プーチン大統領;ウクライナ東部紛争解決に向け誠意を見せるためか昨年拿捕したウクライナ軍艦を返還【米・英国メディア】(2019/11/19)
ロシアとの関係修復を訴えるウォロディミール・ゼレンスキー大統領が就任して以来、それぞれの国で収監されていた35人ずつの囚人交換や、ウクライナ東部2州でのウクライナ政府・親ロシア分離独立派間での地方選挙実施合意等、具体的進展がみられている。そしてこの程、ウクライナ東部紛争について協議するノルマンディ・フォー・サミット(注1後記)開催に当り誠意を見せるためか、ウラジーミル・プーチン大統領が、昨年拿捕したウクライナ軍艦3隻の返還に応じた。
11月19日付
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「ロシア政府、昨年拿捕したウクライナ軍艦3隻を返還」
ロシア外務省は11月18日、昨年拿捕していたウクライナ軍艦3隻を返還したと発表した。
ロシア沿岸警備隊は昨年11月、ケルチ海峡(注2後記)を航行していたウクライナ軍砲艦(注3後記)2隻とタグボート1隻が、ロシア領海内に無断で侵入したとして、銃撃戦の上で拿捕した。
その際ロシア当局は、今年9月のロシア・ウクライナ間の収監者交換が実施されるまでの10ヵ月間、24人のウクライナ水兵を拘束していた。...
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11月19日付
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「ロシア政府、昨年拿捕したウクライナ軍艦3隻を返還」
ロシア外務省は11月18日、昨年拿捕していたウクライナ軍艦3隻を返還したと発表した。
ロシア沿岸警備隊は昨年11月、ケルチ海峡(注2後記)を航行していたウクライナ軍砲艦(注3後記)2隻とタグボート1隻が、ロシア領海内に無断で侵入したとして、銃撃戦の上で拿捕した。
その際ロシア当局は、今年9月のロシア・ウクライナ間の収監者交換が実施されるまでの10ヵ月間、24人のウクライナ水兵を拘束していた。
ウクライナ政府は、ウクライナ東部紛争解決につき協議するため、12月9日にパリでノルマンディ・フォー・サミットが開催されることから、ロシア側に対して拿捕した軍艦を返還するよう求めていた。
ウラジーミル・プーチン大統領は11月18日、当該軍艦の返還を決めたとエマニュエル・マクロン大統領に電話連絡したという。
一方、ウクライナ政府は、返還された軍艦の設備機器が紛失していないか確認するとしている。
11月18日付英国『ジ・インディペンデント』紙:「ロシア、プーチン大統領・ゼレンスキー大統領会談に先駆けてケルチ海峡で拿捕したウクライナ軍艦を返還」
ウクライナ軍は11月18日、ロシアが返還すると発表していたウクライナ軍艦3隻が、当日午後にウクライナの港まで曳航されてきていることを確認した。
同艦は、ロシア当局が昨年11月、ロシア領海に侵入したとして拿捕していた。
しかし、ウクライナ政府は、同海峡での船舶の航行についてロシア・ウクライナ両国で共同管理すると合意しているにも拘らず、ロシア側が一方的に攻撃を仕掛けて同艦を拿捕したと非難した。
今年になって、ロシアとの関係修復を掲げるゼレンスキー大統領が就任して以降、両国関係は徐々に改善に向かう兆しが見えてきている。
そして今年12月初め、2016年以来途絶えていたノルマンディ・フォー・サミットが開催されることになり、それに先駆けてのロシア側によるウクライナ軍艦の返還であった。
なお、同サミットが2015年2月に開催された際、ウクライナ東部紛争の停戦合意がなされたが、その後もほとんど毎日のペースでウクライナ政府軍と親ロシア分離独立派間で衝突が起こり、同紛争解決の目処は全く立っていなかった。
(注1)ノルマンディ・フォー・サミット:1944年6月6日ノルマンディ上陸作戦70周年記念式典が2014年に開催された際、その年の2月に発生したウクライナ東部紛争の解決を目指して、ロシアとウクライナに、共同仲介者としてドイツ・フランスが加わって協議する枠組みが合意された。以降、この4ヵ国の閣僚が様々な機会に会合し、ウクライナ東部紛争停戦に向けて協議を進めてきている。
(注2)ケルチ海峡:黒海とアゾフ海を結ぶ海峡。西は2014年3月以降ロシアにより併合されたクリミア半島、東にはロシア領のタマン半島がある。
(注3)砲艦:軍艦の一種。比較的小型で主として沿岸・河川・内水で活動する、火砲を主兵装とした水上戦闘艦艇の事。
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トランプ大統領;2020年G-7サミットを自己保有のフロリダ州ゴルフリゾートで開くとして再び物議【米・英国メディア】(2019/08/27)
ドナルド・トランプ大統領は就任以来、しばしば自己保有のフロリダ州の別荘に安倍晋三首相含めて、海外要人を招待して会談を開いている。公務とは言え、かかった費用の大半が間接的に大統領個人に還流されているとして、野党・民主党議員、一部の州の司法長官、更に市民団体が、米憲法「報酬条項(注1後記)」に違反するとして、同大統領を提訴している。そして今度は、同大統領が、2020年に米国で開催される主要7ヵ国首脳会議(G-7サミット)を、同じく自己保有のフロリダ州のゴルフリゾートで行うことを考えていると言い出したことから、改めて法曹関係者らから、憲法違反だとする声が上がっている。
8月27日付米
『NBCニュース』:「トランプ大統領が2020年のG-7サミットをマイアミのゴルフリゾートで開催することを希望しているが、果たして可能か?」
ドナルド・トランプ大統領は8月26日、2020年に米国が議長国となるG-7サミットの開催場所について、自身が保有するマイアミ(フロリダ州)のトランプ・ナショナル・ドーラル・マイアミ・ゴルフリゾート(TNDMR)を考えていると発言した。...
