米韓合同軍事演習、縮小へ(3月3日)
米朝首脳会談が合意に至らず、毎年春に行われていた米韓合同軍事演習がどうなるか注目されていたが、米国防総省は規模を縮小すると発表した。春季の軍事演習は機動訓練のフォール・イーグルと指揮系統の訓練のキー・リゾルブがあるのだが、キー・リゾルブは名称を韓国名にして、3月4~7日に行われる予定。
北朝鮮を刺激しないようにとの配慮があると思われるが、一方でトランプ大統領は、昨年のシンガポールでの記者会見と同様、ハノイでも米韓合同軍事演習に費用が掛かりすぎると述べていた。
ドイツ・フランス「北朝鮮に対する制裁続ける」(3月2日)
国連安全保障理事会で今月の議長を務めるフランスとドイツの国連大使は、北朝鮮に対するいまの制裁を続けるという考えを示した。
記者会見でドイツ・ホイスゲン国連大使は「北朝鮮に対する厳しい制裁が交渉の場に引き出すことにつながる」と強調し、「いま制裁を変える必要はない」と述べた。
フランス・ドラットル国連大使も、「制裁の緩和や解除は安保理の議題に上がらず議論もされていない」と述べ、「北朝鮮が求める制裁緩和は議題にならず、いまの制裁を続ける」との考えを示した。...
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国連安全保障理事会で今月の議長を務めるフランスとドイツの国連大使は、北朝鮮に対するいまの制裁を続けるという考えを示した。
記者会見でドイツ・ホイスゲン国連大使は「北朝鮮に対する厳しい制裁が交渉の場に引き出すことにつながる」と強調し、「いま制裁を変える必要はない」と述べた。
フランス・ドラットル国連大使も、「制裁の緩和や解除は安保理の議題に上がらず議論もされていない」と述べ、「北朝鮮が求める制裁緩和は議題にならず、いまの制裁を続ける」との考えを示した。
一方、安保理では去年、北朝鮮の人権問題を扱う会合が検討されながらも必要な9カ国の賛成が得られず開催できなかった。
この会合を開く考えがあるかとの質問に対し、ドラットル大使は「いま9票を得られるだろうか、それが問題だ」と述べ、中国やロシアに加えてアフリカや南米諸国にも開催に消極的な理事国があることから、否定的な見方を示した。
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北朝鮮にからむ不穏な動きも(3月2日)
(物別れに終わった米朝首脳会談)
2日間にわたってベトナム・ハノイで行われた2度目の米朝首脳会談は、非核化と制裁緩和で折り合えず物別れに終わった。米国がヨンビョンの核施設以外に追加的な非核化措置を求めて譲らなかったことや、北朝鮮側は否定しているものの、トランプ大統領は「北朝鮮が国連安保理制裁の全面解除を求めた為だ。我々にはそれができなかった」と説明しているが、当初から両国の溝は埋まっていなかったため、相応の結果が出たということができる。...
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(物別れに終わった米朝首脳会談)
2日間にわたってベトナム・ハノイで行われた2度目の米朝首脳会談は、非核化と制裁緩和で折り合えず物別れに終わった。米国がヨンビョンの核施設以外に追加的な非核化措置を求めて譲らなかったことや、北朝鮮側は否定しているものの、トランプ大統領は「北朝鮮が国連安保理制裁の全面解除を求めた為だ。我々にはそれができなかった」と説明しているが、当初から両国の溝は埋まっていなかったため、相応の結果が出たということができる。こうした表向きの理由以外にもトランプ大統領がキム委員長と会談を行っている間に、下院でトランプ大統領の元側近・マイケルコーエン氏の公聴会が生中継されるなどし、中途半端なディールをして帰るわけにはいかなくなったことや、トランプ大統領が国内で追い込まれているためハードルを高くしても問題無いという誤った読みを北朝鮮側が行ったことが背景にある。
(米朝首脳会談の結果が日本、韓国にもたらしたもの)
今回の結果は日本にとってはどうだったかを考えた場合、トランプ大統領が結果を出すことを焦って長距離弾道ミサイルのみの廃止と引き換えに制裁緩和するなどの中途半端な妥協を行わなかったという意味でプラスだったといえる。一方、南北融和を推し進め今回の米朝首脳会談につなげた韓国の受け止めはどうだったろうか。米朝首脳会談が成功し、ケソン工業団地と金剛山の観光事業再開によって南北融和を強力に推し進めることができると信じていた文大統領にとって今回の米朝首脳会談の結果は完全に当てが外れたものとなった。そのままの勢いを3月1日の日本からの独立運動記念日にもっていき、南北共同で日本叩きを行いつつ、金正恩委員長のソウル訪問を実現し、自らの支持率の回復を狙うという文大統領の描いていた青写真は完璧に崩れ去り、記念日での文大統領の演説は日本批判のトーンを抑えざるを得なかった。
(米朝首脳会談の今後・日本はどう北朝鮮に接するべきか)
北朝鮮・チェソンヒ外務次官が言った「今、金正恩委員長はもう米国との対話の意欲を失いつつある」という言葉からもわかるように、トランプ大統領が3度目の米朝首脳会談を呼び掛けたとしても外交手腕が問われかねない恥辱を受けた金正恩委員長はそう簡単にはのってこないとみられる。また選挙資金法違反の容疑がかけられているトランプ大統領も米国国内で追い詰められており、今後ますます動きづらい状況に追い込まれる可能性があり、現段階では米朝首脳会談が見通せる状況にはない。ただトランプ大統領としては2020年の大統領選を見据え、民主党の候補が決まる2020年4月頃までには3度目の首脳会談を開催し、結果を出したいという思いは頭の片隅にあるに違いない。一方で拉致問題を抱える日本にとっては北朝鮮が孤立しかけている今、単独で金委員長と向き合うチャンスだと主張する論調が一部にあるが、失敗した米朝首脳会談を飛び越えて日本が単独で北朝鮮と交渉することは難しいと言わざるを得ない。
(北朝鮮にからむ不穏な動き)
