6月21日付
『ロイター通信』:「日本の安倍首相、前法相逮捕の事態にも拘わらず支持率回復」
安倍晋三内閣の支持率が、直近の世論調査の結果、前回調査より9%上昇して36%となった。
『毎日新聞』が6月21日に公表したものだが、直前の6月18日、安倍首相が任命した河合克行前法相、及びその妻の河合案里参議院議員が選挙違反容疑で逮捕されたばかりであった。
同紙が5月下旬に行った調査では、直前に同政権寄りとみられた黒川弘務検事長が辞職する事態もあって、同内閣支持率は27%と、政権発足以来最低値となっていた。...
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6月21日付
『ロイター通信』:「日本の安倍首相、前法相逮捕の事態にも拘わらず支持率回復」
安倍晋三内閣の支持率が、直近の世論調査の結果、前回調査より9%上昇して36%となった。
『毎日新聞』が6月21日に公表したものだが、直前の6月18日、安倍首相が任命した河合克行前法相、及びその妻の河合案里参議院議員が選挙違反容疑で逮捕されたばかりであった。
同紙が5月下旬に行った調査では、直前に同政権寄りとみられた黒川弘務検事長が辞職する事態もあって、同内閣支持率は27%と、政権発足以来最低値となっていた。
同紙は、何故支持率が回復したのか報じていないが、アンケート回答者の55%が、国内旅行を含む移動自粛を解除するとした6月18日決定を評価したという。
また、回答者の59%が、河合夫妻の事件について安倍首相に大きな責任があると考えているという。
一方、来年に延期された東京オリンピックであるが、回答者の59%が、来年でも開催は無理だと思っていて、開催可能と信じているのは僅か21%であった。
なお、新型コロナウィルス感染問題について、日本は欧米諸国に比して爆発的流行となっておらず、『NHK』報道によれば、感染者が約1万8千人、死者は954人に抑えられている。
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安倍晋三首相(65歳)は5月25日、1ヵ月半に及ぶ緊急事態宣言解除を発表した会見において、“日本モデル”を内外に示すことができた、と意気揚々である。しかし、お粗末なアベノマスク配布政策、特別定額支給策の遅延、政権擁護のためとみられた検事長に関わる無理押しの顛末等々、大手紙の世論調査結果が最低支持率を示したように、もはや日本国民は同首相を見限った、と米メディアが酷評している。
5月25日付
『ロイター通信』:「安倍首相、緊急事態措置解除宣言するも、“オウンゴール”で支持率最低」
安倍晋三首相は5月25日、新型コロナウィルス(COVID-19)感染状況改善に伴い、延長していた緊急事態措置期間を1週間近く早く終了させると発表した。
しかし、同首相のCOVID-19関連での度重なる失政で、支持率は急落し、2021年9月までとなっている任期より早めの退陣の可能性が出てきている。...
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5月25日付
『ロイター通信』:「安倍首相、緊急事態措置解除宣言するも、“オウンゴール”で支持率最低」
安倍晋三首相は5月25日、新型コロナウィルス(COVID-19)感染状況改善に伴い、延長していた緊急事態措置期間を1週間近く早く終了させると発表した。
しかし、同首相のCOVID-19関連での度重なる失政で、支持率は急落し、2021年9月までとなっている任期より早めの退陣の可能性が出てきている。
そもそも、評論家らから、COVID-19対策がお粗末で、反応も鈍いと批評されていたことから、同首相の支持率は下降傾向にあった。
そして、同政権が、政権寄りとされる黒川弘務検事長を検事総長に据えるべく、定年延長を閣議決定したり、更に、後付けするかのように検察庁法改定を目論んだりしたことから、検察の独立性を棄損する恐れがあるとして、評論家のみならず一般市民からも非難の声が上がった。
そうした中、当該黒川検事長が、緊急事態宣言下、市民に外出自粛が求められていた最中、知人宅で賭けマージャンを複数回行っていたことが発覚し、当人は5月21日、責任を取って辞職するに至ったことから、益々安倍政権に対する不満、不信が倍加した。
『朝日新聞』が週末に行った世論調査では、安倍首相の支持率は29%と、同紙の調査で初めて30%を切り、呼応するかのように、『毎日新聞』が5月23日に実施した調査では、27%まで下落している。
更に、『朝日新聞』の調査結果では、回答者のほぼ70%が、黒川氏起用について安倍首相の責任が“最も重い”とし、また、57%が、COVID-19対策について評価していないとしている。
コロンビア大学(1754年設立、ニューヨーク在私立大学)のゲリー・カーティス名誉教授(80歳、日米関係政治問題専門)は、“COVID-19感染状況改善が続き、黒川スキャンダルが色あせてくれば、安倍首相は支持率低下を食い止められるかも知れない”としながらも、“但し、せいぜいレームダック(注後記)の首相として残れるかどうかだ”とコメントしている。
安倍首相は会見において、当初の期限より早く緊急事態宣言を解除できたとして、“日本モデル”の成功だと自画自賛した。
しかし、COVID-19感染問題に伴う景気後退は戦後最悪のレベルまで悪化しており、この立て直しは容易ではない。
かつて、安倍首相の任期中に支持率低下に見舞われた際も、何とか取り繕って回復させたが、今回の景気復興は同首相にとって大変な試練となる。
なお、安倍首相の後任候補として、岸田文雄元外相(62歳)と石破茂元防衛相(63歳)の名前が挙がっている。
ただ、前者は人気が少なく、後者も、一般市民からの支持率は高いが、安倍首相批判が顕著なことから自由民主党内では、支持基盤が弱い。
日本大学法学部の岩井奉信教授(69歳)は、“強烈な後任候補がいれば、安倍首相は退陣せざるを得ないだろう”としながらも、“残念ながら、そういった候補はおらず、同首相が残りの任期を全うすることになるというのが最悪のシナリオ”だとコメントしている。
同日付『AP通信』:「日本、緊急事態宣言解除」
政府諮問の専門家会議は、最後まで残った東京、神奈川、千葉、埼玉、北海道の緊急事態措置を解除するとの政府諮問に賛同した。
日本のCOVID-19感染者は約1万6,600人で、死者も850人と、欧米諸国に比してかなり低く、感染流行は抑えられている結果となっている。
しかし、日本メディアが直近で行った世論調査によると、安倍政権に対する支持率は30%未満と、2012年12月の政権発足以来最低値となっており、有権者は必ずしも安倍首相のCOVID-19対策を支持していないことが明らかである。
(注)レームダック:「役立たず」「死に体」の政治家を指す政治用語。選挙後、まだ任期の残っている落選議員や大統領を揶揄的に指すのに用いられる。原義は「足の不自由なアヒル」。1700年代のロンドン証券取引所で、支払不能で債務不履行に陥った株式仲買人や証券会社を指す言葉として用いられたが、1860年代に米国の政治用語として流用されるに至った。
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