多数の医学誌が気候変動対策を要請(2021/09/06)
新型コロナウイルスのパンデミックに世界が対処する一方で、人々の健康に既に影響を与える気候変動への対策を先延ばししてはいけないとして、各国の医学誌が連名で論説を掲載し警鐘を鳴らしている。
9月6日付仏
『France24』(AFP通信引用)「200以上の医学雑誌が気候変動への早急な対策を要請」との見出しで以下のように報道している。
パンデミックに世界が対処する一方で、地球温暖化が人々の健康に既に影響を与えているため、気候変動への対策を先延ばししてはいけない、と各国の医学雑誌が警鐘を鳴らしている。
11月のCOP26気候サミットを前に、ランセット、イーストアフリカン医学ジャーナル、ブラジルの公衆衛生ジャーナル、国際看護レビューなどを含む220以上の医学雑誌が論説を掲載。...
全部読む
9月6日付仏
『France24』(AFP通信引用)「200以上の医学雑誌が気候変動への早急な対策を要請」との見出しで以下のように報道している。
パンデミックに世界が対処する一方で、地球温暖化が人々の健康に既に影響を与えているため、気候変動への対策を先延ばししてはいけない、と各国の医学雑誌が警鐘を鳴らしている。
11月のCOP26気候サミットを前に、ランセット、イーストアフリカン医学ジャーナル、ブラジルの公衆衛生ジャーナル、国際看護レビューなどを含む220以上の医学雑誌が論説を掲載。産業革命以来、気温が1.1度上昇したことが様々な問題の原因となっていると指摘し、「気温上昇により健康への害や、自然界の破壊が発生している」と警告した。
過去20年間で65歳以上の熱中症関連の死亡例が50%以上増加しており、「高温の気温は脱水症、肺機能低下、皮膚病、熱性感染症、 精神障害、妊娠合併症、アレルギー、心疾患、肺疾患等を引き起こす」。この影響を最も受けるのは、マイノリティ、子ども、貧困層だという。また、引き続く生物多様性の喪失により、回復不可能なダメージが与えられるという。
論説は、「世界では新型コロナへの取り組みが必要だが、パンデミックが去るまで、排出削減を待つことは出来ない」と強調。多くの政府がコロナ対応で「異例の予算」を必要としたように、環境危機にも「同様の緊急対応」を求め、各国政府は我々の生活を根本から変えるような社会経済の仕組みを作る必要があるとしている。
9月5日付米国『ウォール・ストリート・ジャーナル』は「気候変動対策が急がれる、医学誌が異例の要請」との見出しで以下のように報道している。
5日発表された有力な医学、看護、公衆衛生ジャーナル220誌以上の合同論説記事では、気候変動への緊急対策が訴えられた。この論説は、英国医学誌やランセットなどに掲載された。
これは現状では、二酸化炭素や温室効果ガス排出に起因する地球の気温上昇による健康問題対策が十分でないと警鐘を鳴らすもので、社会や経済組織や生活様式の根本的な改革を求めている。この論説は、米国や英国の他、中国、インド、オーストラリア、アフリカ、南アメリカの雑誌に掲載されており、英国の21の保健団体からなる気候変動に関する英国健康同盟の呼びかけで実現した。
米疾病管理予防センターによると、気温上昇などの異常気象は、ケガや早死の他、高血圧や心肺の疾患にも影響するという。ベルギーの災害疫学研究センターによると、2015年フランスでは異常気象により3300人が死亡したとされる。また気候変動は、不安や鬱を引き起こし、メンタルヘルスにも影響するという。2019年の「自然気候変動」の研究では気温上昇により自殺件数が増加するとしている。
論説では、富裕国に対し年間1000億の拠出目標を要請、気温上昇対策への低所得国支援として、交通システムや食品物流改善などへの資金的援助を求めている。
閉じる
英国の最新研究結果、ほとんどの子どもはコロナに感染しても1週間で回復(2021/08/05)
イギリスの複数の大学が、これまで蓄積されてきた新型コロナウィルスの感染データを基に子どものコロナ感染について調査を行い、症状のある子どものほとんどは1週間ほどで回復していることが分かった。
伊
『イタリア24ニュース』とマレーシア
『マレーメイル』によると、英医学誌「ランセット・チャイルド・アンド・アドレセント・ヘルス」に英国の研究結果が掲載された。本研究は、5歳から17歳までの子どもたち25万8790人を対象に行われ、データは、親や介護者のモバイルアプリを介した報告から得られた。2020年9月1日から2021年1月24日の間に、1734人の若者が、症状が出た後にPCR検査で陽性が報告された。...