会談が失敗し失意の金委員長はベトナムから専用列車で中国を通って帰国するが、平壌に戻る前に、後ろ盾となっている中国の要人と会談する可能性があるといわれている。中国の今後の動きが気になるところである。今回、4日という比較的長い期間、国を留守にした金委員長だが、米朝会談が決裂した翌日の3月1日、金政権転覆を掲げる臨時政府「自由朝鮮」がソウルで旗揚げされ、ソウル市内の公園でメンバーの女性が宣言文を読み上げた。この団体はマレーシアの空港で暗殺された金正男の息子ハンソル氏をマカオから安全な場所にかくまった団体「千里馬民防衛」を前身としており、ウェブサイトで「自由朝鮮のための宣言文」を発表し、「ここに自由朝鮮の建国を宣言する。奴隷になりたくなければ立ち上がれ」と世界各地に散らばっている脱北者に連携を呼び掛けている。宣言文が読み上げられたソウルの公園は日本からの独立運動が旗揚げされた象徴的な場所だという。この団体が今後どのような動きをするのかも注意が必要となってくる。
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米朝は対話を続けていくことができるか(3月2日)
合意に至らなかった米朝首脳会談は今後どのように推移していくだろうか。対話を続けることはできるのか。トランプ大統領は時期は約束していないが、今後も金正恩委員長との協議を続けていくと語っていた。また1日の朝鮮中央通信も生産的な対話を引き続き行っていくこと、および米朝首脳は新たな再会を約束した、と伝えている。米朝双方ともに今回は合意に至らなかったが、今後も協議は続けていく意向を示している。
ただし1日未明に李容浩外相が記者会見を行った後に、崔善姫外務次官は「北朝鮮はまだ明らかにしていない提案があったのに、米国はそれを受け取る千載一遇の機会を逃してしまった。...
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合意に至らなかった米朝首脳会談は今後どのように推移していくだろうか。対話を続けることはできるのか。トランプ大統領は時期は約束していないが、今後も金正恩委員長との協議を続けていくと語っていた。また1日の朝鮮中央通信も生産的な対話を引き続き行っていくこと、および米朝首脳は新たな再会を約束した、と伝えている。米朝双方ともに今回は合意に至らなかったが、今後も協議は続けていく意向を示している。
ただし1日未明に李容浩外相が記者会見を行った後に、崔善姫外務次官は「北朝鮮はまだ明らかにしていない提案があったのに、米国はそれを受け取る千載一遇の機会を逃してしまった。今後このような機会があるかは保証できない」と述べており、次の会談がないことをほのめかしていた。金正恩委員長も本年の「新年の辞」で「(米国が)自分の約束を守らず、我が人民の忍耐心について誤った判断をし、一方的に何かを強要しようとし、依然として共和国に対する制裁と圧迫に乗り出すなら、・・・(我々は)新たな道を模索せざるを得なくなる」とも述べている。朝鮮中央通信が金正恩委員長の意向を無視する文章を掲載するはずはないことから、金正恩委員長も現時点では対話を継続するつもりであろうが、「新たな道」、即ち対話以外の道をさぐる可能性も残っている。
中国はどう思っているのか。1日にポンペオ国務長官が中国の楊潔篪中央外事工作委員会主任に米朝首脳会談の状況を説明し、米国は対話を継続するつもりだと述べたとき、楊潔篪主任は「米朝双方が信念と忍耐心を持って対話を進めていき、成果を得るよう希望している。中国も半島情勢に建設的な役割を果たしていく」と述べ、対話継続のために仲介の労をとろうとしている。
ポンペオ国務長官は、首脳会談後の記者会見で、「両国チームが今後再び同席し、問題解決に取り組み続けることを期待しています。これは非常に複雑な問題です。この交渉には時間が必要です」と述べている。米朝両首脳がもう一度信頼関係を構築し、時間をかけて実務者協議を行い、首脳会談でのブレークスルーを狙うのではない協議を行うつもりに両首脳がなれるのかが焦点となる。
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北朝鮮国営メディア・“生産的な対話を継続”・立場の違い鮮明に・今後の交渉難航も(3月1日)
ベトナム・ハノイで行われた2回目の米朝首脳会談から一夜が明け、北朝鮮の国営メディアは生産的な対話を継続することになったと伝え、米国と協議を続けていく姿勢を強調した。
一方で米朝の間では、非核化の措置とその見返りをめぐって立場の違いが鮮明になり、今後の交渉は難航することが予想される。米朝首脳会談が合意文書の署名に至らず終了したことについてトランプ大統領は、「北朝鮮が制裁の全面解除を求めたため折り合えなかった」と主張した。...
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ベトナム・ハノイで行われた2回目の米朝首脳会談から一夜が明け、北朝鮮の国営メディアは生産的な対話を継続することになったと伝え、米国と協議を続けていく姿勢を強調した。
一方で米朝の間では、非核化の措置とその見返りをめぐって立場の違いが鮮明になり、今後の交渉は難航することが予想される。米朝首脳会談が合意文書の署名に至らず終了したことについてトランプ大統領は、「北朝鮮が制裁の全面解除を求めたため折り合えなかった」と主張した。
一方、李容浩外相は「寧辺核施設廃棄と引き換えに一部の制裁解除だけを求めた」と反論した。
朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は会談の結果について今朝初めて伝え、「朝鮮半島の非核化と米国との関係を画期的に発展させるため、生産的な対話を継続することになった。新たな会談を約束した」として、米国と協議を続けていく姿勢を強調した。
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