コロナ2度感染のケース検証、免疫獲得に疑問(2020/10/13)
米国ネバダ州で新型コロナに2回目感染した人は、2度目の方が1度目より症状が重かったという。専門家の間では、自然感染により感染後どれほどの期間抗体が持続するのか疑問が生じている。自然免疫とは異なるためワクチン開発には影響しないとしている。
10月12付米国
『ウォール・ストリート・ジャーナル』は「ネバダ州のコロナ再感染報告で免疫獲得に疑問」との見出しで以下のように報道している。
米ネバダ州で新型コロナウィルスへの再感染者が出た。25歳男性、4月中旬と6月上旬の検査で陽性となった。男性は息切れにより酸素吸入や入院が必要となるほど、2度目により重い症状が出ていたという。米国以外に、香港、オランダ、ベルギー、エクアドルでも2度目の感染が確認されている。...
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10月12付米国
『ウォール・ストリート・ジャーナル』は「ネバダ州のコロナ再感染報告で免疫獲得に疑問」との見出しで以下のように報道している。
米ネバダ州で新型コロナウィルスへの再感染者が出た。25歳男性、4月中旬と6月上旬の検査で陽性となった。男性は息切れにより酸素吸入や入院が必要となるほど、2度目により重い症状が出ていたという。米国以外に、香港、オランダ、ベルギー、エクアドルでも2度目の感染が確認されている。
ランセットに掲載された論文によると、2回のウイルス株は遺伝子的にはっきり異なっており、一度目のウィルス感染が続いていたわけではないと言えるという。医学文献が増えるにつれ、Covid-19を引き起こすウィルス(SARS-CoV-2)が、一般的な風邪を引き起こすコロナウィルス同様に、一定期間のみ活動するとウィルスである可能性が高まっているという。
ネバダ大学ヘルスラボの所長で論文著者のMark Pandoriは、事実として、1度目より、2度目の感染時がより重いものとなることは確かだが共通性に関してはまだ不明点が多いとする。
イェール大学免疫学教授Akiko Iwasakiは、この発見は、新型コロナウィルスのワクチン開発に水を差すものはないとする。ワクチンの場合の免疫体制は不明であり、今回2度目の感染により、抗体ができており、ウィルス抗体を獲得する障壁となる免疫不全疾患は見られなかった。ベスイスラエル・ディーコネス・メディカルセンター(ボストン)のウィルス学ワクチン研究センター所長Dan Barouchは、1度目の感染ではよい免疫反応が生じなかった可能性を指摘している。
同日付米国『USA Today』は「米国初ネバダ州で男性再感染、新型コロナウィルスの危険性に黄色信号」との見出しで以下のように報道している。
米国で初めて、健康な25歳の男性が新型コロナに2回感染した。2度目の方が1度目より症状が重かったという。この患者は回復しているが、2度感染する人が存在することで、感染後どれほどの期間抗体が持続するのか、またワクチンの有効性について疑問が生じている。
テネシー州ヴァンダービルト大学の感染病学者William Schaffner博士は、「これは黄色信号」だとする。COVID-19のような呼吸器系疾患では、はしかのような生涯有効な免疫を獲得できるわけでない。そのため2度感染することも不思議ではないとする。
基礎疾患の無い人が容易に2度も感染するのはかなり稀で、パンデミック後、世界で少なくとも22人のケースが確認されている。数百万人もの感染者がいる場合、レアケースの詳細な研究データを得るのは難しい。大半の人は再感染により免疫に守られている可能性がある。最初の感染に多くの人は気づかないため、2度目との自覚もないだろう。
香港で2度感染した男性の場合は、1度目の感染から回復し陰性となった数ヶ月後、海外から帰国した際スクリーニング検査を受け、たまたま2度目の感染が判明した。
ネバダ州のエッセンシャルワーカーの男性は、3月体調を崩し、のどの痛み、咳、頭痛、吐き気、下痢の症状が出始めた。パンデミック拡大初期、マスクなどの対策が取られる前に職場でクラスターが起き、4月18日感染確認、27日には全ての症状が改善している。その後検査で2回陰性が出るまで自宅隔離となった。
それから1か月後、また具合が悪くなり、同居の親の職場でもクラスターが起きていた。5月31日、救急ケアセンターに入院、熱、頭痛、めまい、咳、吐き気、下痢の症状があった。6月5日、通院で酸素レベルが低下していたため入院。血中に抗体もあったがコロナ陽性反応となった。ウィルスの遺伝子が異なる点から、2度感染したと言えるという。
論文によると、2度目の感染時は、より多くのウィルスにさらされたために感染した可能性があり、2度目に症状が悪化する場合があるという。既に感染した人も、マスクをつけ、人混みを避け、頻繁に手洗いをして、社会的距離を保つよう喚起している。
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生活スタイルの変化で認知症を防ぐ(2020/07/31)
医学雑誌「LANCET」に掲載された最新の論文では、2017年に提言された9つの生活習慣リスク(幼少期の教育、高血圧、肥満、難聴、うつ病、糖尿病、運動不足、喫煙、社会的孤立)に加え、3つの生活要因(アルコール摂取、中年期における頭部への損傷、高齢期における大気汚染)が認知症のリスクを高めると指摘し、生活スタイルの変化で、世界の認知症の40%は発症を遅らせるか防ぐ事が出来るとしている。
7月30日付英国
『ガーディアン』は「生活スタイルの変化で認知症の4割が発症を遅らせるか減らせる」との見出しで以下のように報道している。
過度の飲酒、空気汚染、頭部損傷が認知症のリスクを高めると専門家が指摘。12の生活要因により、世界の認知症の40%は発症を遅らせるか防ぐ事が出来るとする最新エビデンスを集めた「ランセット」の報告論文。世界の認知症患者は約5000万人、イギリスでは85万人で、2040年までに1200万人を超えると予想されている。...
