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北朝鮮との交渉・米国政府高官「非核化まで制裁緩和・期待すべきでない」(3月9日)
先週ベトナム・ハノイで開かれた2回目の米朝首脳会談では北朝鮮が一部の核施設の廃棄と引き換えに制裁解除を求めたのに対し、米国は追加の措置を要求してこれに応じず合意に至りませんでした。
今後の北朝鮮との交渉について米国政府の高官が都内で一部メディアの取材に応じ「トランプ大統領最終的かつ完全に検証された非核化が達成されない限り制裁緩和に応じないと明確にしている」と述べた。
その上で「北朝鮮は完全な非核化達成まで制裁緩和を期待すべきではない」として、経済制裁の段階的な緩和に否定的な考えを示した。...
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先週ベトナム・ハノイで開かれた2回目の米朝首脳会談では北朝鮮が一部の核施設の廃棄と引き換えに制裁解除を求めたのに対し、米国は追加の措置を要求してこれに応じず合意に至りませんでした。
今後の北朝鮮との交渉について米国政府の高官が都内で一部メディアの取材に応じ「トランプ大統領最終的かつ完全に検証された非核化が達成されない限り制裁緩和に応じないと明確にしている」と述べた。
その上で「北朝鮮は完全な非核化達成まで制裁緩和を期待すべきではない」として、経済制裁の段階的な緩和に否定的な考えを示した。
南北経済協力事業については「国連安全保障会議の制裁決議に違反するおそれがある」という見解を明らかにすると共に、見返りの措置として取り沙汰された朝鮮戦争の終戦宣言についても「今は言えることはない」と述べて北朝鮮側の出方を注視する姿勢を示した。
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米国研究グループが新たに発表・北朝鮮発射場“運用可能な状態に”(3月8日)
北朝鮮北西部にトンチャンリにあるミサイル発射場。去年6月の米朝首脳会談のあと、施設の一部を解体する作業が確認されている。
この発射場について米国研究グループ「38ノース」は施設を建て直すを確認したと発表した。今月6日に撮影の写真では事実上発射場とされる建物の再建が完了し作業用のクレーンもすでに撤去されている動きも確認されたという。
研究グループは発射場は通常の運用が可能な状態にまで戻ったとみられるという。...
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北朝鮮北西部にトンチャンリにあるミサイル発射場。去年6月の米朝首脳会談のあと、施設の一部を解体する作業が確認されている。
この発射場について米国研究グループ「38ノース」は施設を建て直すを確認したと発表した。今月6日に撮影の写真では事実上発射場とされる建物の再建が完了し作業用のクレーンもすでに撤去されている動きも確認されたという。
研究グループは発射場は通常の運用が可能な状態にまで戻ったとみられるという。これについてボルトン大統領補佐官はFOXニュースに出演し、仮に事実であれば非常に失望すると述べた。
その一方で「トランプ大統領が再び北朝鮮と会談してもよいと思っていることは明らかだ、いつどのように行うことができるかいずれわかるだろう」と述べ、米国としては対話の扉を開き続けている姿勢を強調した。
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ベトナムのドイモイは北朝鮮の改革のモデルになるか(3月7日)
北朝鮮の制裁逃れに関する報告書が、安保理で採択される見通しとなった。米朝首脳会談によって一挙に経済制裁の解除をねらった北朝鮮であったが、会談前にはみられた制裁の緩みも、報告書の採択によって北朝鮮の望みとは裏腹に、再び厳格化されていくことになるだろう。
北朝鮮が自力で経済発展を図っていくことはさらに難しくなっている。金正恩委員長が制裁の解除に固執したということは、北朝鮮の経済、とくに金正恩委員長が自由に使える資金が予想よりもはるかに少なくなっていたことを露呈させてしまった。...
