英国際貿易相、合意のないEU離脱のリスクが高まったと指摘(2018/08/07)
『BBC』『CNN』『ガーディアン』などの英文メディアは、英国の欧州連合(EU)離脱交渉について、リアム・フォックス国際貿易相が合意なしで離脱する可能性が高まっていると発言したことを伝えている。
フォックス氏は今月5日に、地元紙サンデー・タイムズのインタビューに対し、2019年3月までに合意が成立しないまま離脱する可能性について、これまでの50%との見通しから60%へと悲観的な予測を強めた。同氏はその理由についてEU行政執行機関である欧州委員会に原因であり、「欧州委員会の非妥協的な態度が交渉の進展のためになっていない」と説明した。同氏は首席交渉官のミシェル・バルニエ氏が「前例がない」という理由で英国の提案を拒否したことを指摘した上で「我々は合意によって実現できる基礎を示したが、選挙で選ばれていない人の神学的な強迫観念が欧州市民の経済的幸福より優先する決定をEUが行えば、それは官僚のためのブレグジットである。...
全部読む
フォックス氏は今月5日に、地元紙サンデー・タイムズのインタビューに対し、2019年3月までに合意が成立しないまま離脱する可能性について、これまでの50%との見通しから60%へと悲観的な予測を強めた。同氏はその理由についてEU行政執行機関である欧州委員会に原因であり、「欧州委員会の非妥協的な態度が交渉の進展のためになっていない」と説明した。同氏は首席交渉官のミシェル・バルニエ氏が「前例がない」という理由で英国の提案を拒否したことを指摘した上で「我々は合意によって実現できる基礎を示したが、選挙で選ばれていない人の神学的な強迫観念が欧州市民の経済的幸福より優先する決定をEUが行えば、それは官僚のためのブレグジットである。市民のためのブレグジットではない。それによって得られる結果は1つだろう。」と述べた。
同氏は欧州委が現在の提案を気に入らないのであれば、我々が受け入れられる提案を提示できると示さなければならないと指摘する。その上で「EUの経済を犠牲にしてまで、欧州委のイデオロギーを維持したいかどうかは加盟27ヶ国による」とした。
先週金曜、英中銀総裁のマーク・カーニー氏も合意のない離脱の可能性は「不愉快なほど高い」と警告していた。同氏はもしそれが現実となれば、一時的な価格の高騰とともに、貿易や経済活動の混乱を招くと主張した。ただ一方で、英国の経済は堅調であり、離脱後のショックにも耐えられるだろうと述べた。
首相のテリーザ・メイ氏は先週末、自身の夏休みを早めに切り上げてエマニュエル・マクロン仏大統領の元を訪ねた。専門家は英国の提示する離脱計画の指示を呼びかける最後のチャンスだと捉えている。
閉じる
英国民の大半がメイ首相のEU離脱方針に反対、世論調査(2018/07/23)
調査会社ユーガブ(YouGov)が、英日曜紙サンデー・タイムズのために、7月19・20日に実施した世論調査によると、テリーザ・メイ首相の欧州連合(EU)離脱方針に大半の英国民が反対し、3分の1以上の有権者が、離脱にコミットする新たな右派政党を支持すると回答した。
今回のユーガブによる調査は、英国の成人1,668人を対象に行われた。これにより、メイ氏の政治的な脆弱さも明らかとなり、EUと交渉し、次期選挙で保守党を率いるのにふさわしい政治家として、首相より、2週間前に外相を辞任したボリス・ジョンソン氏が適するとした人の方が多かった。メイ氏の離脱交渉を評価する人は、わずか16%だったのに対し、34%の人が、ジョンソン氏の方が、もっと交渉をうまく進められると回答している。...
全部読む
今回のユーガブによる調査は、英国の成人1,668人を対象に行われた。これにより、メイ氏の政治的な脆弱さも明らかとなり、EUと交渉し、次期選挙で保守党を率いるのにふさわしい政治家として、首相より、2週間前に外相を辞任したボリス・ジョンソン氏が適するとした人の方が多かった。メイ氏の離脱交渉を評価する人は、わずか16%だったのに対し、34%の人が、ジョンソン氏の方が、もっと交渉をうまく進められると回答している。
英国がEUを離脱する2019年3月29日まで、あと8カ月余りとなったが、メイ政権や議会ばかりでなく、一般の国民や企業についても、どのような離脱形態を取るべきかをめぐって、深い分断が存在する。
メイ首相は、EUとの緊密なモノの貿易関係を維持する離脱案を提示したが、この結果、政権は今月危機に追い込まれた。ジョンソン氏ら2人の重鎮の閣僚が、抗議の辞任をすると、メイ氏自身も不信任を突きつけられるとの憶測が飛んだ。
企業の間には、政府の提案した離脱案は現実的と評価する声もあるが、今回の調査によれば、もし2度目の国民投票が実施された場合、政府案を支持すると答えた有権者はわずか10人に1人だった。約半数の人が、英国にとってそれは良くないと回答している。また、国民投票が再び実施されれば、EU残留を支持するとした有権者も約半数に上った。
英国の有権者はますます分極化しており、保守党・労働党の2大政党離れも起きている。38%がEU離脱にコミットした新たな右派政党に投票すると回答しており、ほぼ4分の1の24%の人が、反移民、反イスラムの極右政党を支持すると答えた。
サンデー・タイムズ紙によれば、EU離脱派で英独立党の元党首ナイジェル・ファラージ氏と、トランプ米政権で首席戦略官を務めたスティーブ・バノン氏が、新たな右派運動の結成について協議をしているという。
閉じる
その他の最新記事