日本政府は4月1日、新型コロナウィルス(COVID-19)感染問題が再燃している大阪府等に対して、4月5日から1ヵ月間、蔓延防止等重点措置を講じる旨決定した。これを受けて、大阪府の吉村洋文知事(45歳)は、4月14日に予定されている大阪市内での聖火リレーの中止を訴えた。実際には、東京大会組織委員会が大阪市聖火リレー実行委員会と協議して最終決定されることになろうが、欧米メディアは、菅義偉首相(72歳)が既に中止決定を承知している旨フライング報道している。
4月2日付
『ロイター通信』:「聖火リレーは中止すべき」
東京大会は昨年、COVID-19感染問題深刻化に遭って、今夏まで1年間延期されている。
しかし、依然日本側はCOVID-19対応に苦慮していて、同大会開催準備に手間取っている。
そうした中、菅義偉首相は、大阪府内でのCOVID-19感染第4波の懸念から、蔓延防止等重点措置を講じることを決定しているが、その一環で、4月中旬に予定されている大阪市内での聖火リレーが中止になったと承知していると述べた。
3月25日に福島県をスタートした聖火リレーは、全国47都道府県を121日かけて回ることになっていて、大阪府は4月13~14日が予定されている。
菅首相発言に先立って、大阪府の吉村洋文知事は、“COVID-19感染拡大の最中にあって、個人的には大阪市内での聖火リレーは中止すべきだと思っている”とした上で、“大会組織委員会と大阪市と協議したい”と発言している。
更に同知事は、(緊急事態宣言は解除されたものの)大阪府に対して、別の形での感染防止施策を講じるよう政府側に要請した。
かかる事情もあって日本政府は4月1日、直近で感染が再び急拡大している大阪府、兵庫県、宮城県に対して、4月5日から5月5日までの間、蔓延防止等重点措置を講じることを決定している。
この措置下では、飲食店の営業時間短縮指示が出され、応じない店舗に対して罰金が科せられることになる。
加藤勝信内閣官房長官(65歳)は、“大阪府における感染拡大は、主に20代、30代の若者に広がっていて、彼らの夜の外出が自粛されていないからだ”と苦言を呈している。
一方、松井一郎大阪市長(57歳)も、“残念ではあるが、大阪市内の聖火リレーは中止止む無しと考えている”とコメントしている。
なお、橋本聖子東京大会組織委員会会長(56歳)は、聖火リレーがスタートした際、“これによって、(COVID-19感染流行問題で)暗い世情が明るく照らされるよう望みたい”と語っていた。
4月3日付中国『新華社通信』:「東京大会組織委員会、大阪市内の聖火リレー中止かどうかは依然未定と発言」
橋本東京大会組織委員会会長は4月2日の記者会見で、大阪市内の聖火リレーを中止するかどうかは、“依然検討中”であって決定事項ではないと明言した。
ただ、同会長は、“現在、大阪府及び大阪市関係者と協議をしている最中である”としながらも、リレー予定日が2週間後に迫ることもあって、“可及的速やかに結論を出したい”と付言している。
更に同会長は、“3月25日に聖火リレーがスタートして1週間が経過したが、これまでのところ(同行事に伴う感染拡大等)一切問題は発生していない”と満足するコメントを出している。
なお、『共同通信』報道によると、大阪府の直近のCOVID-19感染者は急増していて、4月1日の感染者は616人と、直近2ヵ月で最多であるばかりか、東京都の感染者数をも超えているという。
かかる状況から、大阪府の吉村知事も、大阪市の松井市長も、市内の聖火リレー中止は止むを得ないと表明している。
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2週間前の前回報告時より、世界の感染者及び死者とも従来より少々鈍化の1億1,742万4,768人(+535万2,636人)、260万8,231人(+12万4,818人)、ただ、致死率は2.2%と横ばいとなっている。これまで、COVID-19用ワクチンは世界で3億2千万人近く接種されていること、また、変異株ウィルスにも効果が認められていることから、伸びの鈍化につながっているとみられる(米ジョンズ・ホプキンズ大の3月10日午後3時現在の集計データ引用)。