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北朝鮮の制裁逃れに関する報告書が、安保理で採択される見通しとなった。米朝首脳会談によって一挙に経済制裁の解除をねらった北朝鮮であったが、会談前にはみられた制裁の緩みも、報告書の採択によって北朝鮮の望みとは裏腹に、再び厳格化されていくことになるだろう。
北朝鮮が自力で経済発展を図っていくことはさらに難しくなっている。金正恩委員長が制裁の解除に固執したということは、北朝鮮の経済、とくに金正恩委員長が自由に使える資金が予想よりもはるかに少なくなっていたことを露呈させてしまった。首脳会談の決裂によって、金正恩委員長は予定されていたベトナム国内の視察も行わず、日程を繰り上げて帰国の途についた。会談前は「ベトナム式」のモデル(ドイモイ)によって、北朝鮮の経済も発展していくのではないかとの声もあったが、果たして、北朝鮮でベトナム・モデルはあり得たのか。
ベトナムのドイモイは1986年に始まった。1975年にインドシナ戦争が終結し、76年に南北統一国家が成立し、南部は急激に社会主義化された。さらに78年にベトナムがカンボジアに侵攻したことから、西側諸国が援助を凍結、カンボジアのポル・ポト派を支持する中国の援助もなくなり、これらが相俟って生産が停滞した。このため新経済政策(ネップ)を行うことになったが、これには保守派からの反対も強かった。しかし1985年にソ連でゴルバチョフ政権が誕生するとソ連からの援助も減少しだしたことから、ドイモイ政策を始めざるをえなくなった。農業の請負制をはじめ、工業・価格・賃金・金融改革を同時に進行させた。さらに1989年のマルタ会談を経て、91年にはソ連が崩壊し、冷戦が終結したこともあり、米国との関係も改善され、95年には米国との国交が樹立したことによって、ベトナムは国際経済にも参入することができたのであった。
ベトナム社会科学院の有識者は言う。ベトナムは、自分たちの革新政策をベトナム・モデルと呼んだことはないが、確かに今日の北朝鮮とベトナムのドイモイの第一段階(1986-95年)の状況は良く似ているかもしれず、北朝鮮にとっても参考になる点はあるのではないかと思う。国際環境が厳しいなかで、国内で経済体制を改革して、生産力を高めることが必要である。またベトナムの経験は、最高指導者が改革の必要性を痛感し、庶民も生活水準の向上を望んでいる状況が一体化して、国家を変革していくことが重要であることを示しており、この点も北朝鮮の参考になるかもしれない。
ただ当時のベトナムは農業国であり、北朝鮮は工業国である状況が異なっているし、北朝鮮が受けている経済制裁は、ベトナムが受けていた経済制裁よりも厳しい。
北朝鮮がベトナムのドイモイの経験に学ぶにしろ、中国の改革開放政策に学ぶにしろ、ベトナムも中国も、米国との関係改善を果たしたことが、改革開放の道を行くための前提条件となっていた。
中国が改革開放を始めた頃の米国は寛容なるアブゾーバー(吸収するもの、中国の労働集約産品などを大量に輸入していた)であった点は現在と異なる。北朝鮮はタイミングを失しているかもしれない。ただ北朝鮮の経済規模が中国よりはるかに小さいことを考えれば、北朝鮮の工業製品を輸入してくれる相手国はあるだろうし、資金面から見れば、中国や韓国が北朝鮮に投資をするだろう。ただし改革を行う時期が遅くなればなるほど、北朝鮮にとって不利になってくる。
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対米非難ひかえる北朝鮮、韓国高官は米国へ(3月6日)
5日午前3時、金正恩委員長は北京に立ち寄ることもなく、列車の長旅を終え平壌に到着した。北朝鮮メディアは金正恩委員長の出発の時から大々的に報じていたが、米朝首脳会談で成果が出なかったにも関わらず、そのことには触れず、対米非難も行っていない。対米非難を行っていないということは、今後の米国との対話に北朝鮮が期待を持っていることだと考えられる。ただしミサイル発射場の復旧が伝えられるなど不穏な動きもみられる。...