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7月30日付英国
『ガーディアン』は「生活スタイルの変化で認知症の4割が発症を遅らせるか減らせる」との見出しで以下のように報道している。
過度の飲酒、空気汚染、頭部損傷が認知症のリスクを高めると専門家が指摘。12の生活要因により、世界の認知症の40%は発症を遅らせるか防ぐ事が出来るとする最新エビデンスを集めた「ランセット」の報告論文。世界の認知症患者は約5000万人、イギリスでは85万人で、2040年までに1200万人を超えると予想されている。治療法は今のところまだないが、遺伝子や人種など変えられないリスク因子が存在する一方で、多くは生活スタイルによるもので防ぐ事が可能だと考えられる。論文の共著者でロンドン大学の老年精神医学博士は、どの年齢層でもリスクを下げる行動をとることが可能であり、遺伝子リスクの有無にかかわらず発症の可能性を軽減できるという。
認知症の三分の一は9つの生活習慣(中年期の聴力喪失、鬱、幼少期の教育の不足、喫煙など)により防ぐことが可能だ。世界の認知症の1%は中年期の過度の飲酒、3%は中年期の頭部への損傷、2%は老年期の大気汚染が要因となりうるとしている。個人レベルで改善できるものもあるが、多くは政府主導の改善が必要となる。
論文著者は、ジョンソン首相による、肥満防止策(肥満や運動不足がリスク要因)やコロナによる死者を減らす対策を評価。米国では認知症発症者が過去30年間十年ごとに15%減っており、喫煙者が減るなど生活スタイルの変化によると思われる。だが、発症者数は寿命が延びたため増加している。コロナ禍により、医学研究基金が平均40%減額されていることもあり、研究の重要性を訴える。生活スタイルによるリスク要因に個人、そして社会で、取り組む事が重要だとする。
同日付中東『The National』は「12のリスク要因を減らす事で40%認知症が防げる」との見出しで以下のように報道している。
12のリスク要因を減らせば、40%の認知症が抑えられるとの研究報告。ランセット医学ジャーナルは、2017年の論文で示された9つの要因に加え、3つの新たな要因が見つかったという。それらは、アルコール摂取、中年期における頭部への損傷、高齢期における大気汚染にさらされることである。これらが6%認知症発症に起因しているという(3%が頭部損傷、1%が中年期の過度な飲酒(週に21杯以上)、2%が後年の大気汚染)。
また、多くの認知症ケースに関連した要因に、幼少期の教育の欠如(7,8%)、中年期の喫煙(5%)との関連がみられるという。現在の認知症発症者は5千万人だが、2050年までに低所得国と中所得国(3分の2を占める)で増加し、1億5200万人に達すると予想されている。
神経変性疾患は、本人、家族、経済へ影響を与え、世界のコストは年間1兆ドルと言われている。しかし特定の国では、高齢の認知症患者の占める割合が低く、教育、栄養状態、ヘルスケアの改善や生活スタイルの変化が要因とみられており、予防することにより認知症の発症率を下げることができることを示している。論文では、リスクを下げるため、全ての子どもへの初等中等教育、アルコール摂取を減らす、頭部への損傷を防ぐ、大音量から耳を守るためイヤホンの使用を避ける、大気の状態を改善すること等9つの提言をしている。
この9つのリスク起因は35%だが、途上国ではその割合は高くなり、中国,インドでは40%前後、ラテンアメリカでは56%となる。
また、認知症患者は、年齢、高血圧などの既往症によりコロナ感染リスクも高くなると考えられ、ガイドラインを理解し守る事が追いつかず、フィジカルディスタンスを取るのも難しくなると指摘している。
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