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8月27日付米
『NBCニュース』:「トランプ大統領が2020年のG-7サミットをマイアミのゴルフリゾートで開催することを希望しているが、果たして可能か?」
ドナルド・トランプ大統領は8月26日、2020年に米国が議長国となるG-7サミットの開催場所について、自身が保有するマイアミ(フロリダ州)のトランプ・ナショナル・ドーラル・マイアミ・ゴルフリゾート(TNDMR)を考えていると発言した。
ビアリッツ(フランス南西部のリゾート)で開催されたG-7サミットの最終日に発言したものだが、早速野党・民主党、法律専門家、市民団体などから、米憲法に定める「報酬条項」に違反するとの批判の声が上がっている。
ミネソタ州立大学法学部教授で、かつてジョージ・ブッシュ政権下で倫理担当法律顧問を務めたリチャード・ペインター氏は、『NBCニュース』のインタビューに答えて、大統領が経営する事業会社保有の施設においてかかる公式行事が開催されるとなると、G-7に出席する各国要人に加えて、数百人の関係国政府関係者の滞在に関わる膨大な費用が同事業会社宛てに支払われることになるので、当然「報酬条項」に抵触するとコメントした。
ハーバード法科大学院のローレンス・トライブ教授はツイッターで、ペインター教授の見解に賛同するだけでなく、大統領の弾劾事項にも該当するとまで言及している。
また、同大統領を「報酬条項」違反で提訴している原告団のひとりであるディーパック・グプタ弁護士は、G-7サミットには米国要人も参加することとなり、その費用が国庫から同大統領の事業会社宛てに支払われることになるので、「大統領に関わる報酬条項(注2後記)」にも抵触することになると批判している。
同大統領はかつて、習近平(シー・チンピン)国家主席や安倍晋三首相と会談する際、同大統領の別荘マー・ア・ラゴを使用したことから、同様の理由で非難されている。
しかし、G-7サミットとなると、二国間首脳会談の比ではない、巨額な費用が発生することから、ホワイトハウス高官も同大統領の考えを諌めることになろう。
一方、TNDMRは2013から2018年にかけて、調理場にゴキブリや昆虫が大量に発生したことから、フロリダ州当局から衛生条例524条違反で行政指導を受けているとして、G-7会場として最適な場所ではないとの声も上がっている。
なお、前回2012年に米国が議長国となったG-7サミットは、バラク・オバマ大統領(当時)がホストとなって、キャンプ・デイビッド(首都ワシントンの約100キロメーター北のメリーランド州にある大統領専用別荘)で開催されている。
一方、同日付英国『ジ・インディペンデント』紙:「トランプ大統領、来年のG-7サミットを経営の苦しい自社保有のマイアミのゴルフリゾートで開催希望」
トランプ大統領は今回のG-7サミット終了時の8月26日、来年米国が議長国となるG-7サミットを、同大統領の事業会社保有のTNDMRで開催したい旨発言した。
その際、同大統領は、国際空港も近く至便であるばかりか、豪奢な施設や広大な敷地もあり、各国首脳を招くのに最適な場所だと付言した。
なお、自己保有の施設で公式行事を行う事に批判があることから、同大統領は、儲ける気持ちはさらさらないともコメントした。
一方、TNDMR保有の事業会社のタックス・コンサルタントのジェシカ・バチラテバンラク氏は、フロリダ州地元紙『サン・センティネル』のインタビューに答えて、同リゾートの業績は低迷していると語っている。
同紙によれば、TNDMRの収益は、大統領就任前の2016年に比し69%も下落しているという。
また、米メディア『マザー・ジョーンズ』誌によれば、同大統領保有の複数のリゾート事業の採算性が悪化しているとし、同大統領は合わせて13もの融資、総額3億1千万ドル(2億5,300万ポンド、約329億円)の債務を抱えているという。
(注1)報酬条項:米憲法第1条第9節8項によって、公職にある者が議会の承認なしに外国の政府や王族から報酬や贈与を受け取ることが禁じられている。
(注2)大統領に関わる報酬条項:米憲法第2条第1節7項によって、大統領職に関わる定額報酬の他、国または各州からいかなる報酬も受けることが禁じられている。
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