北朝鮮労働者の送還期限迫る(12月21日)
2年前の2017年12月22日、国連安保理で海外にいる北朝鮮労働者を2年後までに本国に送還することが決まった。経済制裁の一環である。中露を中心に多くの北朝鮮労働者が海外に出稼ぎにでており、毎年12~23億㌦の外貨を北朝鮮にもたらしていたという。
11日安保理は、加盟国からの報告として、少なくとも2万3000人が送還されたと報告している。このうちロシアについて安保理制裁委員会は17年12月末には3万23人の出稼ぎ労働者がいたが、18年12月には1万1490人になったと報告している。...
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2年前の2017年12月22日、国連安保理で海外にいる北朝鮮労働者を2年後までに本国に送還することが決まった。経済制裁の一環である。中露を中心に多くの北朝鮮労働者が海外に出稼ぎにでており、毎年12~23億㌦の外貨を北朝鮮にもたらしていたという。
11日安保理は、加盟国からの報告として、少なくとも2万3000人が送還されたと報告している。このうちロシアについて安保理制裁委員会は17年12月末には3万23人の出稼ぎ労働者がいたが、18年12月には1万1490人になったと報告している。一方金融活動作業部会は2019年4月時点でロシアに滞在している北朝鮮労働者は4000人足らずになったと報じた。4か月で7000人が送還されたことになり、このペースで送還が続けば、ロシアから北朝鮮労働者がいなくなることになる。ただしロシアでは就労ビザではなく、就学ビザで入国した北朝鮮の人を働かせているのではないか、との疑惑もある。
一方中国はどうか。中国は安保理に報告書は提出したようだが、公表はしていない。
20日の定例記者会見で、この問題について問われた中国外交部の耿爽報道官は、「中国は国際義務を果たしており、安保理決議に従って問題を処理している」と語った。
中国に滞在していた北朝鮮労働者たちについては、「早々に北朝鮮レストランが閉鎖された」という話がある一方で、まだまだたくさんの労働者が滞在しているという説がある。中朝間を繋ぐ交通手段は航空機をはじめ、列車、バスなどたくさんある。図們江が凍結する冬季には徒歩という手段すらある。このため送還の実態はわかりにくい。一旦帰国してまた中国に戻るという例もありそうである。
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ビーガン突如訪中、北朝鮮との接触あるのか(12月20日)
アジア歴訪中の米国のビーガン北朝鮮担当特別代表が、19日当初予定には入っていなかった中国を突如訪問した。19日12時40分、北京に到着したビーガン代表は2日間北京に滞在するとしている。空港で記者団に「北朝鮮側の人物と接触するのか」と問われたビーガン代表は、「申し訳ないが、明らかにはできない」と答えた。「今回の訪中で中国あるいは北朝鮮の誰に会うのか」という質問に対しても、同様の答えを繰り返した。
韓国のメディアは、この前日に、中露が国連安保理に「北朝鮮への制裁の一部解除」の提案を行ったことから、ビーガン代表は中国と北朝鮮問題の解決の方策について協議するのではないかと見ている。...