3月10日付
『ブルームバーグ』オンラインニュース他:「COVID-19感染問題に関わる直近の状況」
<ハイライト>
●ワクチン:(1)世界で既に3億1,900万人余りが接種。
(2)独バイオNテック・米ファイザーが共同開発したワクチンは、ブラジル・英国・南アフリカで発見された変異株ウィルスにも有効との結果。また、両社は来年には30億回分生産・供給可能。
(3)欧州連合(EU)、域内外移動の旅行者用に「COVID-19ワクチン・パスポート」発行。中国も「デジタル・ワクチン証明書」発行を発表。
●米国:(1)米航空会社、感染者数鈍化に伴い、バイデン政権に「ワクチン証明書」発行を強く要求。
(2)ニューヨーク州、ワクチン確保増によって接種対象を60歳まで引き下げ。
(3)ロスアンゼルス、オンライン・対面授業の併用、マスク着用等の条件の下、今後数週間内での学校再開を決定。
●ブラジル:感染者数・死者数とも依然増加。変異株ウィルスが更に拍車。ワクチン確保も遅れていて、深刻な状況。
●英国:220億ポンド(306億ドル、約3兆3,350億円)も注ぎ込んだCOVID-19検疫・結果追跡プログラムが、感染率削減に全く貢献していなかったことが判明。
●ドイツ:産業界、アンゲラ・メルケル首相(66歳)の希望に沿って全従業員向けのワクチン接種積極推進方針受け入れ表明。
●メキシコ:死者数が19万1千人超と世界3位に。
●日本:今夏の東京オリンピックの海外からの観戦者受け入れを断念。
●中国:新規感染者6人は全て海外からの帰国・入国者。国内の感染者は2月6日以降皆無。
●香港:キャセイパシフィック航空、216億5千万香港ドル(28億ドル、約3,050億円)の純損失計上。
●ニュージーランド:全人口の40%に当たる、感染した場合にリスクが高い200万人向けのワクチンを今後3~4ヵ月で手当ての目処。
<ワクチン>
・3月9日現在、世界で既に3億1,900万人超がワクチン接種済み。
・独バイオNテック(2008年設立)及び米ファイザー(1849年設立)が共同開発したワクチンは、ブラジル・英国・南アフリカで発見された変異株ウィルスにも有効との結果。
・バイオNテックの創業者兼CEOのウーグル・サヒン氏(55歳)は『ブルームバーグ』のインタビューに答えて、“更に生産規模拡大の目処をつけられた”とし、“来年には30億回分生産・供給が可能となる”とコメント。
・なお、両社のワクチンは、今年中に20億回分の供給を確約済み。
・EUが、域内外移動の旅行者用に「COVID-19ワクチン・パスポート」発行。対象は、EU承認分に限らず、中国・ロシア製ワクチンも含む。
・中国も「デジタル・ワクチン証明書」発行を発表。国内で最も利用されているメッセージ・アプリWeChat(微信、2010年テンセントによって開発)上で表示。
<米国>(感染者2,940万2,796人、死者53万3,119人、致死率1.8%)
・米航空会社が旅行会社及びその従業員とともに、バイデン政権に対して、感染者増加率鈍化に伴い、「ワクチン証明書」発行を強く要求。旅行業界復活のため、米国が“リーダーにならなければならない”と強調。
・ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事(63歳)が3月9日、ワクチン確保増に伴い、3月10日以降接種対象を60歳まで引き下げると発表。また、3月17日以降は、公務員・非営利団体の緊急作業員・公共建物の建築労働者も対象。
・ロスアンゼルス統一学区(1961年設立)と同教員協会(1970年設立)は、全生徒・教職員のCOVID-19事前検疫、オンライン・対面授業の併用、マスク着用、生徒・教員・訪問者間のソーシャルディスタンシング保持等の条件の下、今後数週間内に学校を再開することで暫定合意。