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5日午前3時、金正恩委員長は北京に立ち寄ることもなく、列車の長旅を終え平壌に到着した。北朝鮮メディアは金正恩委員長の出発の時から大々的に報じていたが、米朝首脳会談で成果が出なかったにも関わらず、そのことには触れず、対米非難も行っていない。対米非難を行っていないということは、今後の米国との対話に北朝鮮が期待を持っていることだと考えられる。ただしミサイル発射場の復旧が伝えられるなど不穏な動きもみられる。
一方韓国の李度勲朝鮮半島平和交渉本部長が5-7日に訪米し、ビーガン北朝鮮特別代表から、米朝首脳会談についての説明を受け、同代表と今後の米朝交渉について協議する見込み。
韓国が再度仲介役として名乗りでようとしているのかもしれないが、ハノイでの会談の前には米韓の間で不協和音もあった。会談前ボルトン大統領補佐官が訪韓する予定であったものが、急遽取り止められたのである。ボルトン大統領補佐官が韓国側に、米国の北朝鮮に対する「ビッグ・ディール」を説明する予定であったが、韓国から北朝鮮に内容が漏れるのではないかとの懸念があったために、訪韓を取り止めたともいう。このため今回の李度勲本部長の訪米は、米韓の協力体制を再度確認するためともみられる。また韓国側は北朝鮮の金剛山観光や開城工業団地の再開に向けて米国と協議したい意向もあるようだ。
一方韓国の康京和外相は、文在寅大統領とともに国家安全保障会議(NSC)全体会議で、今年1月にスウェーデンで開催された韓米朝の会議を踏まえて、今後三者の半官半民(1.5トラック)の対話を推進していく方針だと述べたが、李度勲本部長はこれに関しては明言していない。
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米朝関係に中国は積極的な役割を果たす(3月5日)
3月4日全国人民代表大会の張業遂報道官が全人代について日程や議題について説明を行い、関連する質問を受け付けた。そのなかで韓国人記者が物別れに終わった米朝首脳会談についてどのように思うか、中国の役割は何かとの質問を行った。
これに対し、張報道官は、確かに合意文書の署名には至らなかったが、双方ともに対話を継続する意思を持っているので、次回の会談は建設的なものになるのではないかと考えている、と答えた。...
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3月4日全国人民代表大会の張業遂報道官が全人代について日程や議題について説明を行い、関連する質問を受け付けた。そのなかで韓国人記者が物別れに終わった米朝首脳会談についてどのように思うか、中国の役割は何かとの質問を行った。
これに対し、張報道官は、確かに合意文書の署名には至らなかったが、双方ともに対話を継続する意思を持っているので、次回の会談は建設的なものになるのではないかと考えている、と答えた。さらに米朝関係は複雑であり、1度や2度の会談では解決できないものであるが、朝鮮半島の非核化や平和体制の構築のためのためには、政治的な解決が正しい道である。朝鮮半島の問題は米朝が当事者であるが、中国も朝鮮半島の非核化や平和体制の構築のために、積極的な役割を果たしていくし、中国のやり方で努力を続けていく、と述べている。
4日付「環球時報」では中国国際問題研究院の楊希雨研究員の「朝米首脳はハノイで相互理解に至った」との記事を掲載している。そのなかでもこれからも両者の間で対話が続き、政治的解決に至ることの期待が寄せられている。そのなかで朝米が核やミサイルを巡って朝鮮半島の危機が高まっていたときに、「双暫停(北朝鮮は核実験やミサイル試射を暫く停止し、米国は米韓合同軍事演習を暫く停止する)」を提案したのは中国であること、また中国が議長国となって六者会合を主催し、2005年には9.19共同声明を出し、朝鮮半島の平和メカニズムを構築したと述べている。
中国にとって、米国が北朝鮮に最大限の譲歩をすることによって、北朝鮮も米国との関係を大幅に好転させるようなことは由々しき事態である。もっとも北朝鮮は中ソ対立の時代に、中ソと等距離外交を行い、中ソのバランスをとるのに腐心していたように、大国に囲まれた国として外交には最大の注意を払っていたことからすれば、米国一辺倒になることはないであろうが、多少であっても米国に重心が偏ることは中国は警戒したであろう。その点からすれば、中国が新たな仲介者ともなれるし、米国との貿易戦争を回避するためのカードのひとつに北朝鮮を利用することもあり得る。また六者会合のような多国間会議を主催することによって、自らの立場をあげるという選択肢もある。
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