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アジア歴訪中の米国のビーガン北朝鮮担当特別代表が、19日当初予定には入っていなかった中国を突如訪問した。19日12時40分、北京に到着したビーガン代表は2日間北京に滞在するとしている。空港で記者団に「北朝鮮側の人物と接触するのか」と問われたビーガン代表は、「申し訳ないが、明らかにはできない」と答えた。「今回の訪中で中国あるいは北朝鮮の誰に会うのか」という質問に対しても、同様の答えを繰り返した。
韓国のメディアは、この前日に、中露が国連安保理に「北朝鮮への制裁の一部解除」の提案を行ったことから、ビーガン代表は中国と北朝鮮問題の解決の方策について協議するのではないかと見ている。
米国国務省は17日、ビーガン訪中のニュースについて、「今回の訪中は、対朝制裁の必要性について中国との結束を維持していくため」としている。しかし韓国のメディアの中には、米国がビーガン代表を突如訪中させたのは、北京で秘密裏に北朝鮮側の要人と接触するためか、あるいは直接平壌に行くためではないかとの見方を示しているものもある。
中国外交部の羅照輝副部長は19日、「最近米朝には不穏な雰囲気があり、朝鮮半島情勢は緊迫し、新しい動きもでていて、国際社会の関心をひいている、ただし対話路線から離脱したわけではなく、依然として政治的に解決する枠組みのなかにあり、チャンスと挑戦が併存している状態である」と語った。さらに「まだ事態は抑制されており、米朝は向かい合い、対話を通じた好循環を築こうとしており、正しい方向に向かって発展しているものと考えている」と述べた。
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環球時報社説「対朝制裁緩和は米国にとって有利」(12月19日)
中国とロシアが北朝鮮に対する国連の経済制裁を一部解除する案を安保理に提出したことに対し、米国が条件反射的に「反対」を叫んでいるとして、18日の「環球時報」は「対朝制裁緩和は米国にとって有利」という社説を掲載している。
米国は制裁を「伝家の宝刀」のように持ち出しているが、国際政治の世界ではよく知れ渡っていることだが、制裁はいかなる目標にとっても有効ではない。「アメとムチ」でいえば、アメのほうが有効である。...
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中国とロシアが北朝鮮に対する国連の経済制裁を一部解除する案を安保理に提出したことに対し、米国が条件反射的に「反対」を叫んでいるとして、18日の「環球時報」は「対朝制裁緩和は米国にとって有利」という社説を掲載している。
米国は制裁を「伝家の宝刀」のように持ち出しているが、国際政治の世界ではよく知れ渡っていることだが、制裁はいかなる目標にとっても有効ではない。「アメとムチ」でいえば、アメのほうが有効である。
北朝鮮は米国が「口約束ばかりで、何も実行しない」ことに焦れており、年末までに米国が新提案をしない場合は、北朝鮮が「新しい道」に踏み出すと脅している。そうなった場合、試練は米国におよぶだけではなく、連鎖的な反応を呼び起こし、韓国にも試練は及ぶだろう。2017年の先鋭な対立に戻りかねない。
米国の政治的な雰囲気の中、ホワイトハウスが対朝制裁の緩和を提案するのは難しいだろうから、中露が提案を行ったものであり、米国は地縁政治的な角度から中露の善意を曲解しないでもらいたい。中露は朝鮮半島問題に対する米国の戦略的意図が耐え難いと思っているわけではなく、朝鮮半島の持久的な平和安定を心から願っているのである。
中露が安保理に対朝制裁緩和案を提案したのは、米国への対抗上であったとしても、一方で北朝鮮情勢に危機感を抱いているともいえる。北朝鮮の暴走が再開されたならば、中露といえども止められない。ただしこの時期に制裁緩和を提案したことは、北朝鮮は「脅し」をかければ中露が味方になってくれるという間違ったサインにもなってしまったかもしれない。一方で中露が味方になってくれることによって、金正恩委員長の安心感になれば、北朝鮮が極端な行動にでることの歯止めになってくれよう。さらに制裁緩和を中国が唱えていといいうことは、中国の制裁がなし崩し的に緩和される可能性さえある。
日韓を訪問していた米国のビーガン北朝鮮担当特別代表は、急遽中国を訪問した。中露が対朝制裁緩和案を提案したことを受けてのことだと思われる。なお韓国滞在中にビーガン代表は北朝鮮側と接触できなかった。
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制裁緩和案について中国外交部語る(12月18日)
17日の外交部の定例記者会見で外交部の耿爽報道官は、中露が国連の安全保障理事会に北朝鮮への経済制裁の一部を解除する草案を提案したことについて、記者からの確認となぜ草案を提案したのかとの質問に対し、以下のように回答した。
北京時間17日早朝、中国とロシアは国連安保理に朝鮮半島の問題を政治的に解決する草案を提出した。
当面の朝鮮半島情勢はセンシティブな時期に差し掛かっており、政治的な解決の必要性が一段と上がっている。...