<ブラジル>(感染者1,112万5,017人、死者26万8,568人、致死率2.4%)
・保健省が3月9日、感染者数は世界3位、死者数は世界2位と依然最悪の状況と発表。
・年度末及びカーニバル・シーズンに加えて、変異株ウィルスが更に拍車。全国の病院がひっ迫状態。ワクチン確保も遅れていて、深刻な状況。
<英国>(感染者422万8,998人、死者12万4,797人、致死率3.0%)
・同国が採用したCOVID-19検疫・結果追跡プログラムが、感染率削減に全く貢献していなかったことが判明。
・庶民院(下院に相当)公費監視委員会報告書によると、同プログラムには“想像を絶する”220億ポンドもの大金を投下済み。
・同委員会は、英国における2度目、あるいは3度目の都市封鎖措置が必要となくなるようにするためのプログラムだとした当初の“肝心な約束”が全く果たされていないと酷評。
・同委員会のメグ・ヒリアー委員長(52歳)は、“国民は行政府の現金引き出し機ではない”として、感染症拡大阻止に全く効果のない巨額投資の無駄について非難。
<ドイツ>(感染者252万609人、死者7万2,981人、致死率2.9%)
・ドイツを代表する4産業団体が、メルケル首相との不和を解決して、今後所属する全従業員向けのワクチン接種を積極的に推進していくとの方針を発表。
・同団体声明で、“全市民にワクチンが行き渡るまで、連邦及び地方政府のワクチン接種推進業務に協力していく”と表明。同団体に所属する従業員は、ドイツ全体の90%超。
・同首相は先週、産業団体側が当初提示していたワクチン接種計画が不十分としてテレビ会議を見送り。
<メキシコ>(感染者213万7,884人、死者19万1,789人、致死率9.0%)
・死者数増で世界3位に(1位米国、2位ブラジル)。
・保健省によると、総合病院の26%、また人工呼吸器を備えた病床の30%がひっ迫した状況。
・なお、ワクチンは310万回分を確保済みで、これまでにワクチンを2回接種した人は60万5千人余り。
<日本>(感染者44万671人、死者8,299人、致死率1.9%)
・『共同通信』報道によると、日本政府が3月9日、今夏開催予定の東京オリンピックに海外からの一般観戦者は受け入れないことを決定。世界で依然COVID-19感染問題が収束していないことと、新たに変異株ウィルスが蔓延し始めていることがその理由。
<中国>(感染者9万2人、死者4,636人、致死率5.2%)
・3月9日に新規感染者が5人出たが、全て海外からの帰国者・入国者で、国内の感染者は2月6日以降発生皆無。
・国境及び省境の制限、広範囲の感染症検疫、徹底的な都市封鎖措置等が奏功しているもので、多くの市民が帰郷等で大移動が起きた2月中旬の春節時にも感染率は減少。
・3月5日に開催された全国人民代表大会(中国の最高権力機関・立法機関)において、出席した代表は、習近平国家主席(シー・チンピン、67歳)及び李克強首相(リー・クーチアン、65歳)を除いて、全員マスク着用。
<香港>(感染者1万1,121人、死者202人、致死率1.8%)
・キャセイパシフィック航空(1946年設立)が、COVID-19問題に伴う渡航禁止措置によって、通年で216億5千万香港ドル(28億ドル、約3,050億円)の純損失を計上。
・70有余年の歴史の中で、“最悪の1年”だったと報告。
<ニュージーランド>(感染者2,410人、死者26人、致死率1.1%)
・同国はCOVID-19感染防止策が最もうまく運んでいて、『ブルームバーグ』による景気回復度評価でも最高値。
・更にこの程、全人口の40%に当たる、感染した場合にリスクが高い200万人向けのワクチンを今後3~4ヵ月間で手当てできる目処がついたと発表。
・対象者には、65歳以上や基礎疾患がある人が含まれ、今月末から接種開始予定。
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