米大富豪の政治活動家グループ、トランプ対抗馬としてヘイリィ元国連大使への資金的支援を公式表明【米・英国メディア】(2023/11/30)
2024年米大統領選での復活を目指す共和党では、依然ドナルド・トランプ前大統領(77歳、2017~2021年在任)の支持率が抜きん出ている。しかし、幾つもの訴訟案件を抱えるトランプでは、全米の無党派層の支持は得られないと懸念した米大富豪の政治活動家グループが、大統領選で勝てる候補としてニッキー・ヘイリィ元国連大使(51歳、2017~2018年在任)を資金的支援していくことを公表した。
11月29日付米
『ABCニュース』、
『NBCニュース』、英国
『ザ・ガーディアン』紙、
『BBCニュース』等は一斉に、米大富豪率いる共和党政治活動家グループが、2024年大統領選候補としてニッキー・ヘイリィ元国連大使を資金的に支援していくことを正式表明したと報じている。
2024年米大統領選に対する共和党予備選では、依然ドナルド・トランプ前大統領が60%近い支持を得て他候補を圧倒している。...
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11月29日付米
『ABCニュース』、
『NBCニュース』、英国
『ザ・ガーディアン』紙、
『BBCニュース』等は一斉に、米大富豪率いる共和党政治活動家グループが、2024年大統領選候補としてニッキー・ヘイリィ元国連大使を資金的に支援していくことを正式表明したと報じている。
2024年米大統領選に対する共和党予備選では、依然ドナルド・トランプ前大統領が60%近い支持を得て他候補を圧倒している。
その中で2位候補は、今年10月のアイオワ州(全米で最初の予備選投票州)における世論調査によると、ニッキー・ヘイリィ元国連大使とロン・デサンティス現フロリダ州知事(45歳、2019年初当選)が16%台で並んでいた。
しかし、ニューハンプシャー州(同2番目の州)の直近2つの調査結果では、ヘイリィ氏が2位となってデサンティス氏に差をつけている。
ヘイリィ氏も11月27日、“全米20州以上で固い支持を取り付けられた”と表明していた。
かかる背景に加えて、トランプ候補は共和党内で支持率が高くても無党派層(約40%)から嫌気されていると懸念されていることから、共和党支持の大口献金グループのひとつが11月28日、ヘイリィ氏を同党予備選候補者とし資金的支援等を行う旨公式に表明した。
米実業家で政治活動家のチャールズ・コーク氏(88歳、2009年活動開始のティーパーティ運動を支援、『フォーブス』誌2023年世界富豪ランキング17位)率いる「アメリカンズ・フォー・プロスペリティ」(繁栄を求める米国人集団、AFP、2004年設立の非営利法人)で、2016年、2020年大統領選では支持候補者を選定していなかったが、2024年選挙でヘイリィ氏を選んだものである。
AFPのエミリー・シーデル代表幹事(2017年就任)は声明で、“ヘイリィ氏が現行の政治体制を変革してくれること”を期待したいと言及した。
更に同氏は、“ヘイリィ氏は、米国が抱える最大の課題に取り組み、良い成果をもたらしてくれると信じる”とした上で、“AFPの草の根運動とデータ収集・解析力を以て彼女を最大限に支援していく”とも強調した。
また、AFP上級顧問のマイケル・パーマー氏は、“ヘイリィ氏の政策はAFPの自由市場イデオロギーと概ね一致しており、同氏によって米国民の生活環境改善に寄与してくれる人物だと信じる”と付言している。
これに対してヘイリィ氏は声明で、“全米の何百万人もの草の根運動活動家を抱えるAFPからの支援を光栄に思う”とし、“AFPは今回の選挙における問題を良く理解して、一緒に戦ってくれようとしている”と表明した。
AFPの具体的支援金額についてはまだ明らかにされていないが、今年6月の財務報告では、コーク氏個人及び彼のNPO法人から供出された各2,500万ドル(約37億5千万円)を含めた計7千万ドル(約105億円)が選挙運動資金に充当されると報じられている。
AFPは今年2月、トランプではジョー・バイデン大統領(81歳、2021年)の再選を阻止できないとして反トランプを訴えていたが、共和党支持層ではトランプの支持率が依然高止まりとなっていることを大いに懸念し、今回の対抗馬支援表明に至ったものとみられる。
なお、シーデル代表幹事は、“我々の持つデータによると、有権者の70%が高齢のバイデン候補(81歳)もトランプ候補(77歳)も支持しておらず、若い世代の登場を望んでいる”とコメントしている。
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米Meta、政治広告のディープフェイク対策強化(2023/11/10)
2024年の世界での選挙に向けて、フェイスブックやインスタグラムなどでの生成AIで作った政治広告について、AIを使ったことを開示するよう広告主に義務付けるという。
11月9日付
『AP通信』:「メタ、選挙対策としてAI生成画像を使用した政治広告を提示」
メタの8日の発表によると、フェイスブックとインスタブラムで人口知能(AI)を使って生成された政治広告は開示が必要となる。
広告を開くと、ユーザーの画面上にAIを利用したものの場合表示が出る仕組みとされ、新たなルールは来年にも開始されるという。
欧州ではAIの規制が議論されているが、米国では2024年の総選挙を控えており、法的規制には時間がない。...