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17日の外交部の定例記者会見で外交部の耿爽報道官は、中露が国連の安全保障理事会に北朝鮮への経済制裁の一部を解除する草案を提案したことについて、記者からの確認となぜ草案を提案したのかとの質問に対し、以下のように回答した。
北京時間17日早朝、中国とロシアは国連安保理に朝鮮半島の問題を政治的に解決する草案を提出した。
当面の朝鮮半島情勢はセンシティブな時期に差し掛かっており、政治的な解決の必要性が一段と上がっている。対話の趨勢を保つことは容易ではなく、朝鮮半島情勢が膠着状態に陥るのを防ぎ、重大な局面にならないようにしなければならない。
中国は、朝鮮半島の非核化と平和安定、対話を通して問題を解決すること、朝鮮半島の永久的な平和メカニズムを構築するという立場を堅持している。
この立場に基づいて、中国とロシアは共同で安保理に朝鮮半島の問題を解決する草案を提出した。決議草案は主に三つからなる。①朝鮮半島の非核化を実現するために力をつくす、②米朝の対話を継続させ、六者会談を復活させる、③朝鮮がこの決定を遵守するならば、朝鮮への制裁措置の一部を解除する、というものである。我々は安保理が朝鮮半島問題を政治的に解決し、米朝が互いを尊重し、誠意ある対話を続け、シンガポール共同声明を遂行し、段階的に同時行動原則に従って、対話を復活し、膠着局面を打破し、後退局面を防止することを望んでいる。
中国は安保理が一致して、歴史的責任を引き受け、中露の決議草案を支持し、共に朝鮮半島の政治的解決を推進していくことを望んでいる。中国は朝鮮半島の非核化と平和安定の維持に積極的な役割を果たす努力を続けていく。
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北朝鮮の「重大な実験」“噴射実験の可能性”(12月17日)
北朝鮮が今月2度にわたって重大な実験を行ったとする衛星発射施設について、米国の専門家は最新の衛星写真を分析した結果、エンジンの噴射実験などが行われた可能性があるとの見方を示した。
ソヘ(西海)衛星発射場の最新の衛星写真を見ると、今月12日、ミサイル用のエンジンの燃焼実験施設に続く通路を隠していた白い覆いが、おとといの写真では実験施設から引き離されているのが分かる。
写真を分析した北朝鮮の核問題を研究する米国の専門家・ミドルベリー国際大学院モントレー校・ジェフリールイスはNHKの取材に対し“覆いは実験を準備する北朝鮮の技術者を隠すためだ。...
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北朝鮮が今月2度にわたって重大な実験を行ったとする衛星発射施設について、米国の専門家は最新の衛星写真を分析した結果、エンジンの噴射実験などが行われた可能性があるとの見方を示した。
ソヘ(西海)衛星発射場の最新の衛星写真を見ると、今月12日、ミサイル用のエンジンの燃焼実験施設に続く通路を隠していた白い覆いが、おとといの写真では実験施設から引き離されているのが分かる。
写真を分析した北朝鮮の核問題を研究する米国の専門家・ミドルベリー国際大学院モントレー校・ジェフリールイスはNHKの取材に対し“覆いは実験を準備する北朝鮮の技術者を隠すためだ。
ロケットエンジンの噴射実験を行う際に施設から離されたのではないか”と分析した。
また、北朝鮮が実験は7分間だったと発表したことについてルイスは“通常の噴射実験より長いので大気圏への再突入などの実験だった可能性もある”と指摘し、北朝鮮が着々とICBM(大陸間弾道ミサイル)の開発を進めているおそれがあるとの見方を示した。
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