、どこで、どのような兵力で攻撃を行うかを決定している。ロシア軍はドンバスで、数キロメートルにわたる前線を段階的にゆっくりと進み、領土を獲得している。キーウでの初期作戦のような速攻性はないが、より広い範囲で陣地を確保しているからだ。マリウポリ以外にも、アゾフ海や黒海沿岸の都市部を支配している。ゼレンスキー大統領が語っているように、地域を再征服するための反撃という選択肢もあるが、軍事的・作戦的にこれは現実離れしている。東ウクライナではロシアが強い。地上戦はもちろん、空中戦でも優位に立っており、この点を見誤るべきではない。反撃のために、ウクライナは兵器を持っていないし、兵器があったとしても成功しないだろう。」と指摘している。
ヴァド氏は、西側の武器がウクライナの躍進を保証してくれるという主張も退けた。「ウクライナの兵站基地は1000キロも離れたポーランドやスロバキアにある。これらの兵器は、ウクライナを通って東ウクライナまで何千キロも移動しなければならない。これらの供給ラインはもちろんロシアからの砲撃を受けている。ロシア軍の巡航ミサイル、短距離ミサイル、空軍、特殊部隊、偵察。物資の大部分は東ウクライナに向かう途中で全滅するか、捕獲されてしまう。軍事作戦上、ウクライナに勝機があるのは、ロシアにとってコストが高すぎる場合、長期に渡る紛争の末にのみである。しかし、その代償は莫大なものになるだろう。最終的には国が荒廃してしまう。私の考えでは、それは決して目的にはなりえない。」
独立系ジャーナリストのアーネスト・サイぺス氏も、同様の逆説的な見解を示している。「メディアが報道する内容とは裏腹に、ロシア連邦の軍隊は、強姦、殺人、略奪を行う暴れ者で構成されてはいない。また、ウクライナ軍との戦いでことごとく負けているわけでもない。さらに、モスクワの軍隊は燃料、装備、物資が枯渇しているわけでもない。ロシア軍から大量の脱走者が出ているわけでもない。我々が目にする情報は、この地域の戦争でいつも現れるような典型的なプロパガンダだ。私は、2008年の南オセチア紛争で、新聞社グルジア・トゥデイに勤めていたときに、まったく同じようなことが展開するのを見た。」
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