“桜を見る会”スキャンダルで、安倍政権の有権者の支持率が漸減している。そしてこの程、アベノミクスの恩恵に浴してきた企業側も、さすがにこれ以上の超長期政権は望んでいないという調査結果が出た。
12月6日付
『ロイター通信』:「スキャンダル沸騰で、大多数の日本企業も安倍政権の終焉を望む」
『ロイター通信』の求めで行われた日経リサーチの世論調査の結果、日本企業の59%が、安倍晋三首相(65歳)の2021年9月を以ての退陣を望んでいることが判った。
11月20日から12月2日の間、502社の大手・中規模の非金融企業に対して行われたアンケートで、回答の得られた約240社分の結果をまとめたものである。
また、可及的速やかなる退陣を求めた企業が25%で、ある輸送機器会社の担当マネージャーは、国内経済は停滞気味で、米同盟国の韓国との摩擦が危機的になっていることを理由に上げた。
しかし、現下の任期の2021年9月以降も継続することを望む企業は16%あった。
ある繊維会社マネージャーは、長期政権では権力の一極集中や汚職のリスクが高まるものの、経験も能力もある政治家が他にいないから、とコメントしている。
一方、有権者に対して行われた『毎日新聞』の世論調査が12月2日に報道されたが、それによると安倍政権支持率は42%と、10月調査時より▼6%も下落している。
その他のメディアの世論調査結果でも、軒並み支持率が下がっているが、しかし、対抗する野党勢力が脆弱だという評価に変化はない。
従って、支持率が低下したからと言って、安倍首相が衆議院解散・総選挙に打って出る可能性がなくなったということにはなっていない。
なお、安倍首相の対抗馬として自民党内では、かねて批判派の筆頭である石破茂衆議院議員(62歳)の支持率が上昇しており、もし自民党総裁選が行われた場合、安倍氏の16%に対して石破氏が17%とリードする事態となっている。
一方、期待の星である小泉進次郎環境相(38歳)は人気を下げて、現在では支持率が11%に止まっている。
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10月22日に予定された、天皇即位の礼の一連の国家行事は予定通り行われる。しかし、台風19号による大災害に鑑み、祝賀パレードは11月10日に延期されることになった。海外メディアも一斉に報道している。
10月17日付米
『ロイター通信』:「数百人の海外要人が天皇即位の礼に列席」
10月22日に行われる、徳仁天皇(59歳)の即位の礼には200ヵ国近い要人も含め2,500人余りが列席する予定である。
日本の天皇の即位礼は数百年も続く儀式で、徳仁天皇の父君である明仁上皇も、1990年に即位礼を行っており、その際、平和国家の建設並びに象徴天皇としての責務を担っていくと発言されている。
今回の即位礼を含めた新天皇即位に関わる一連の国家行事には、約161億円(1億4,800万ドル)が投じられる。
当日午後の即位礼正殿の儀(天皇が即位を国の内外に宣明する儀式)に参列した、海外要人及び国内の賓客約900人を招いて、安倍晋三首相主催の晩餐会が、当日夜にホテルニューオータニで開催される。
安倍首相は、今回の行事には、英国のチャールズ皇太子、米国のエレーン・チャオ運輸長官、中国の王岐山(ワン・チーシャン)国家副主席、サウジアラビアのモハンマド・ビン=サルマン皇太子初め、190ヵ国以上の要人が出席予定であると表明した。
そしてこの機会を捉えて、同首相は50ヵ国以上の首脳と会談する予定であるという。
一方、『朝日新聞』の10月16日付報道によれば、政府は即位の礼に鑑み、55万人を対象に恩赦(編注後記)を与えるとする。
但し、『毎日新聞』によれば、対象となるのは軽犯罪者に限られるとし、また、国家資格取得の制限(通常、5年間は医師、看護師等の免許取得禁止)はそのまま適用されるという。
なお、東日本を中心に77人の犠牲者を出した台風19号の大災害に鑑み、当日予定されていた祝賀パレードは延期されることになった。
安倍首相は、具体的日程について触れていないが、『NHK』報道によれば、代替日は11月10日だという。
同日付中国『チャイナ・デイリィ』:「日本の天皇即位の祝賀パレードが11月に延期」
当初、10月22日の即位礼正殿の儀の後、皇居から迎賓館赤坂離宮までの約5キロメーターを30分掛けて祝賀パレードを行う予定であった。
しかし、先週末に日本を襲った台風19号による甚大な被害を考慮して、日本政府は当該パレードを11月に延期することを決めた。
但し、190以上の国及び国際機関の代表が参列する即位正殿の儀、並びに当日夜に開かれる晩餐会は予定通り行われる。
なお、安倍首相は10月17日、2011年3月11日の東日本大震災で大きな被害に遭い、また、今回の台風でも災害に見舞われた福島県と宮城県を視察した。
また、同首相は、特定非常災害への支援金として、7億1千万円を拠出する意向だと表明した。
麻生太郎財務相によると、特定非常災害基金として5,000億円を予算化しているという。
同日付シンガポール『ストレーツ・タイムズ』紙:「安倍首相が台風の被災地訪問、一方、天皇即位の祝賀パレードは延期」
安倍首相は10月17日、台風19号の被害を受け、国内最多の28人の犠牲者を出した福島県を訪問し、被災者らを激励した。
一方、菅義偉官房長官は、10月22日に予定された天皇即位の礼の一連の国家行事のうち、祝賀パレードについては、甚大な台風被害を考慮して、延期することを決定したと表明した。
なお、予定通り開催される即位正殿の儀には、内外から総勢2,500人の賓客が参列する。
*編注:昭和天皇の大喪の儀にあわせて約1,000万人、また、平成天皇の即位の礼の際は約250万人が恩赦されている。
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