全部読む
伊
『イタリア24ニュース』とマレーシア
『マレーメイル』によると、英医学誌「ランセット・チャイルド・アンド・アドレセント・ヘルス」に英国の研究結果が掲載された。本研究は、5歳から17歳までの子どもたち25万8790人を対象に行われ、データは、親や介護者のモバイルアプリを介した報告から得られた。2020年9月1日から2021年1月24日の間に、1734人の若者が、症状が出た後にPCR検査で陽性が報告された。彼らの健康状態が定期的に報告され、回復するまでの期間追跡調査が行われた。
その結果、12歳から17歳の子どものほとんどは回復するのに7日間かかったのに対し、5歳から11歳の子どもたちは5日だったことが判明した。なお、陽性と判定された1734人の若者のうち、4%が4週間以上、2%以下が8週間以上、症状が続いた。
症状が長期化した子どもの84%が、回復期に少なくとも一度は疲れを感じたと報告している。他にも頭痛が病気の初期によく報告され、嗅覚の喪失は回復期後半に報告されることが多かった。
コロナではなく、風邪やインフルエンザなどの他の病気にかかっている子どもたちとの比較調査も行われた。その結果、コロナに感染した子どもたちは、他の病気の子どもたちよりも回復するまでの日数が長く(平均6日対3日)、4週間以上症状が続く割合も高いことがわかった。コロナに感染した子どもたちのうち4.4%が長期化したのに対し、他の病気では0.9%にとどまった。
米『ウォールストリート・ジャーナル』は、英国の研究者が英国の国民健康保険システムの医療記録や他国のデータを集めて行った3つの研究結果について伝えている。1つの研究では死亡リスクに焦点を当て、他の2つの研究では重症化と死亡のリスクを調査した。
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのグレート・オーモンド・ストリート小児保健研究所やブリストル大学が行った死亡率に関する研究では、複数の国内データベースを分析し、2020年3月1日から2021年2月28日までにコロナで死亡したイングランド全土の18歳未満の子どもを特定した。
コロナが原因で死亡した子供25人のうち15人には重篤な疾患があり、4人には慢性的な基礎疾患があった。研究者らは、神経系と呼吸器系の疾患を併せ持つ子どもが最も死亡の危険性が高いと述べている。死亡したうちの3人は、感染症の深刻な合併症である多臓器炎症候群が原因だった。死亡した子どものうち6人だけ、基礎疾患がなかった。なお、喘息、糖尿病、てんかん、ダウン症の単独の診断を受けている子どもで、死亡した子どもはいなかった。
他の2つの論文では、普段の健康状態が重症化のリスクに影響すると報告している。グレート・オーモンド・ストリート小児保健研究所のジョセフ・ワード氏は、コロナに感染した際の「重症化のリスクを高める要因は、子どもでも大人でもほぼ一貫しているようだ」と述べている。
糖尿病、喘息、心血管疾患などを有する子どもでは、集中治療室への入室リスクが高いことがわかった。また、複数の疾患を抱えている子どもが最もリスクが高い。それでも、絶対的なリスクは非常に小さかったと、研究者らは述べている。
これらの研究はいずれも、現在、世界各地で主流となっているデルタ株が出現する前の時期に行われたものであるが、著者らは、デルタ株が子どもの重症化や死亡を引き起こすという証拠はまだないと述べている。
閉じる
その他の最新記事