イギリスの医学雑誌「ランセット」は4日、新型コロナウイルス治療薬として臨床試験中の抗マラリア薬の安全性にかかわるデータの精査がとれなかったため研究論文を撤回したという。
6月4日付米国
『CNBC』は「ランセットが抗マラリア薬の安全性を疑問視した注目のコロナ関連論文を撤回」との見出しで以下のように報道している。
世界的医学雑誌「ランセット」が木曜、影響力のある研究論文を撤回した。新型コロナ治療薬として臨床試験中のクロロキンとヒドロキシクロロキンの安全性にかかわるデータの精査がとれなかったためだという。これによりクロロキンとヒドロキシクロロキンの効果に関し、議論が高まるだろう。...
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6月4日付米国
『CNBC』は「ランセットが抗マラリア薬の安全性を疑問視した注目のコロナ関連論文を撤回」との見出しで以下のように報道している。
世界的医学雑誌「ランセット」が木曜、影響力のある研究論文を撤回した。新型コロナ治療薬として臨床試験中のクロロキンとヒドロキシクロロキンの安全性にかかわるデータの精査がとれなかったためだという。これによりクロロキンとヒドロキシクロロキンの効果に関し、議論が高まるだろう。これにより安全性を考慮し、海外のヒドロキシクロロキンの臨床試験がストップしたものもある。トランプ大統領は有効性に関する実証データがないにもかかわらず、これらを有効な治療法としていた。
一方水曜、「New England Journal of Medicine」には、ヒドロキシクロロキンにはコロナ感染を抑制する効果はなく、プラセボ同様だという研究結果が発表されている。現在他にも臨床試験は行われている。
ランセットに発表された6か国671の病院の患者データを基にした論文は、他の同様に関連性を否定した観察研究以上に、大きな注目を集めた。投薬により死亡率が高まったと報告したからである。だが他の研究者から、データの統合性への懸念の声が上がり、データを集め分析した企業「Surgisphere」社に、データの出所を明らかにするよう求めた。第三者への監査を依頼したが、同社は第三者機関へデータ提供で協力をしなかったという。
「New England Journal of Medicine」で発表された、Surgisphere社のデータを使用したコロナ患者の血圧治療の安全性に関する別の論文についても、第三者機関による調査が行われている。
同日付米国『ビジネスインサイダー』は「コロナ治療でのマラリア薬の効果に関する大型研究を研究者が撤回」との見出しで以下のように報道している。
医学雑誌ランセットに公表された抗マラリア薬ヒドロキシクロロキンをコロナ患者に投与した研究の著者が論文を撤回した。先月掲載されたのこの研究は、新型コロナによる入院患者を助けるどころか、心臓発作死亡率を高める可能性があると示したものだった。
しかし掲載から数週間後、科学者らは、Surgisphere社が提供したデータの統合性に疑問を持ち始め、第三者によるデータ検証が開始されたが、同社が全データの開示を拒否した。
一方、ミネソタ大学は水曜、ヒドロキシクロロキンの効果に関する臨床試験の結果を発表。コロナに感染した患者の濃厚接触者を対象に調べたところ、ヒドロキシクロロキンに感染防止効果は見られなかったという。
「New England Journal of Medicine」 や、「Journal of the American Medical Association」で発表された研究でも、数千人のコロナ入院患者を対象に、ヒドロキシクロロキンを投与したところ、投与していない患者と比較し、良い結果も悪い結果も、どちらも得られることはなかったという。
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この決定は、コビッド-19患者にクロロキンの薬効が認められないばかりか、むしろ有害であるとの研究報告が発表されたことによるもので、予防的な措置と判断される。
WHOのテドロス・アダノム事務局長は、テレコンフレンスを通じて、クロロキンおよびその誘導物質ヒドロキシ・クロロキンのコビッド-19患者に対する臨床試験の結果報告は、医学誌ザ・ランセットに投稿されたもので、薬効についてネガティブな結果が出ていると述べた。...
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この決定は、コビッド-19患者にクロロキンの薬効が認められないばかりか、むしろ有害であるとの研究報告が発表されたことによるもので、予防的な措置と判断される。
WHOのテドロス・アダノム事務局長は、テレコンフレンスを通じて、クロロキンおよびその誘導物質ヒドロキシ・クロロキンのコビッド-19患者に対する臨床試験の結果報告は、医学誌ザ・ランセットに投稿されたもので、薬効についてネガティブな結果が出ていると述べた。
ヒドロキシ・クロロキンのコビッド-19患者に対する臨床試験を「団結」と銘打って開始してから、すでに2か月を経過している。WHOのテドロス・アダノム事務局長は、35か国の400以上の病院にコビッド-19患者を募り、現在17か国で3500人の患者に対して臨床試験を実施してきたと説明した。
ザ・ランセット誌の膨大なデータに基づく研究(2019年12月から2020年4月の期間に、671の病院の入院患者96,000人のコビッド-19感染患者を対象とした臨床試験)によると、クロロキンもしくはヒドロキシ・クロロキンは、入院患者に対して、治療効果がないばかりか、死亡や心臓不整脈のリスクを高める危険性があると警鐘を鳴らしている。
いずれにせよ、クロロキン、もしくはヒドロキシ・クロロキンは、本来マラリアの治療薬として開発されたものであるため、コビッド-19感染患者には、治療効果がないのも当然のことと思われる。
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