日本は、目下新型コロナウィルス(COVID-19)感染拡大の第4波に襲われていて、松山市(愛媛県)では、大阪に続いて、東京オリンピック開催に向けた一大イベントである聖火リレーを中止した。更に、東京・大阪等の大都市圏で3度目の緊急事態宣言が発出される見込みとなっている。しかし、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(67歳、ドイツ人弁護士、元フェンシング代表選手)は、同措置は“ゴールデンウィーク”期間中の感染拡大防止政策であり、東京大会開催に何ら影響を及ぼすものではないとして、依然東京大会関係者の大会開催決意を強く支持している。
4月22日付
『ロイター通信』:「IOC会長、東京都の緊急事態宣言発出は東京大会開催に影響ないと表明」
IOCのトーマス・バッハ会長は4月21日、東京都に発出されるとみられる緊急事態宣言は東京大会開催に関係するものではなく、あくまで“ゴールデンウィーク”期間中の感染拡大防止に備えるものだ、と表明した。
日本メディア報道によると、政府は東京都及び大阪府に緊急事態宣言適用を発出する意向だという。
『毎日新聞』は、東京都の小池百合子知事(68歳)が、4月29日から5月9日までのゴールデンウィークを含む期間中の緊急事態宣言発出を政府に要請する意向だと報じている。
しかし、同会長は当日開催されたIOC理事会後の記者会見で、“日本政府が、ゴールデンウィーク期間中の感染拡大を防止するための積極的対応策だと理解している”とした上で、“同措置は東京大会開催に関わるものではない”と断言している。
日本では、西欧諸国で再び感染が深刻化している中、依然感染者約54万人、死者1万人未満と多いと言われる程ではないが、直近で再び感染拡大に転じていることから、菅義偉首相(72歳)は、東京・大阪等の大都市圏に緊急事態宣言再発出を行うか今週にも結論を出したいと発言している。
なお、IOCはこれまで、東京大会の中止や再延期は検討対象となっていないとしている。
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12月11日付
『ABCニュース』(
『AP通信』配信):「東京大会のスポンサーが33億ドル拠出するも、開催総費用に遠く及ばず」
日本の東京大会スポンサーは、これまでに33億ドルを拠出しているが、これは過去の大会のスポンサー分担額の2倍余りとなっている。
しかし、それでも東京大会開催総費用を考えると依然不十分である。
何故なら、1年延期に伴う追加コストが28億ドル(約2,940億円)と見積もられることから、スポンサーには各々更に数百万ドル(数億円)供出するよう要請されているからである。...
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12月11日付
『ABCニュース』(
『AP通信』配信):「東京大会のスポンサーが33億ドル拠出するも、開催総費用に遠く及ばず」
日本の東京大会スポンサーは、これまでに33億ドルを拠出しているが、これは過去の大会のスポンサー分担額の2倍余りとなっている。
しかし、それでも東京大会開催総費用を考えると依然不十分である。
何故なら、1年延期に伴う追加コストが28億ドル(約2,940億円)と見積もられることから、スポンサーには各々更に数百万ドル(数億円)供出するよう要請されているからである。
ただ、COVID-19感染流行問題に伴う景気後退に遭っている日本企業にとって、大会観戦者数の減少や、COVID-19が長引く場合に伴う旅行客及び観光収入の落ち込みを考えると、とても同大会への追加拠出は困難と言わざるを得ない。
大会組織委員会の武藤敏郎事務総長(77歳)は先週、“日本のスポンサーに追加支援を要請したところ、前向きな検討をしてもらった”としながらも、“具体的な金額は明かしてもらえなかった”と述べている。
菅義偉首相(71歳)が積極的に推進し、広告代理店最大手の電通(1901年設立、世界第5位の規模)が公式マーケティング・エージェンシーとして旗振りをしていることもあって、70社近い日本のスポンサーはどこも“公式にはノー”と言っていない。
スポンサーに留まってもらうためとは言え、日本においてはごり押しは必要とされまい。何故なら、本邦では協調と総意が美徳とされ、それは企業理念として根付いているからである。
逆のことわざで言えば、出る杭は打たれる、ということになる。
よって、どのスポンサーにとっても、国家的プロジェクトと見做される東京大会をやり遂げることが、面子にかかわる問題と考えられる。
ただ、全てが表面に現れるとは限らず、スポンサーの中には、現金ではなく“物品で”追加拠出をするところもあると考えられ、そうなると、結果的に不足した金額は税金で賄われることになる。
日本のスポンサーには、今年度上半期に18億ドル(約1,890億円)赤字計上となった全日空(1952年設立)や、同じく7億5千万ドル(約788億円)損失の旅行大手JTB(1963年設立)がいる。
その他、COVID-19で少なからぬ影響を受けたであろう、金融大手野村ホールディングス(1925年設立)、成田国際空港(2004年設立)、日本空港ビルディング(羽田空港運営会社、1953年設立)、食品メーカー大手キッコーマン(1917年設立)、味の素(1925年設立)、東武トップツアーズ(東京スカイツリー運営会社、1956年設立)、日本メディア大手の毎日新聞(1872年創刊)、日本経済新聞(1876年創刊)、読売新聞(1874年創刊)、朝日新聞(1879年創刊)などがいる。
『AP通信』は十数社にインタビューを申し込んだが、ほとんどがコメントを拒んだ。
東京ガス(1885年設立)の広報室によると、大会組織委員会からメディアへのコメントは控えるように言われているという。
ただ、僅かながらコメントが聞けたスポンサーの一社にインスタント麺メーカーの日清食品(1948年設立)がいる。
同社は、COVID-19に伴う外出自粛事態からインスタント麺の売り上げを大きく伸ばし、前期比+63%収益増としているが、広報担当の松尾友直氏によれば、“安全に東京大会が開催されることを期待して準備を続けている”としながらも、まだ具体的な決定は何もなされていないという。
なお、英国オックスフォード大(1096年設立)の試算によれば、東京大会は過去のどの夏季大会に比べても、最も費用がかかるオリンピックとなるとしている。
東京大会の公式発表では、総費用は126億ドル(約1兆3,200億円)と予算計上しているが、昨年末の会計検査院(1880年設立)の評価では、2倍に膨れ上がっているという。
但し、これは1年延期が決定される以前の話なので、実際には更に膨張することになる。
総費用のうち、大会組織委員会が負うのは56億ドル(約5,880億円)とされているが、その約60%が日本のスポンサーの拠出金で賄われることになる。
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