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11月9日付
『AP通信』:「メタ、選挙対策としてAI生成画像を使用した政治広告を提示」
メタの8日の発表によると、フェイスブックとインスタブラムで人口知能(AI)を使って生成された政治広告は開示が必要となる。
広告を開くと、ユーザーの画面上にAIを利用したものの場合表示が出る仕組みとされ、新たなルールは来年にも開始されるという。
欧州ではAIの規制が議論されているが、米国では2024年の総選挙を控えており、法的規制には時間がない。
今年に入り米連邦選挙委員会は、2024年の選挙にむけた、政治広告でのAI生成ディープフェイク規制へのプロセスを開始。先週、バイデン政権は、AIの開発と利用に関する大統領令を発令、AI開発者へ安全性データなどの情報を政府に提供するよう求めるものとなる。
来年注目の選挙は、米国だけでなく、メキシコ、南アフリカ、ウクライナ、台湾、インド、パキスタンでも総選挙が予定されている。
マイクロソフトは7日、選挙年イニシアチブとして、広告に電子透かしを挿入するツールを発表。広告の作成者を明確にし、デジタル加工した場合に必ず証拠を残させるもの。ユーチューブなどのAI変換された声や画像は開示が必要となる。
同社は、ロシア、イラン、中国などの国はAIを利用し、米国などの選挙に介入しようとする恐れがあるとし、警戒を呼びかけている。
同日付英『BBC』:「ディープフェイクを利用した政治広告にマーク義務付け」:
メタは、フェイスブックやインスタグラムの広告の中で、AIやデジタル処理をした政治広告にマークをつけるよう求めている。ディープフェイク使用に関する規定は既に存在するが、今回更に強化を進める。
来年1月から、政治、選挙、社会問題に関連した広告においては、デジタル加工された画像や動画はその旨を開示しなければならない。人およびAIのファクトチェッカーの両方で監視していく。
動画の中の人物の発言を変えること、画像の変換、実際のイベントの内容変更、実在しない人物の描画を含み、どのような表示になるかの詳細は発表されていない。広告の趣旨上重要でないとされる画像の切り取りや色修正などの小さな変更の場合は申告の必要はない。
同社は既に、ディープフェイクの使用に関する規定を設けており、通常見た人が誤解するような場合には削除することが求められている。新たな指針では、政治、選挙、社会問題に関連した広告は、人やAIによりデジタル変換されているかを開示する必要がある。スレッズでもインスタグラム同様のポリシーを採用している。開示を怠った場合や継続して違反した場合は、ペナルティが科されるとしている。
グーグルもプラットフォーム上での同様のポリシーを発表している。ティックトックでは政治広告は許可されていない。
2024年は世界有数の民主主義国インド、米国、英国での総選挙が控えている。ロシア、南アフリカ、欧州連合(EU)でも選挙が予定されており、政治分野でAIを使って人の発言や行動を変換する「ディープフェイク」技術の悪用への懸念が広がっている。
3月、ドナルド・トランプ前大統領のニセ画像がソーシャルメディア上で拡散したが、これはAIツールを使って生成された画像だった。同月、ウクライナのゼレンスキー大統領がロシアへの降伏を呼びかける動画が拡散した。一方では、7月にディープフェイク動画かと思われたバイデン大統領の動画が、本物であることが判明したケースもあった。
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